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営みと再生

20歳で出会った吉本ばなな作品。「5年経った今の自分はどんなふうに読むのだろう?」思い立って再読に勤しんでいる読書の秋。


事故に遭い、生死の境にある世界を彷徨って意識を取り戻した小夜子。生き別れた恋人との繋がり、事故後に見えるようになった幽霊とそれを機にはじまった新しい日常…。

どんなに大きな悲しみや痛みに襲われても、生きている限りは無情にも日々は続く。
(自分にとってどんなに大きな存在の人を亡くしても、世界も時間も素知らぬ顔して進んでいく。残酷だと思わず叫んでしまいたくもなる一方で、一切の同情なく等しく変わらず進むそれらに心を無にして身を任せることで救われたり…。)

悲しくてやりきれない、心は本当にこのまま裂けるのではないかという喪失感。
そこから時間とともに気づきを得て、出来事を受け止めて、抱えて、進んでいく小夜子の凄み。
受け止めるしかないことを受け止める勇気や覚悟を持った人の芯の強さ。あれは何と形容したらいいのだろうか…切なくもあり、格好良くもある。

些細な幸せや喜びを栄養にしながら日常を営むことで心身を再生できるのだと、小夜子が自分に教えてくれたのだった。

p.s
吉本ばなな作品には幽霊がよく出てくるのだけれど、恐れるわけでもなく、その空間に居る先客として何事もないように見守る感じがすごく好き。
しかし、幽霊たちはおそらく生前と同じ行動を繰り返していて、当たり前にそこに変化はない。だから生活の温度感がなくて無機質で…。
それを想うと、胸がきゅーっとなるようか寂しさがある。毎回なんだかちょっと泣きそうになるのです。

#スウィートヒアアフター
#吉本ばなな
#読書記録

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