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Vol.6  歯科クリニックの「特色」を出すために。大切なのは院長の「言語化力」

みなさん、お久しぶりです。歯科コンサルタント角 祥太郎のマネージャーを担当しております、高橋です。

前回のnoteでは、歯科医院内の「チーム力」を伸ばすために、重視すべき点をお聞きしましたが、今回は「歯科医院の独自性」について。

これまでの記事をお読みいただいている皆様なら、もうお分かりかもしれませんが、本記事で紹介する内容も、地に足のついた取組みとなっております。

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特色を出すために、まず、すべきこと

ーー 今回は、歯科医院の独自性を引き出す、とっておきの秘策を教えていただきたいと思います。コンビニよりも数が多い歯科医院ですが、“特色”を出して、患者さんに魅力的に感じてもらうためには、どうすればいいのでしょうか?

歯科医院の特色が何かというと、それは「院長」です。特色を出すためには、院長の考えをしっかり言語化する必要があります。ただ、これがなかなか難しいんですよ……。

ーー 企業理念のように、クリニックの経営方針を言語化すればよいのでしょうか?

いきなり「当院の理念を考えよう!」とすると、どこかで聞いたような言葉を模してしまい、院長が本来目指したい理想とは、異なってしまう可能性があります。また、言語化を意識しすぎるあまり、好きな治療法についてだけ言及が行われてしまい、その理由を深掘りしないのも、あまり良くありません。つまり、大切なのは「何が好きか?」ではなく、さらにその先にある「なぜそれが好きか?」なんです。

ーー それって、角さんが日頃、コンサルティング業で伝えている「コア」に通じるものですか?

そうです。例えば、ある院長先生が「入れ歯治療が好きだから、当院は”入れ歯治療の得意なクリニック”で打ち出していこう」では、まだ少し浅い。
「入れ歯治療の何が好きか?」「入れ歯治療を通して、患者さんにどうなってほしいか?」など、とにかく深掘りしたり、細分化したりして、考え尽くことが大切。

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その結果、「入れ歯治療とは、患者さんとのコミュニケーションだ」と、納得のいく答えが出せたら、その院長の場合は、「コミュニケーションに熱量を注ぐ」ことが、その歯科医院の特色と言い換えることができます。

ーー もう少し詳しく教えていただけますか?

具体的な手順を説明すれば、わかると思います。難しくはありません。今の例の続きから説明すると、「コミュニケーションに力を入れる」という指針が定まったら、次は矢印をどこに向けるかを考えます。

「この街の未来」に矢印を向けてコミュニケーションをするなら、小児歯科や歯科検診に力を入れて、街の未来にむけた歯の健康づくりをしていく、という方針が明確になるでしょう。

もしくは「この街に暮らす人」に矢印を向けてコミュニケーションをするなら、地域に雇用を生むための歯科医院経営に取組むという方針になるかもしれません。

好きだと感じる状態を”動詞”としてとらえ、何に対して行動するかを、矢印で示す。ここまでくれば、もう院長の“理想を実現するための取組み”は、整理できるはずです。スタンスとは、ビジョン。つまり歯科医院経営の理念そのものです。


ビジョンが見つかれば、院長もスタッフも、行動は変わる

ーー だんだんとわかってきました。

夢と魔法の国・ディズニーランドで働くクルーたちは、「自分の言動・行動を通して、来園者に夢を与えられているだろうか?」とつねに意識しながら、働くことができますよね。

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歯科医院でも同様です。ビジョンが行動指針になり、スタッフが自発的に考えるためのヒントになるんです。

ーー ビジョンと行動指針はセットなんですね。

ビジョンを共有できれば、チーム力や集患力は、自ずと伸びていくと思います。

ーー ビジョンの共有って、どうすればいいのでしょうか?

ビジョンは未来の理想を語っています。つまり、ビジョンと日常業務との間に、まだ距離があるんです。行動指針として普段使いするためには、ビジョンを分解して、目の前の業務に落とし込む必要があります。

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ーーもう少し聞かせてください。

「患者さんとのコミュニケーションを大切にしましょう」と、「目の前の患者さんを笑わせましょう」では、どちらのほうが具体的でしょうか?後者のほうが、何をすれば良いか、瞬間的に伝わりませんか?

患者さんに笑ってもらうためには、どうすればいいだろう?歯みがき指導は?歯石取りは?どんなふうに伝えよう?と考えますよね。

ーー確かに、具体的に何をすればいいか、イメージが湧きやすいです。

理念を行動に落とし込むことは、とても大切です。一人ひとりが自由に動けるようになりますし、理念を共有することで、院長とスタッフの間に一体感が生まれ、自ずとチーム力も高まっていくんですよ。

ーー “和気あいあいとしたチーム”なのか、“全員が真面目に取り組むチーム”なのか、クリニックのもつ個性も出てきそうですね。

続けるうちに、「本当にこれでいいのか?」と感じる場面が出てくるかもしれませんが、焦る必要はありません。理念の言語化はしっかりできていますから、現場への落とし込み方を変えるタイミングでしょう。ズレが生じたら、その都度アップデートしていけば良いんです。


歯科医院の成長は、スタッフの主体性に委ねる

ーー アップデートについても詳しく伺いたいのですが、角さんがコンサルを担当するときには、具体的に何をされているのですか?

一番大切なのは、よく話すこと。かしこまった話ではなく、普段の業務の延長線上でするような雑談です。とくに効果的なのが、終礼時の雑談ですね。働くスタッフの自己肯定感が高いクリニックは、終礼に力をいれています。

ーー 終礼では、なにをどうすればいいのでしょうか?業務報告をすればいいのですか?

朝礼は「To Do」でよいのですが、終礼は、「To Feel」を心がけましょう。
もちろん、業務上必要なTo Doを聞くことは大事です。ただ、それだけで終わらせてはいけません。その業務を通して、どんなことを感じたかまで聞くようにしましょう。

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最初は、スタッフもうまく言葉が出てこないかもしれないですが、単語レベルでも稚拙な表現でも全然OK。その業務を通して何を感じたか?感情の部分まで、スタッフ一人ひとりが考えて、言語化することが大切なんですよ。

ーー とてもシンプルに感じますが、終礼でTo Feelをするだけで、そこまで変化するものですか?

私が歯科医院で代表を務めていた当時を振り返っても、院内の体制が改善されたのは、終礼を始めた頃からなんです。不思議ですよね。

業務内容を共有するTo Doのほうが短時間で済みますし、効率が良いと感じるかもしれませんが、終礼でTo Doをやってしまうと、次の業務にばかり気を取られ、振り返りの時間を持てません。その環境下で良いサイクルを回すのは、難しいでしょう。

ーー To Do中心の確認ばかりだと トップダウンに偏ってしまいそうですね。

院長が一人で理想を語っても、それはいつまで経っても絵に描いた餅のまま。歯科医院の特色は、チーム全員で作り出すものです。

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そのためには、スタッフ一人ひとりが主体的に考え、行動する組織でなければいけません。院長とスタッフはいわば共犯者です。

何度も意見を交わし、時間をかけて企みを育てていってください。迷ったときは、「院長の理想」という初心に返れば、そこからまた始めていくことができますから。


【マネージャー 後記】

「角 祥太郎が説く 歯科クリニック経営論」は、今回で最終回となります。みなさま、お楽しみいただけましたでしょうか?

日々、忙しく業務に追われる歯科クリニックの現場でも実践できる、具体的なアドバイスを、たくさんお聞きすることができました。

実は、この連載で紹介した話は、いつも角さんが講演やセミナーでお話しているものなんです。無料で読めてしまうなんて……すごい。少しでも参考になる部分があったのであれば、幸いです!


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