「料理人顕彰制度」

WEDNESDAY PRESS 058農林水産省が料理人を顕彰する制度を策定したのが2010年のこと。

最初の5年間はブロンズ賞のみ、6年目以降にシルバー賞が誕生、今年初めてゴールド賞が生まれた。
北海道「モリエール」の中道博さん
宇都宮「OTOWA」の音羽和紀さん
大阪「カハラ」の森義文さん の3名であった。
授与式が終了し、懇親会となった。
その会場で多くの料理人と様々なコミュニケーションを図った。

そこで中道さんと交わした言葉が印象的であった。
「腹八分目、お代わり自由」というもの。
これは色々な意味があると思う。
物理的に八分目でおさえ、だが、食べ手が要求すれば、直ちに提供できる準備をしなければならない、という解釈ができる。
または、これ見よがしの行動を慎みなさい、という考えも可能だと思った。
その言葉を聞いて僕は、最近の椀物の出汁の味わいを思い浮かべた。
出汁について思っていたのは、一口目は淡き味わい。椀種と溶け合って次第に味わいが濃くなり、最後の一口にうまみの頂点が来ることであった。
しかし昨今は一口目から「うまい」と言わせたいので、出汁の味わいが濃厚になったと感じている。すると最後は濃すぎるという状況が生まれる。
つまりこれ見よがしの味わいではいけない、と理解したのだ。

中道さんは70歳である。今も現役。走り続ける姿勢が非常に素敵だ。
だから直に言葉を交わすと気持ちが豊かになる。
中道さんは料理マスターズのゴールドがなんであるかを知らしめる存在だと思う。

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