鋭徹な清潔感

現実に疲れた日は、生理的激動の少ない日常系の情報に身を晒す。下半身が溶け出るような表現は、きっと人間をよく表していて、顔しか知らない隣人の寝室を盗み見ているみたいな快楽があるんだろうけど、圧力が強くて全身が溶け出している社会では、マーブル状にしかならないから、我鳴り声に耳を傾ける。鋭利な名説に酔いしれる。液晶のショーウィンドウに並んだ清潔感を眺めてから、隣の席の汗かいて脂ぎった仕事一筋のアイツを馬鹿にする。ゴーヤの頬も毛虫の脛も気持ち悪い。クサイはイジメ。眉毛くらい整えろ。悪口はワタシたちの母国語。人間は仕事と綺麗で一人前。一五〇年の恨みを晴らす。感情さえ解決できればそれでいい。体内容物を吐き出して、ワタシたちは進歩のない世界を手に入れる。

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