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【インタビュー】戦国武将?作家?「柴田勝家」とは何者なのか――知られざる素顔に迫る15のQ&A!『カタリゴト 帝都宵闇伝奇譚』刊行記念

2024年10月、角川ホラー文庫より刊行される『カタリゴト 帝都宵闇伝奇譚』。私立探偵と美しい年少浪曲師のバディが「華族殺し」の謎を追う、大正怪奇ミステリーである……が、本作の著者、「柴田勝家」とは何者なのか?
戦国武将? SF作家? メイド喫茶ファン? ネット上の噂を目にすればするほど、謎は深まるばかり。
真相を追い、角川ホラー文庫編集部は柴田勝家氏を直撃した。

柴田勝家(しばた・かついえ)
1987年、東京都生まれ。2014年『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテストで大賞を受賞し、デビュー。著作に『走馬灯のセトリは考えておいて』『アメリカン・ブッダ』『ヒト夜の永い夢』など。



大正時代は戦国時代の次に好きな時代になり申した。

Q1. なんと生誕500年⁉

――戦国武将・柴田勝家は2022年、生誕500年を迎えられました。この度はおめでとうございます。
 
柴田:や、まさに祝着至極。柴田勝家は大永2年(1522年)の生まれで、同年生まれには三好長慶や千宗易がおります。なお勝家は1526年生、1527年生という説もあるので、まだ祝え続けますぞ!

Q2. ペンネーム「柴田勝家」の由来は?

――「柴田勝家」は実在した戦国武将の名前なわけですが。このペンネームで執筆していくことを決めたきっかけはなんだったんでしょう。
 
柴田:そもそもは大学生の頃、友人と勝負事をしている時に「賤ヶ岳の戦い」を引き合いに出したところ、自然と「柴田勝家」と呼ばれるようになり申した。すでに容貌を柴田勝家に寄せていたからです。その後、文芸サークルに入った際にペンネームも「柴田勝家」とし、さらにデビュー作を投稿した際にも「柴田勝家」で押し通し、今日まで突き進んできました。きてしまった、とも言えます。

Q3. 大正時代が舞台の作品は今作がはじめて?

 ――民俗学とSFを絡めた作品が刊行の度に話題になりますが、今回角川ホラー文庫では大正時代を舞台にした怪奇ミステリーをご執筆いただいています。
 
柴田:いかにも。大正時代頃の話は以前に『ヒト夜の永い夢』(早川書房)で書いたことがあり、今回はその際の経験が生きておりますな。大正時代は戦国時代の次に好きな時代になり申した。

Q4. 今作の着想のきっかけは?

――なるほど。本作は年少浪曲師・湖月と自称「コロシ専門」の探偵・平島がバディを組み、様々な怪事件と対峙していきます。実際直面する事件は「黄金幽霊の首」「ムカデ伯爵と消えたバスガール」と、この本自体が奇妙不可思議な謎の玉手箱のようですが、物語の着想は何から得られたのでしょうか。
 
柴田:オマージュというものでもないのですが、それこそ大正時代創刊の雑誌『新青年』に掲載された作品のようになれば、と。江戸川乱歩や大下宇陀児、甲賀三郎、夢野久作の作品などです。本格か変格かは問わず、戦前の「探偵小説」をイメージしました。

Q5. 今作に登場する「真鶸亭湖月」はどんなキャラクター?

 ――妖しい浪曲師・真鶸亭湖月。魅力的かつなんともミステリアスなキャラクターで、誰もが虜になること間違いなしですね。
 
柴田:ワシも好き! おっと、取り乱し申したな……。しかし、湖月は今まで書いてきた作品にはいないタイプのキャラクターですな。何があったのか、どこかのタイミングで性別不詳の美少年(概念)にいて欲しいな、って思った結果です。

Q6. 読者のみなさんへのメッセージをお願いします!

――『カタリゴト』で柴田さんの作品に初めて触れる方もいらっしゃると思います。読者の皆さんにぜひぜひメッセージを!
 
柴田:や、ワシもまた角川ホラー文庫にては初登場。お互いに初めてならば何ら恐れることはありますまい。是非に本作を手にとって、如何なものかと確かめて頂きたい! 妖しくも愉快、恐ろしくも痛快な大正時代の話がそこにありましょうぞ。

角川ホラー文庫初参戦となる『カタリゴト』にサインを入れる柴田勝家さん。

ワシにとっての小説は「どこか別の世界にある現実」

――さて、実はうちの編集部内でも柴田さんについてもっと知りたいという声が上がっておりまして、素朴&奇っ怪な質問が集まっていますので、ぜひぜひお答えいただきたく。
 
柴田:これは重畳、何なりと聞いて頂ければ結構。それこそ当意即妙に答えてみせましょう。

――ありがとうございます。ではまともな質問から。

Q7. これまで影響をうけてきた小説は?

――SFはもちろん、ミステリー、百合、ホラーまで。様々なジャンルに挑戦し続ける柴田さんですが、これまでどんな小説に影響をうけてきたんでしょうか。
 
柴田:小学六年生の頃、京極夏彦さんの作品と出会ったのが一番の影響ですな。特に『魍魎の匣』と『絡新婦の理』が好きで、まさにミステリー、百合、ホラーが全て詰まっておりますな。あとは大学生の頃に伊藤計劃さんの作品を読んだことでSFに目覚め、今の創作に繋がっております。

Q8. 柴田さんにとって小説とは?

――ズバリ、柴田さんにとって小説とは、創作とはなんですか?
 
柴田:これは周囲にあまり話しておらんのですが、小説や創作物というのは「どこか別の世界にある現実」と思っておりまして、自分はそれを覗き見て、文章化しているという意識が強くあります。なのでワシにとっての小説は「あっちの世界で、こんな面白いことがあったぞ」という報告のようなものです。

――では、ここからは、なぜか集まってしまった奇っ怪な質問も。

Q9. 好きなおにぎりの具は?

柴田:メチャクチャ悩んで三日間くらい考えました。結論はシーチキンです。

Q10. 秋葉原は柴田さんにとってどんな場所?

 ――お仕事を普段秋葉原のメイド喫茶でされていると聞きました。秋葉原は柴田さんにとってどんな場所なんでしょうか。
 
柴田:故郷……、ですかな。海外旅行から日本に帰ってきた時、成田から秋葉原まで直行したことがあります。

Q11. 好きなアニメは?

柴田:なんと難しい! まずは今敏監督の作品と、あとは『NOIR』と『世紀末オカルト学院』と『天保異聞 妖奇士』と『まちカドまぞく』ですね。

Q12. 幼少期のあだ名は?

柴田:ワシ個人はワタゴンで、柴田勝家は権六でしたね。

Q13. もしも異世界転生するなら何に生まれ変わりたい?

柴田:それは無論、戦国武将ですな! 異世界で柴田勝家を名乗れば、もはやワシが偽者だとは思われますまい。万が一、本物の柴田勝家が先に同じ世界に転生してない限りは……。

Q14. 角川ホラー文庫の愛読作品は?

――『カタリゴト 帝都宵闇伝奇譚』で角川ホラー文庫初参戦となりますが、角川ホラー文庫の愛読作品は何かありますか? あればぜひオススメしてほしいです!
 
柴田:角川ホラー文庫だと、澤村伊智さんの作品を好んで読んでおります。比嘉姉妹シリーズも好きですが、最近読んだ中だと『予言の島』が好きです。

Q15. 「#角川ホラー文庫的体験」を教えてください!

――それでは最後に。柴田さんがこれまでの人生で経験しためちゃくちゃ怖かったエピソード、いわば「#角川ホラー文庫的体験」があれば教えてください。
 
柴田:五、六歳の頃でしょうか、当時、両親と布団を並べて寝ていたんです。夜中にふと目覚めると、自分と父親の間に見知らぬお爺さんが寝ている。子供心に「誰か親戚が泊まりに来てるのか」などと冷静に考え、次に「お客さんなら玄関に靴があるはずだ」と判断する。幽霊だなんて信じたくない思いで、布団から抜け出し、わざわざ玄関まで確かめに行った覚えがあります。もちろん玄関に目新しい靴などなく、部屋に戻ればお爺さんの姿もない。単に寝ぼけていただけと、そう言えます。でも、布団から出て、立ち上がり、部屋を出る直前まで、お爺さんの姿はしっかりと見えていたんです。
 
――なんという恐怖体験! お爺さんの正体は何だったんでしょう……
しかし今回のインタビューで、柴田さんの正体がかなり明らかになりました!(?)
柴田さん、本日はありがとうございました。


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■ 書誌情報

書名:カタリゴト 帝都宵闇伝奇譚
著者:柴田 勝家
発売日:2024年10月25日
ISBN:9784041116364
定価:858円(本体780円+税)
ページ数:336ページ
判型:文庫判
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322104000298/

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