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詩集『閑文字』

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伽戸ミナがつくった詩を載せています。読んで頂けたらうれしいです。
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2023年8月の記事一覧

【詩】完璧な水

【詩】完璧な水

夕陽と雲で、空が火山みたいになった日、きみは溶けて、溶けて溶けて溶けて、誰にも知られていない森の湖になる。みんな探す必要がないから知られていないのだけれど、ぼくみたいな、(ぼく以外にいるかは知らないが)自分の誕生日の月を嫌っている人間は、きみでしか喉の渇きを完全に癒すことができなくて、バイト終わり、すこし遠回りしてきみを探すんだ。
めんつゆに入れた瞬間に、氷にヒビが入る音で、なにかから解放された気

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