【詩】夕陽の赤
愛ということばでまとまっている感情群があることを知った。信頼とか尊敬とか性欲とか、感情に
なまえを付けると崩れおちてしまうはしっこの部分を、受け入れるためにある、海みたいに大きくて空みたいにからっぽなことばが愛なんだって
理解った。
愛しています、って、
愛していますの中身を考えないまま言っちゃうから、愛していますがわからなくなって、自分への愛していますもわからなくなって、
そうなったとき、ひとはひとでなくなってしまう。
ぼくは夕陽の赤が好き。いちごの赤でもなまにくの赤でもない赤。そっとふれたいって思うことも、傷付けられたら怒ることも、喜びを悲しむこともできるのに、全部赤だよって言われてもわからない。
いちごにキスもできるし、なまにくもちゃんと焼けるし、夕陽に呑まれることもあるのに、まとまっていないだけで人間としておかしくされる。