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大人しかわからない「知識欲を満たす」という金のかからない遊び
12月も終わりに近づき、いよいよ受験シーズン。
私も、20数年前は受験生だった。
美術大学の実技試験のために、せっせとデッサンと色彩構成をこなし
さらに学科試験のために、苦手な英語を暗記して。
不安と焦りに押しつぶされそうになりながら。
西武線の電車で画塾へ通っていた。
当時、私は勉強の内容にちっとも興味を持てなかった。
あの頃は全て「やらされている勉強」だったから。
(※絵を描く方は楽しかったけど)
そして今、40過ぎて勉強をしている。
「宅建」という資格を取りたくて。
学生時代よりやる事が多すぎて、朝しか勉強できないけど、
勉強しててなんか楽しい。
「は?勉強が楽しいの?どこが?辛いだけじゃん」
と当時の私なら言うだろう。
自分でも不思議だけど、40過ぎて勉強していると、
干からびた脳みそに水をあげているような感覚になる事がある。
「私の脳みそってこんなに知識欲があったんかいな」
と思うぐらい、吸収する。
難関試験だから受かるかどうかは別として、
「知識を得る事がこんなにも楽しいとは…!」
というアハ体験自体が面白くてしょうがない。
勉強だけじゃない。
宅建って不動産に関する資格だけど、
そのなかの「都市計画法」というのがあって、
街というものには色々なルールが決められているのを知る。
すると、車を運転中に
なぜこの地域に商業施設が多いのか、
なぜこのエリアだけ工場ばかりなのか、
色々な事がリアルに理解できる。
シムシティというゲームの偉大さが理解できる。
市区町村長や都道府県知事は
どんな権限があるのかというのが分かる。
実は法律や条例というものが、
私達の暮らしを見えない糸でしばっているのが分かる。
私はこれをテキストと問題集の購入資金だけで十分楽しめる
ある種の「大人の遊び」だと思っている。
別にインテリぶってるわけじゃない。
偏差値の低い高校生だった私でも、
大人になればこんなにも「知識欲」が産まれるのだ。
ほんとうに不思議。
もしかしたら40を過ぎて、
死に近づいていくほどに、
知識の尊さというものに気づいて
脳が焦り始めるのかもしれない。
こんな感覚が、
当時の受験生だった自分にもあったらよかったな。
と思った話。