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【詩】黒曜石

新発見。ことばとは黒曜石の石刃。
圧倒的な熱から剥がされ落ちたブラックが何
かを隠して、白光の照り返しでミニチュアの
山脈が浮かび上がる肌。刃と宝剣と包丁を象
徴している力を、水平線のように光らせてい
る。
おうち焼肉をするから、血液が肉体の熱源だ
ってことを忘れてしまう、と皮膚を這う血に
教えられる。
ぼくの心臓の脇には黒曜石が入ったまま。刺
さるというより肉を押し分けながら入ってき
た。
痛みはないけど、一体にはまだなれてなくて、
静かな冷たさを感じている。主張の激しい静
けさと霧が立ち込めている森の中。波立つ根
っこに纏われていれば、大地と繋がっていら
れる気がする。
とにかく葉を茂らせれば、なんか大きくなれ
る。
家を葉に呑み込ませれば、なんか不気味にな
れる。
なんか違くなりたいぼくは、血液の熱を感じ
て黒曜石を探す。根を断ち切る石刃が欲しい。

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