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これであなたも悩みに困らない

会社の同僚が、悩みがなくて困っていると言った。
バカなのかもしれない。
うすうすそうではないかと思っていたが、確信に変わりつつある。

人間は、悩みに困らないようにできている。いかなる状況でも悩むことができる。たとえば次のリストを見てほしい。

・身長が低すぎる
・身長が高すぎる
・身長が周りと変わらない
・頭が良すぎて話が合わない
・頭が悪すぎて話が合わない
・頭が平凡だから話も平凡だ
・親ガチャがハズレだった
・親が立派すぎる
・親が平凡だ
・都会に住みたい
・田舎に住みたい
・都会か田舎に住みたい

このように、いかなる状況でも悩むことができる。どうしようもない親のもとに生まれた人は良家に生まれたかったと嘆き、政治家の家庭に生まれた人は平凡な家庭に生まれたかったと嘆き、平凡な家庭に生まれた人は金持ちの家に生まれたかったと嘆く。すべて、本気で悩むことができることばかりだ。

ダニエル・スロスというイギリスのコメディアンは、いい家柄の出身だ。両親の考え方も古臭くなく柔軟で、コメディアンになりたいとカミングアウトしたときも応援された。遠い場所へは送り迎えまですると言ってくれた。恵まれた環境だが、彼はそれが悩みだったと言っていた。こんなに恵まれていたらコメディアンとして成功できないと思ったからだ。

英語圏のコメディは、日本だとタブーになるような問題をとにかくネタにする。深刻なテーマであればあるほど、ジョークにしようとする。(ちなみに僕はこのやり方が大好きだ。逆に日本の、タブーには触れてはいけないという空気のほうが嫌いだ)

だから、幼少期は貧乏だったとか、人種差別を受けてきたとか、親から虐待されていたとか、そういう経験をネタにしてステージに立つが、彼は白人の上流階級出身で3食送迎付き、おまけに両親が理解のある人でコメディアンになるという反対されそうな夢まで応援されてしまった。「どうして俺はほかのコメディアンみたいにひどい目に遭わないんだ。これじゃネタがない」と本気で悩んだそうだ。

こういうことが理解できれば、もう悩みがないことに困ることはなくなるどころか、悩み放題な毎日が待っている。

そうなれば、人生に少しは彩りがプラスされるだろう。
悩みがないなんて、人としてとても悲しい。

現実にはそんな人おらんけど。

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