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閑文字

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詩をまとめています。楽しんでいただけたらうれしいです。
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2022年11月の記事一覧

【詩】あわとゆき

サイダーに潜ったら、
たちのぼる泡々が、銀河の星々みたいに見えるじゃん?泡はあずかり知らぬところで消えてもいるし、
君の鼻から蛙の卵みたいに生まれていくこともできる。たまたま近づいた泡同士が、
太陽と地球がひきよせ合ってくっついてドーナツになるみたいに、ひとつになったのが夢。
夢がないというのは、悩むほどのことじゃなくて、たんなる事実なのかもしれないね。
街の違いは炭酸の強弱だから。泡の数だけ刺激

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【詩】呑み込み合う

七五調で生きるのがよい生きかただって学校でならった。おことのふるえに合わせて歩く。渋谷は、人間がキャベツみたいに、密集して折り重なっている街。進化をすてて環境をかえることをてにいれた人間が、環境から逃げるように群生している。半分じぶんで半分たにんな、全くのたにんが重なってきた。顔もからだもすきな季節もちがうのに、繋がりをかんじてしまうから、人間は街をつくるんだろう。
 
観覧車回れよ回れ想ひ出は君

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【詩】自然言語

エン・メラルトン語では、文の内容が性的な場合、文末に性詞をつける。「six畳のheyaでtwo人きり:セナ・ケニ」となる。
のがいつもわからない。別にしってるからテストで点は取れるけど、みんなはGlobal Positioning Systemでたびをしてるのに、わたしは太陽の位置で測ってるみたいだ。テクノロジーも人としての条件。
セナ・ケニを当たり前に話すと、セナ・ケニ的思考法になる。セナ・ケニ

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【詩】あわとゆき

とおくに見えるものって、山でもビルでも、平面的な青色になってぼやけるでしょ、
ぜんぶそうなんだよ。サイダーに潜ったら、立ち上る泡々が、きっと銀河の星々みたいに見えるじゃん?たまたま近づいた泡同士が、太陽と地球がひきよせ合ってくっついてドーナツになるみたいに、ひとつになったのが夢。
夢がないというのは、悩むほどのことじゃなくて、たんなる事実なのかもしれないね。街の違いは炭酸の強弱だから。泡の数だけ刺

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【詩】みんながえいゆう

英雄はかなしい存在なのにきみは、自分の人生をきりぬきして人間をやめようとしている。編集をおぼえれば権威が手に入る。整形して二十三区に間隙ができるのを待ち構えてる。きみは文京区。おびただしい文京区のうちの一つ。グループライン“ぶんきょうくッ!”では、馴れ合いと台東区の悪口ばかり。ゆがんだかたちたちでサウナが一杯になる。ととのうのは快楽。
 
アレクサンドロス三世はきっと王になりたくなかっただろう。現

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【詩】おうまさんにのったらいい

わたしはおなかがへって、カレーの匂いへ手をのばしていた。わたしは歌いたくて、つっかえつっかえのさえずりに手をのばしていた。わたしは手をつなごうとして、月あかりに手をのばしていた。
宇宙の一角に太陽があるように、緑の外壁の家と金木犀の家のあいだに、じぶんの家があるとおもってた。世界のすべてだとおもってたのはほそい腕の中で、この世の頂上だとおもってたのは背中だった。星ふる夜を描いたステンドグラスとか大

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【詩】パーティー開け

一番最初のめいれいで闇を切り裂いて光が産まれたとき、ポテチのふくろのパーティー開けみたいな音がしただろう。
二番目のめいれいで空と海が分かれたときに、世界にのりしおの匂いが広がった。
三番目のめいれいで海と陸が分かれて、
四番目のめいれいで植物が産まれた。りんご、ごま、まんごー、ご?お?、お、おじぎそう、うめ、めろん、じゃなくてめたせこいあ、あじさい、いちじく、くー、く、く、くちなし、しろつめくさ

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