【詩】かみのけ
ラジオに合わせて落ちる髪の毛。山下達郎に合わせて降る雪みたいだった。美容室はいつもふゆ。
窓の外には夏の光。こおりが溶けるようにしずかだった。
耳元でちゃきちゃき動くうすいさつい。耳が切り落とされないか不安になる。
でも宇宙電波を拾うためのアンテナくらいでかくなった耳は、もっとちいさくていい。けどいたいのヤだな。
足元に過去が溜まって、くろいみずたまりができた。じぶんだったものが落ちているというより、ようやくじぶんに会えたという気がした。
針鼠みたいなぶったいの方が、輪郭をきれいにとらえている。原石のままの正論とか、軽くて梗くてひっつく種とか、ぜんぶ受信してたいきあるしかばね。掃き清められるのは、見なくていっか。