ハンマーと言葉は使いよう。
わたしは英語を教えることを仕事にしています。
「英語を教える」とは、つまり「ことばを教える」という事。
「ことば」
………. 。
「ことば」って、なんぞや?
よく言われるのは「コミュニケーションのツール」
とか
「自分を表現するためのツール」。
そう!
「ことば」は ツール (道具) 。
しかも、それはそれは強力なツール。
そして、ツール(道具)は「使い方」を学ばないといけないのです。
例えば、ハンマーを持ってきて
「これがハンマー🔨!」
とだけ教えても何にもならないし、むしろそれは危険です。
ハンマーの使い方を教えてあげないと、ブンブン振り回すかもしれないし
手を怪我したり、人を怪我させてしまうかもしれません😱
「怪我させてしまうから、こんな風に使うのはダメ。
でも、こういう風に使うとイスとかテーブルとか色々な物が作れるんだよ。」と教えてあげる必要があります。
英語も同じ。
例えば、否定形 not。
It’s not …とか He’s not…くらいは、子どもの基礎クラスの子でも使えます。
It’s not rainy.(雨降ってないよ。)とか It’s not my book.(私の本じゃないよ。)とか、レッスン中や普段の生活でもよく使いますよね。
でも、こういう使い方はどうでしょう?
人に対して She is not cute. (彼女はかわいくないね。)
お友達の描いた絵に対して It’s not cool.(かっこよくない。)
こういう使い方をした場合は、必ず「そういう使い方は良くないよ。」という事を教えないといけません。
間違っても「わー!発音きれいだね!」とか「英語喋るのすごい!」とか、このタイミングで言ってはいけません。ハハハ!と笑って流すのもだめです。
英語って、ついつい「文法の正しさ」とか「発音の綺麗さ」とかに目が行きがちですが、それと同じくらい「ことばの使い方(どんな言葉を使うのか。どんな表現をするのか。)」って大事だと思っています。
子どもが母語を身につける過程も同じですが、言語は、使いながら正しい使い方を学ぶんです。大人の話している言葉を聞いて真似したり、使ってみて相手の反応をみて確かめたりしながら。
特に子どもに英語を教えている先生は、ここに責任感を持つべきです。
言葉は人を生かすことも殺すこともできる。
という事を教えないといけない。
- 若林俊輔
言葉には「もう生きているのが嫌だ」と思っている人に「いや、もう一度生きてみよう!」と思わせるすごい力がある。
はたまた、心無い言葉は人を殺すこともできる。
だから、言語を教える人は、ただ「ことば」だけを教えていればいいというのは、あまりにも無責任です。
「ことばの使い方」をセットで教える責任があります。
英語というツールは、正しく身につければ自分の世界や可能性をぐーん!と広げてくれるすごいツールになります。✨
でも、英語講師として一番悲しいのは、英語で人を傷つけるような事を平気で言う人間を育ててしまう事。間違った英語の使い方を教えてしまうことです。
どんなに流暢に話そうが、綺麗な発音だろうが、使い方が悪ければ人と友好的な関係を築くことは難しいです。
英語で人を見下したり傷つけたりするのではなく、英語でたくさんの人と繋がって視野を広げて、人の役に立って、豊かな人生を歩んで欲しいですもんね😊