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waters

人間を不可算名詞化すると、霧中の蓮になる。
折り鶴の内臓みたいに
花弁を織り込んだ、ふっくらとしたつぼみが、
湯分量の多い空気の中にいる。
お湯の中に残っている炎が蒼く反応して、
空の散乱みたいな
生き死にを繰り返しながら、
気管に熱を押し付ける。
陰湿な抵抗を受けながら、折り皺を
伸ばしていって、ひっかかりのある
ツルツル表面を晒す。
縫い付けられた花弁が落ちると、
蜂の巣しか残らない。
キープアウトロープ色の蜂は、
規制線の外側に追いやって置きたいけど、
蜜は欲しい。
多様な花々から集めてきて、
一つにしたその黄金は、
唇を喜ばしてくれるから良い物。
葉が茂った樹海で浮いた、
ちくわみたいに枯れた花弁を、
黒水が
低反発クッションみたいに包み込んでいる。

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