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詩集『閑文字』

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伽戸ミナがつくった詩を載せています。読んで頂けたらうれしいです。
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2023年6月の記事一覧

【詩】違和感を演じられる真面目な人

【詩】違和感を演じられる真面目な人

商品化するって、自分の一部を結晶化させていくことで、
大腸みたいな、とても見せられるような見た目をしていないもの
でなくて、スワロフスキーコラボみたいなもので、
そうやってあなたは観光地になった
結晶化させた右腕を太陽に透かすと、虹を纏った光が
路地裏にも、密林にも、天国にも、角部屋にも、
あたしが呑み下して溜まって倦んだ、粘性物質にも届く
あなたは時代が違えば、神に捧げる儀式を執り仕切っていたん

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【詩】アドレシェンス

【詩】アドレシェンス

指先一つで送りこむ 線状降水帯 
飛沫をシミュレーションする スローモーション映像の動き
ニュースによると 川が氾濫して 道路が冠水して
樹を薙ぎ倒す 轟音と物量で圧倒している
襲い尽くして わたしの偉大さと 人間たちのちいささを分からせる
淡い黄白色をした教室のカーテンが、ぶわっとなびくのを見るように、
窓の外の飛雨を見る。
太陽に照らされていたものに当たり散らす音は、
ぼくの脳に、無意味と判断

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