神田川

詩です。
ただの詩です。


太陽も月も星もはずかしがりで、すぐに
ぼくの背中に隠れちゃうんだよね、と
海が言った
ちゃんとおにいちゃんをやっている顔には
水平線のかがやきのような、この世界のやぶれから射し込む
この世界に重なっている異世界の光があった
歩けないところを道のように見せるところは、
あの頃から変わってないね
満開の桜を見て、ちゃんと同じことを繰り返してると
安心してしまったとき、
強風で折れた、花をつけたままの小枝が頭にぶつかりました
木魚のように頭蓋骨を鳴らして、向こうがわで
剃髪したエルフがありがたいおはなしをしているのでしょう
むかし、ここではないどこかに行きたいと言って、
乗り込んだ電車は、新宿につながっていた
いま、ここではないどこかに行きたいと漕ぎ出してみると、
流れというものが、海竜のごとく存在していて、
春も夏も山も方言も、滔滔と、前だけ向いて、動いていた
わたしは、あのいちまいのもみぢ葉が
乗っていった流れを、ただひたすら探しているのです



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