試合に出るか出ることができないかの境界線上にいている選手へ
2024年6月20日(木)21日(金)と「三井不動産カップ2024」でバスケットボール女子日本代表チームがオーストラリア戦を行いました。
2024年6月20日試合
2024年6月21日試合
東京オリンピック2020の銀メダル獲得の女子日本代表も、2023年ワールドカップでパリオリンピック出場を決めた男子日本代表も、選手に課せられた仕事をきっちりと、自分の能力の裁量の範囲で最大限発揮できるような選手が多いなと、感じています。
女子日本代表の試合を見ていて、育成年代(学生)が見るべきポイントをふたつ記載します。どちらもディフェンスに関することです。
主にチームのエース選手が参考としてほしいという感じではなく、試合に出るか出れないかの境界線にいているような選手が、シュートやドリブルといった今すぐどうこうできるような技術のことではなくて、ディフェンスでどのようにチームの勝利に貢献できるのか。という目線で試合に出るために参考にしてほしいな。と思うプレーです。
林咲希選手に対するオーストラリア選手のディフェンスのつき方
オーストラリアの立場からすると、当然日本のシュータの筆頭は林咲希選手です。思うように自由にスリーポイントシュートを打たせると、全部入ってしまうような選手です。オーストラリアがとった作戦は「とにかく林にボールを触らせるな作戦」です。一般的なディフェンス位置取りとして1線目、2線目、3線目とありますが、どのディフェンス位置取りでもベッタリひっついています。完全フェイスガードです。日本としてはディフェンスを引きはがすためにオフボールスクリーンを駆使して林選手にボールを持たせてディフェンスを崩していきたいのですが、スクリーンがあっても無理やり身体をねじ込んでボールを持たせまい。とするその気迫はぜひ見習ってほしい動きです。林選手もコートの右へ左へディフェンスとのずれを作ろうとしていますが、ずーーーっとオーストラリアの選手が付いてきます。そのあたりの駆け引きも、シューター目線とディフェンス目線で見てみると非常に参考となります。
大きなオーストラリア選手に対する日本選手のインサイドのディフェンスのつき方
オーストラリアは基本的にはゴール下でボールをもって確率よくシュートを行いたい戦術です。高田選手、ステファニー選手などがついている場合は、ミスマッチの差が少ないのですが、ボールラインが高い場所でのピックなどでどうしても背の大きさのミスマッチができてしまうシーンが多々あります。それでも背の大きな選手に日本のガード選手がついても身体を当てつづけ「簡単にはプレーさせないぞ」という意思が画面越しからも伝わってきました。少なからずファウルになってしまうこともありましたが、それでもオーストラリアの選手からすると非常にストレスのたまるインサイドプレーだったように見えました。
ミスマッチができてもボールマンに対して“ハードショウ”を行い、ボールを簡単にパスさせないようなディフェンス。チーム全体でミスマッチを解消しようとオフェンス選手を取り替えるなど、チーム全体でディフェンスしている印象です。
背の高さで負けていてもあのディフェンスのつき方は、とても参考になります。
シュートやドリブルはちょっとやそっと練習したところで劇的に試合に貢献できるようにはなりませんが、女子日本代表のような気迫のこもったディフェンスのつき方というものは、それにくらべて即効性があります。ディフェンスは技術も当然必要ですが、“気持ち”や“気迫”も同じくらい重要です。
どうすれば試合に出ることができるようになるのか。悩んでいるのであれば、ディフェンスという切り口から一度試合を見てみるのもよいでしょう。