花々言葉

花が、ぼくが言葉を話すときに、歴史とか誤解とか比喩とか根源とか本質とか本音とかを詰め込むから、もういいよってきみがぼくの頸を切り落とすみたいに、コンクリートに落ちた。血は流れずに、コロコロと転がって動かなくなった。花と言えば桜、って云われ続けるから、花が落ちるさまは、ひらひら舞って奥に制服を着た女の子が立ってる、みたいに思っていたから、バチンと叩きつけられるように落ちると、潔い驚きを感じる。落ちている頸と視線を結び合わせて、そっと瞳を閉じさせて、放って歩き出す。餌にでもなるんだろう。
薔薇の花には棘がある、ってキャッチフレーズでばかり使うから、本物を見た時に、蟲みたいに吸い寄せられて怪我をするんだ。指先からぷっくりと膨れてくる血を見ていると、今日には収まらない魂が流れ出ているようで、安心する。ムシケラ如きの人間が、云ってて気持ちぃだけで、ムシケラって云い合う。裾が少し広がったトレンドを追いかけて、着るものを変えるみたいに、ファッションを楽しむ感覚の言葉しかなくなった。ここはお花畑な造花街。

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