「黒田泰蔵の死」
WEDNESDAY PRESS 031
「黒田泰蔵さんの白は、真理を求めてやまない心の色である」という建築家・安藤忠雄さんの言葉。まさに黒田泰蔵さんの作品を物語る。
黒田泰蔵さんの約60点が収集された作品展が、現在大阪中之島の「東洋陶磁美術館」で7月25日まで開催中(5月31日までは緊急事態宣言のため)である。しかし、4月13日、作家の黒田泰蔵さんがこの世に別れを告げた。
現存の作家で東洋陶磁美術館で作品展を開催するのは、ルーシー・ルー以来であった。開催が始まり、すぐに出かけその白が持つ無限の広がりと可能性に圧倒されていた。白という色は光を極端にまで当たれば、白になり、光を絞れば黒になる。そんな白には表現する人の人生や思想、経験などが詰め込まれているのだと感じていた。
作品は色だけではない。形の力もある。その二つがいかに関係性を持つか、それを探す楽しみもあった。
その数ヶ月後、実兄の黒田征太郎さんの京都「思文閣美術館」での作品展をみて、兄弟のエネルギーのすごさに驚いたのであった。
そしてこの訃報である。
人生の行く先は常に不明。
まさか開催中にこのようなことが起ころうとは!
ご冥福をお祈りいたします。