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詩集『閑文字』

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伽戸ミナがつくった詩を載せています。読んで頂けたらうれしいです。
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2023年3月の記事一覧

【詩】じごくの空気

人間は地球の空気でしか生きられないし、
火星人は火星の空気でしか生きられないし、
流星は宇宙の空気でしか生きられないから、
地獄の空気でしか生きられない生命もいる。地獄は、
筆画が多くて恐く見えるけど、
ほんとは、なんにもみえなくてなんでもあるとこなんだよ。精神を毀す為の檻みたいに。
あなたの部屋に似てるわね、って言われた。その言葉をのせて
吐き出された息が、一番きみだったような気がした。「寥」っ

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【詩】茶化す

あなたは 肌を茶色で描くけど 瞳はターコイズブルーで描いてくれる。
色の流れをコントロールできない 水彩下手なわたしを
良い色の配置って褒めてくれる。
あなたが描くわたしを見て あなたは才能が違うって思ってしまう わたしの残酷さ。
あなたが 窓っていうよりガラスの壁だよね 
って言った 窓から 射しこむ夕陽が あなたもわたしも
部屋も時間も ほほえみも夢も 言葉も現在も
マグカップも 茶化した。

【詩】さんづくり

線路が背骨のように行きわたったから、日本列島は立ち上がれるはずなんだけど、北海道の頸のところが、まだ座っていないのかな。四国と九州の脚と、沖縄諸島の尻尾じゃ、バランス取れないのかな。もしかしたら、寝ている事を選んだのかもしれない。石川県は何度も折れたし、鹿児島の先端を、大陸の角に打つけるから、諦めたのかもしれない。わたしは免許をもっていないのだけれど、運転する人は、自分のからだが車体まで広がるらし

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【詩】超高校級承認欲求

どれが意味あることだろう 
って思った所が 恋のおわりで 老いのはじまり。
この部屋は 秩序ある混沌というか 不快感のない不潔感
をテーマにしています。 騎兵の恋。
快感の海岸線。ケンタウロスの恋。
律動と理屈に 虜われている。

【詩】人生は旅すること

じんせいはたびすること柄のシャツの上に
ジャケットを羽織ってネクタイを締めて 電車に揺られるにんげんは 脂ぎった光をしている。鏡を見るのは嫌いになったから 宇宙空間の空気を燃やしながら進む流星みたいな 光をはなつ言葉 を見ている。 世界は美しい 自分のいるこの世界は美しい 美しくない自分でもいるこの世界は美しい。 だから アンシンして 電車に乗っていい らしい。連結部分のたびに しゃっくりする 怪

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