【企業分析】Align Technology

ALGN(NYSE)
時価総額: 200億ドル
株価:253ドル
売上高: 40億ドル
営業利益: 9.8億ドル
(2021年)

事業内容: 歯列矯正用具・医療機器の製造販売
設立年:1997年、上場
本社: 米国🇺🇸アリゾナ州
代表者: Joe Hogan(President & CEO)
従業員数: 22,540人

概要

世界的な医療機器会社。3Dデジタルスキャナーと、歯科矯正に使用されるクリアアライナーのメーカーです。アライナーはメキシコのフアレスで、スキャナーはイスラエルと中国で製造しています。

Align Technology本社

プロダクト・ビジネスモデル

Invisalignクリアアライナー、歯科用iTero口腔内スキャナーおよびサービス、歯科研究所および歯科医師向けのexocadコンピューター支援設計およびコンピューター支援製造（CAD・CAM）ソフトウェアの設計、製造、およびマーケティングを行っています。クリアアライナー、システムとサービスの2つのセグメントで運営されています。

・クリアアライナーセグメント
Invisalign ComprehensiveとInvisalign Firstを含む包括的な製品、Invisalign Moderate、LiteおよびExpress packages、Invisalign GoおよびInvisalign Go Plusを含む非包括的製品、および保持製品、Invisalignトレーニング、医師が処方した主要製品を補完するものであり、治療過程で歯科専門家が使用する調整ツールおよび消費者製品を含む非ケース製品で構成されています。

インビザラインは、アライン・テクノロジー社が製造するクリアアライナーのブランドである。クリアアラインシステムは、1220万人以上の患者の治療に使用される。

iTero Elementファミリーの口腔内スキャナーは、患者さんの体験を向上させ、臨床の精度を高めることで、今日の歯科診療を未来へと導きます。

・システムとサービスセグメント
iTero口腔内スキャンシステムで構成される。

アライン・テクノロジーは、言わずと知れたクリアアライナーのカテゴリーリーダーです。
10年にわたる成長実績がありますが、世界の歯列矯正市場はまだ十分に浸透していません。

アラインの競争優位性には、比類のないスケールメリット、訓練を受けた医師の大規模な基盤、消費者の圧倒的な存在感などがあります。

Alignのフリーキャッシュフローは拡大しており、事業への再投資を可能にする一方で、選択的な買収も行っています。

市場動向

近年成長を続けているアライナー。正確には「アライナー型矯正装置を用いた矯正治療」だが、巷ではアライナー矯正やマウスピース矯正という呼称で通っている。

従来のマルチブラケット装置に比べ「目立たない」とか「清潔」「扱いやすい」など、患者にとってなんとなく手軽そうなイメージを広めている。呼称や謳い文句から人気を博しているのももちろんだが、何より安価に始められる矯正として話題になっているものも多い。

なぜアライナーが伸びているか？

もちろん冒頭に述べた手軽なイメージや、術者にとってもハードルが低そうに感じることが要因となり広まっていることも大きい。

しかしニーズもさることながら特許権の消滅が起因して市場が拡大したと考えている。その特許を保有していたのはアライナー企業の最大手とも言えるAlign Technology社だ。

Align Technologyは創業当初から知財戦略に取り組み、多くの特許を取得してきた。そして20年が経ち、基本特許満了となったため一気にベンチャーを含む競合他社が参入し始め急速な市場拡大に至った流れだ

世界のClear Aligners市場は、2027年までに140.9億米ドルに達する見込みです。世界のClear Aligners市場は、2020年には約26億米ドルと評価されており、2021年から2027年の予測期間中に27.3%以上の健全な成長率で成長すると予想されています。

Clear Alignersは、透明で薄い取り外し可能なトレーで、歯を望ましい方向に並べることができます。世界のClear Aligners市場は、Clear Alignersを含むオーラルケアの需要が急増していることによって牽引されています。Statista社によると、世界のオーラルケア市場は、2019年の445億ドルから2025年には553億ドルに達すると予測されています。また、市場を牽引する要因として、技術をアップグレードした製品の発売が増加していることが挙げられます。

例えば、2021年9月、Rejove Clinique社は、高度な矯正治療のためのクリアアライナーシステムを年齢層を超えた人々に向けて発売しました。また、2021年9月には、クリアアライナーメーカーのSmileDirectClub（SDC）が、2021年末までにフランスで歯列矯正製品を発売することを発表しました。さらに、不正咬合の有病率の上昇、カスタマイズされたクリアアライナーの需要の高まり、歯科医療における技術の進歩、歯の外観への関心の高まりは、世界のクリアアライナー市場に新たな機会を提供します。

WHOによると、不正咬合は世界で3番目に多い歯科疾患と考えられています。しかし、クリアアライナーの高額な費用や、矯正治療に対する保険の適用範囲が限られていることが、2021年から2027年の予測期間において市場の成長を妨げる可能性があります。

世界のClear Aligners市場の地域別分析では、アジア太平洋地域、北米、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、その他の地域といった主要地域が分析されています。北米は、既存のプレーヤーによる研究開発投資の増加により、市場シェアの面で世界の主要地域となっています。一方、アジア太平洋地域は、若年層の人口増加、オーラルケアに対する需要の増加、人々のオーラルケアに対する意識の高まり、新製品の発売などにより、2021年から2027年の予測期間において最も高いCAGRを示すと予想されています。

クリアアライナー市場には、スマイルダイレクトクラブ（SDC）のような消費者直結型（「DTC」）企業と、インビザラインのように矯正医を通じて販売する事業者が存在します。主な競合他社には、StraumannのClearCorrect（OTCPK:SAUHF、OTCPK:SAUHY）、EnvistaのSpark（NVST）などがあります。

この市場を長期的に勝ち抜く鍵は、最も重要な販売チャネルである歯科矯正医と一般開業医（以下、GP）で実行することだと考えられる。DTCチャネルは、歯科医師による現場指導がないため、今後も軽度の症例に限定されるでしょう。Covidで追い風となったはずのSmileDirectClubの苦戦は、DTCチャネルの根本的な弱点を示しています。

大まかに言って、自分の子供（あるいは自分自身）の歯の治療を、歯科医や矯正歯科医以外のところで買いたいと思う親がいるでしょうか。ほとんどの人は、医療専門家に経過を評価してもらい、治療が順調に進んでいることを保証してもらいたいと思っています。そのため、インビザライン、クリアコレクト、エンビスタの販売戦略は、長期的に見て最も有望であると思われます。

インビザラインは、グーグル（GOOG、GOOGL）の検索市場のシェアと同様に、90％以上のシェアを持ち、市場を支配しています。

業績

過去10年間の売上成長は健全で、2011年以降CAGR23％を示しています。クリアアライナーの売上は22％、システム＆サービス（iTeroスキャナーと関連サービス）の売上は年間38％の成長を遂げています。

売上総利益率は同期間平均で75%であり、これはアラインが医師に対してプレミアムな価値を提案していることを示しています。インビザラインは、従来の歯列矯正と比較して、診療所レベルで有意義な業務効率を可能にするため、医師はプレミアム価格を支払うことを望んでいます。一方、消費者は、1回限りの購入という性質と、その見返りとして受け取る具体的な価値により、プレミアム価格を支払うことを望んでいます。

営業利益率は2011年以降平均21％で、2021年には25％に達した。これは、前年比60％の売上成長に対して、若干の営業レバレッジが効いているためである。Invisalignは、グローバルな販売力を構築し、世界の歯科市場にゆっくりと浸透するための再現性のあるレシピを実証しているので、私はこの利益レベルを長期的に維持することを期待しています。

アラインは、クリアアライナーのマーケティング、製造、販売において、スケールメリットを享受しています。インビザラインは100カ国以上で販売されていますが、クリアコレクトは46カ国、スパークはさらに少ない国々で販売されています。これにより、インビザラインは歯科エコシステムにおいて早期にリーダーシップを確立し、より新しい市場の成長を取り込むことができます。

生産面では、アラインは需要に合わせて能力を拡大し続けています。最近、メキシコのフアレス、中国の紫陽にある既存の施設に続き、ポーランドのヴロツワフに3番目の製造工場を建設することを発表しました。

これにより、生産拠点がヨーロッパの顧客に大幅に近づくことになり、将来的にインビザラインの販売台数の伸びを促進する基盤が整うことになります。歴史的には、症例出荷が収益成長を牽引しており、2011年から2017年の年平均成長率21％に対し、2017年から2021年（特許失効後）は27％を示しています。

フリーキャッシュフローマージンは、2011年から2021年まで平均21％であり、基礎となるキャッシュフローの強さを示している。2021年のCapExが160%に急増したにもかかわらず、フリーキャッシュフローが前年比52%増となったのは、繰延収益残高（～12億ドル）の増加によるものである。

繰延収益は以前からアラインのトップラインの勢いを示しており、2011年から2021年にかけて36%のCAGRを示しました。重要なのは、2011年から2017年までの年率31％に対し、2017年から2021年までの年率44％で繰延収益が成長していることから分かるように、最近も勢いが衰えていないことです。これは、多数の競合他社が参入しているにもかかわらず、アラインがその地位を守っていることの表れであると私は見ています。

アラインは毎年再投資を続けており、2011年から2021年までの平均で24％という堅実な資本収益率を実現しています。ここでも注目すべきは、2017年以降、増加するリターンを生み出している点です。資本に対するリターンは、2011年から2017年の22％に対し、2017年から2021年の平均29％（2020年のCovidによる一時的な圧縮を含む）です。2020年を除くと、当社は2017年以降、平均34％の資本収益率を記録しています。

アラインは主に生産能力の拡大に投資しており、ポーランド工場は、生産拠点を顧客の近くに移す長期計画の第一段階となります。この施設は今年中に開設される予定です。

買収については、当社は選択的に積極的に行い、大きな成功を収めてきました。2011年に1億8800万ドルで買収したケイデントは、現在7億ドルの売上規模を持ち、過去10年間で年間46%の成長率、65%以上の売上総利益率を達成しています。

2020年には、完全に統合されたデジタルデンタルプラットフォームを構築する取り組みの一環として、歯科用CAD/コンピュータ支援製造（以下、CAM）ソフトウェア会社のexocadを買収しました。

買収後、exocadはインストールされているソフトウェアのライセンス数を4万から4万7千に伸ばしており、これは既存の診療所へのソフトウェアのクロスセルに中程度の成功があることを示すものです。122,000人の医師がインビザラインを使用しており、アラインのエコシステム内だけでもエキソカドが成長し続ける余地は十分にあるように思われます。

経営者 

創業者のZia Chishti氏はモルガン・スタンレーに勤めていた頃、自身のリテイナーから着想を得て1997年に起業。わずか2年たらずでFDAに承認を得てInvisalign®︎の販売を開始し、2000年までにVC（ベンチャーキャピタル）から1億4000万USドルもの資金調達を達成した。さらにその1年後には1億USドルのバリュエーションでNASDAQ上場、とお手本のようなユニコーン企業になった。

Zia Chishti 共同創業者

1997年にZia ChishtiとKelsey Wirthによって設立され、クリアアライナーの開発に取り組み始めました。1998年にインビザラインシステムの販売許可をFDAから受け、2000年に初めて販売されました。アライン・テクノロジーは2001年1月26日にナスダック株式市場で上場しました。

2011年3月、アラインはイスラエルのケイデント社を1億9000万ドルで買収しました。ケイデント社は3Dイメージングを含む口腔内スキャナーと、取得した画像を表示し、治療計画を立てるためのソフトウェアを製造していました。

ジョセフ・M・ホーガンは2015年6月にアラインに入社し、CEOを務めている。

同社の売上高は2016年に初めて10億ドルに達し、同社の製品は歯列矯正を受ける人の約8％に使用されていた。2017年、同社は2017年10月からインビザラインシステムの特許が失効し、後発品競争が始まるという課題に直面することになった。

2020年3月、アライン・テクノロジーは、exocad Global Holdingsを約4億1870万ドルで買収する最終契約を締結したことを発表した。

Chishtiは、成人矯正歯科の患者であったときにインビザラインの基本設計を思いつきました。治療を完了するためにリテーナーを使用している間、彼はこのような装置をいくつか使用することで、一連の小さな動きで大きな最終的な配置を行うことができると考えました。ケルシー・ワースと提携し、開発者を募りました。

インビザラインは1998年に食品医薬品局によって承認され、1999年に米国で販売が開始されました。1997年から2000年にかけて1億4千万ドルのベンチャーキャピタルが調達され、さらに2001年の新規株式公開で1億3千万ドルの資金が調達されています。アライン・テクノロジー社によると、2014年時点で、世界中で240万人がインビザラインによる治療を受けており、8万人の歯科医がその使用方法のトレーニングを受けているとのことである。

矯正歯科医は、特に創業者が矯正歯科の資格や専門知識を持っていなかったため、当初はインビザラインを採用することに抵抗があったが、製品は消費者の間で人気が出でました。2000年にアラインテクノロジーは、ニューヨークタイムズが「歯科医師がこれまで見た中で最も積極的な消費者広告計画」になると述べた3100万ドルのテレビ広告キャンペーンを計画した。1997年から2000年までに4ラウンドで約1億4千万の資金調達がありました。

2001年までに、北米の8500人の歯科矯正医のうち75％がインビザラインシステムのトレーニングを受けていました。 同年、矯正医のみがインビザラインシステムを使えるようにすることは歯科医の不当競争を引き起こすという集団訴訟の後、アラインテクノロジーが一般歯科医にインビザラインを提供しました。

株価推移