堀内誠一さん
WEDNESDAY PRESS 066
アンアン、ブルータス、ポパイなどマガジンハウが発行する雑誌のロゴデザインを手がけたのが堀内誠一さんというアート・デイレクター。
だが、堀内さんには絵本作家という顔がある。
その絵本の世界の展覧会が、大丸ミュージアム<京都>で開催されている。
「青いサーカス一家」「たろうのおでかけ」「ぐるんぱのようちえん」「白いチビの馬」「雪わたり」「あかずきん」「くるみわり人形」など60冊を超える絵本を発表した。
僕にとってはエディトリアル・デザインの先駆者であり、マガジンハウスの種々の雑誌で、そのイラストレーションんと文章にふれ、常に憧れを抱いていた人物でもある。「パリからの旅―パリとフランスの町々」や「堀内誠一の空飛ぶ絨毯」などの著作では、見事なイラストレーションが文章と一体になった作品で堀内さんにしか書けない世界が展開されていた。
また「旅の仲間 澁澤龍彦・堀内誠一往復書簡」は旅先での見聞、自宅の書斎からの近況報告を記した二人の親密な関係がうかがえる89通の往復書簡を書籍化したものである。堀内さんは、イラストレーション入りの手紙や葉書。澁澤さんは几帳面な文字と文章。この本を何度読み返したことか。心が通い合った二人の世界観をしっかり知ることができると同時に、往復書簡の楽しみを享受したのであった。
そして今回の「堀内誠一 絵の世界」を観て、観ることは自らの頭の中に独自の像を結ぶことだと思った。