山登りとキャリア~編集のススメ~
■野球大好き・橋本です
こんにちは。カドベヤでエージェントを担当している橋本です。
いやぁ、今シーズンも大谷翔平選手の活躍すごいですね~。
ホームラン数やピッチャーでの勝利数も気になりますが、私的に気になるのは、メディアでもたびたび話題になっている大谷選手の「人生設計シート」です。
高3の時に書いたものだそうですが、時期は違えど、”メジャー入団”や”WBC日本代表 MVP”など、実際に書かれている人生計画が達成され続けているのを見ると、野球の才能以外にも、その実行力に驚きますよね…。
さて、今回はエージェントの立場から”編集のススメ”というテーマです。
数年前に、カドベヤで取引のある編集工学研究所が主催する編集学校のコースを受講させてもらったことがありまして、その時の気づきが、キャリアを考える際に大切だと思ったので書いてみます。
■わたしたちは日々”編集”をしている!?
まず、「編集」と聞くと皆さんどんなイメージを持ちますか?
おそらく、書籍や雑誌や映像等の編集をイメージするのではないでしょうか。 編集工学研究所・所長の松岡正剛さんは上記の編集を、機械的な「かたい編集」と呼んでいます。
いっぽうで、アナログ的な「やわらかい編集」というものがあり、「人間の感覚や知覚や言葉やしぐさや行動によって、何かが理解されたり伝わっていく」と松岡さんは話しています。(「知の編集術」(松岡正剛著)より)
ピンと来ないかもしれませんが、編集とは単に情報を形にしていくだけではなく「人間の知的営み全体のこと」で、日常生活全般に現れてくるものなんです。
■たくさんの”わたし”
編集学校でやったワークショップのひとつに「たくさんの”わたし”」というものがあります。
内容は簡単で、1項1文で「私は×××な○○○である」という形式で、15個以上の「たくさんの”わたし”」を挙げてもらうというものです。
例えば、私が一部挙げてみると…
私は代々続く近眼一家の息子である/「家族フィルター」
私はいつまででも寝ていたいコアラである/「嗜好フィルター」「メタファー」
私は仕事で全国の道の駅を渡り歩いた道の駅マスターである/「自信フィルター」
このように「注意のカーソル」を自在に動かしたり、「フィルター」を切り替えて、”自分情報”を取り出していきます。意識的にカーソル・フィルターを動かすことで、たくさんの自分を見つけることができます。これも”編集”です。
■レンガ積み職人たちの仕事観
そこで次は、かの有名なイソップ寓話の「レンガ積み職人」の話。
知らない人のために簡単にまとめると、
という内容です。
レンガ職人A:「レンガ積みに決まっているだろ。暑くて大変だよ。」
レンガ職人B:「レンガを積んで壁を作っている。いい金になるんだ。」
レンガ職人C:「歴史に残る偉大な大聖堂を造っている。光栄なことだ。」
つまり、3人の捉え方はこう置き換えられるんじゃないでしょうか。
ここで先ほどの編集的な考え方で縦軸横軸に当てはめていくと、「仕事」の捉え方が多様になるんです。
一般的にレンガ積み職人の話は、目的意識・ビジョン達成等に関連して語られることが多いですが、ここで言いたいのは、AさんBさんCさんがどうこうではなく、物事のとらえ方(カーソル/フィルター)はひとそれぞれで、変わることもある、ということです。
■”山をたのしむ”とは?
最後に、キャリアの考え方を「山登り」でとらえてみます。
ここでは大きく2つに分けましたが、言いたいのはそれぞれの良し悪しではなく、 目的は人それぞれで、「山(しごと)を楽しんでいる」という事実です。
(冒頭のメジャーリーガーの大谷さんの場合は、おそらく数々の山を踏破し、さらに高い山のピークハントを目指し続けているんでしょうね。)
さらに、山登りの最中に、大きな”イベント(転機)”があった場合は、また違った結果になってきます。
例えば、急な天候の変化や、がけ崩れに遭遇、一緒に歩く仲間のケガ、などもあると思いますし、
また、途中で寄った休憩場所の景色が美しすぎてそこで時間を過ごす、山小屋の居心地が良すぎてそのまま居座る、のようなこともありえますよね。
つまり、編集的な考え方でいくと、”イベント(転機)”があった際に大切なのは、
「意味」や「価値」を捉えなおして「山を楽しむ」ことに意識を向けること、
なのではないでしょうか。
キャリアの捉え方も同じで、「就業形態」「待遇」「業種・職種」から選択肢を考えることの他に、その人の持つ「意味」や「価値」から選択肢を広げていくことができるんです。
※ちなみに、キャリアコンサルでは、キャリア上のイベント(転機)をどう乗り越えるかは 「シュロスバーグの4Sモデル」などが活用されることがありますが、またそれは別のお話で。
という訳で、今回は ”編集(的な考え方)のススメ” ということで、
みなさんも、仕事に、人生に、意識的に取り込んでみてはいかがでしょうか?
〆