生きていればいい
乾燥した皺だらけの無数の手が
僕を生きられるように改造していった
一瞬で無数の手に全身を掴まれたかと思ったら
すぐに離れて、その時には僕は呼吸ができるようになっていた
空気を吸うって、広辞苑を呑み込むみたいで、
とても苦しくて、空気の無い海中に飛び込んだら
無数の手がまた一瞬で全身を掴んで
僕を鰓呼吸に改造した
ナイフを取るのもロープを取るのも
手の本数で負けてしまいさきに奪われてしまう
屋上から飛び降りても
空から無数の手が矢のように伸びてきて
僕をがんじがらめにしていのちを救う
生きてさえいればどうにでもなるとしか言わないままで
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