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詩集『閑文字』

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伽戸ミナがつくった詩を載せています。読んで頂けたらうれしいです。
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2023年1月の記事一覧

【詩】音楽詞

とんとんたーん、つかつかしゃーん
とんとんたーん、どぅぐどぅぐどぅん
でもでもだって、けどしたがァって
どぅどぅどぅ、どぅどぅどぅ、どぅどぅどーうせ
だから、だから、だからッたッたッ
とんとんたーん、つかつかしゃーん
きときとったい、ぴとぴっちゃん
なまら、なまら、なまらほんでのぉ
けどけれどBut、けったいなだって
ずんずんぱァん、ぱらッぱッぱぱァん
ずるずらあかん、ぱらッぱッぱやんす
しゃっこ

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【詩】いきるという愚かさをたのしみましょう

たとえばの話なんだけど
排泄するために食べるラーメンでもおいしい 老いのために鍛える筋肉もすごい
死ぬために塗られるマニキュアもぴかぴかする
キリンが電車の吊り革に頭をぶつけるから 屋外に住みはじめた パンダが
アイドルになるために 動物園に住みはじめた 鳥から
いんすぴれいしょんを受けて 飛べるようになるのがかちじゃない 脇を締めて肘を腰に付けて
跳びながら両手首をばたばたさせる
たとえばの話な

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【詩】聴紅鹿

世界はぜんぶ君の為にあるし、世界に君の為にあるものなんてひとつもない。青は空も朝顔も君のものだし、机も椅子も学校のものだ。誰かが死ぬということは世界からひとつ世界が消えるということ。それが、数年生きただけの惑星を守るべきふるさとと思い篭める、ヒト科の特徴を形づくっている。秋の血が流れるように紅葉が落ちる向こうに、夏の擦過傷痕みたいな常緑樹が一本立っている。樹の上の青空を通っている電線が五線譜で、雲

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