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【企業分析】ResMed(レスメド)
RMD (NYSE)
時価総額:320億ドル
株価:218ドル
売上高:36億ドル
営業利益: 10億ドル
(2022年)
事業内容: 睡眠時無呼吸症候群等の慢性疾患向けの医療機器・ソリューションを提供
設立年:1989年、1995上場
本社: 米国🇺🇸カリフォルニア州サンディエゴ
代表者: Peter C. Farrell(創業者兼会長)、Michael Farrell (CEO)
従業員数:8,160人
概要
レスメド社は、カリフォルニア州サンディエゴに本社を置く医療機器メーカーです。
主に、睡眠時無呼吸症候群(CPAP装置やマスクなど)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、その他の呼吸器疾患の治療用のクラウド接続型医療機器を提供しています。
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レスメドは、COVID-19患者の呼吸器症状を治療するために、数十万台の人工呼吸器とバイレベル装置を製造しています。また、高齢者とその介護提供者(在宅医療、ホスピス、熟練看護施設、ライフプラン・コミュニティ、高齢者生活センター、私的勤務など)のために、これらの介護環境へ、およびそれらの間でのケアの移行を合理化するソフトウェアを病院外の介護施設に提供しています。
2020年1月30日時点で、従業員数は7,770名。それぞれの部門にバランスよく配置されています。
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140ヶ国でビジネスを展開しているグローバル企業です。従業員も各地で働いています。
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プロダクト・ビジネスモデル
地域
米国欧州アジアなどグローバルに事業展開しています。米国・カナダ地域を中心に、欧州やアジアでも レスメドの製品・サービスは患者に利用されています。
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3種類の製品・サービス
レスメドは、呼吸器疾患治療に関するマスクや医療機器を製造販売しています。さらに、院外でのSaas医療ITネットワークサービス事業にも進出しています。 医療機器とマスクが主力です。
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2種類の医療分野
主力の医療分野は 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome) と慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease)です。レスメドは睡眠・呼吸にほぼ特化した会社した会社と言ってよさそうです。
マスク
代表的な製品は睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)治療用のマスクです。様々なタイプのマスクが販売されています。例えば、「AirFit™ F10 full face」は、写真のようなマスクです。
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(引用:AirFit™ F10 and AirFit F10 for Her full face masks – ResMed Healthcare Professional)
閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure;持続陽圧換気療法)が知られています。 「AirFit™ F10 full face」 は、 CPAP 用のマスクとして販売されています。
患者は就寝時に頭にマスクを固定して、口鼻部分にこのマスクをはめます。睡眠中、CPAP装置からエアチューブを伝い、空気が送り込まれます。
医療機器
レスメドの代表的な医療機器は人工呼吸器です。
睡眠時無呼吸症候群(睡眠関連呼吸障害(sleep related disorder breathing;SRDB)と称されることもある)への治療として、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure;持続陽圧換気療法)がよく知られてい ますが、CPAPの他、APAP、BPAP、ASVも知られています。
レスメドは、このような様々なタイプの人工呼吸器を製造販売しています。
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(引用:airsense10_aircurve10_product_and_therapies_matrix_amer_eng.pdf (resmed.com))
競合
レスメドの代表的な競合企業は以下の通りです。
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資本戦略
各会社が資本をどのように活用するかは会社の資本戦略に依存します。成長著しい新興企業は、配当・自社株買いといった株主還元よりも自社製品・サービスの開発に資本をより多く投下する傾向があります。 新興企業は、 資本の有効活用の観点から、株主にそれぞれの決算時点での現金を還元するよりも将来の投資に向けたほうが長い目でみて株主に報いることができると考える傾向があると言い換えることもできます。
レスメドの資本戦略の優先順位は次の通りです。
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レスメドの売上は3,000億円程度です。140ヶ国で事業を行っています。しかし、 レスメドの創業は1989年、上場は1995年と、ヘルスケア分野では新興企業といってよいと思います。
レスメドの資本戦略は、自社製品・サービスの研究・開発にこそが資本効率の最大化につながるとレスメドは信じていることを示していると言えそうです。
レスメドの2015年以降の主なM&Aを振り返ってみます。
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レスメドはこれまでマスクや医療機器の会社を多く買収してきたのではなく、在宅療法や高度なヘルスケアITに関係する技術を多数のM&Aにより取り込み自社製品・サービスの高度化を図ってきたいと言えそうです。
むしろそうすることで、自社研究・開発を中心とする資本戦略を明確に打ち出せるようになったと理解されます。
ビジネス戦略
レスメドのビジネス戦略は以下の7つの戦略です。特に①~④は現在のビジネスに直結する戦略なのでとりわけ重要だと思われます。
呼吸器・睡眠障害に関する医療分野に特化し、自社の研究・開発をベースにヘルスケアIT技術を取り入れて製品・サービスを高度化/拡張することで優れた医療製品・サービスをグローバルに展開するという戦略です。
例えば、他の診断機器・医療機器などの分野に進出するとか、製薬事業も兼ねるとか、そういう総花的な戦略は採用しておらず、今までのビジネスを高度化し、拡張していくという戦略なので、レスメドは自分のビジネスに自信をもっていることがうかがえます。
レスメドは、 フィッシャー・アンド・パイケル・ヘルスケア を相手取って、特許侵害訴訟を提訴し、勝訴しています。レスメドのマスク特許を フィッシャー・アンド・パイケル・ヘルスケア が侵害したとの主張が認められたことになります。
レスメドが自社の知的財産を違法に侵害する会社は許さないという態度は、レスメドの研究開発が優れているという自信の表れとも解釈できます。
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市場動向
市場規模
2021年11月20日にREPORTOCEANが発行した新しいレポートによると、-世界の呼吸器系医療機器市場は、2021-2027年の予測期間において、約8.5%の健全な成長が見込まれています。
世界の呼吸器系医療機器市場は、2027年までに301億米ドルに達する。世界の呼吸ケア機器市場は、2027年までに301億米ドルに達する見込みです。世界の呼吸ケア機器市場は、2020年には約170億米ドルと評価され、2021年から2027年の予測期間には約8.5%の健全な成長率が見込まれています。
市場の概要
呼吸器関連機器は、結核、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、喘息などの呼吸器疾患の診断、モニタリング、治療に使用されます。これらの機器は、慢性および急性の呼吸器疾患に苦しむ患者に、より充実したケアを提供します。
世界の呼吸ケア機器市場は、世界的な高齢者人口の急速な増加と都市化、汚染レベルの上昇によって牽引されています。さらに、ポイントオブケア診断は、世界の呼吸ケア機器産業に新たな機会を提供するでしょう。全世界で高齢者人口の著しい増加が予想されています。
例えば、国連によると、世界の高齢者人口は、2020年の約7億2,700万人から2050年には15億人に達すると予想されています。これにより、高齢者の呼吸器疾患が増加し、呼吸器関連機器の需要と導入が増加すると予想されます。
したがって、これが市場の成長を促進すると考えられます。しかし、CPAPマシンの高コストは、2021-2027年の予測期間において市場成長を阻害する可能性があります。
世界の呼吸ケア機器市場の地域分析は、アジア太平洋地域、北米、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、その他の地域といった主要地域について検討しています。
2021-2027年の予測期間における世界の呼吸ケア機器市場では、北米が市場収益の面で最大のシェアを占めています。医療費の増加、多数の呼吸器系患者の存在、技術の進歩や開発などの要因が、予測年における同地域の最大の市場シェアに貢献しています。
世界的に見ると、睡眠時無呼吸症候群の患者数は9億3,600万人、そのうち重度の睡眠時無呼吸症候群に苦しむ人は4億2,500万人と研究により推定されています。 無呼吸」は睡眠中の呼吸の一時停止のことで、数秒から数分続き、1時間に何度も発生する可能性があります。
OSA市場は、ほとんどが未診断・未治療の状態です。米国は最も発展したOSA市場ですが、まだ20%しか浸透しておらず、欧州市場も5%程度です。
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市場シェア
レスメッドは、睡眠医学と非侵襲的換気の企業であり、睡眠呼吸障害の診断、治療、管理を進める技術を有しています。
同社の主な製品は、持続的気道陽圧(CPAP)による閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療です。 RMDのOSAにおける現在の市場シェアは55%程度と推定されます。
収益の60%は米国、40%はその他の地域から得られています。 売上の約60%はCPAPやその他の機器の販売によるものである。残りの40%はマスクなどの関連消耗品によるもの。
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レスメドの主要な競合はフィリップス(レスピロニクスとして営業)である。 レスメッドとフィリップスを合わせると、世界のOSA機器の90%、OSA用マスクの85%を供給しています。
業績
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売上は右肩上がりで推移しています。
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ITの新興企業等と違って利益も出しつつそれを高めていくことができる会社です。利益創出力は高いと思います。純利益売上高比率は約20%です。日本の医療機器メーカーであるテルモとシスメックスの 純利益売上高比率はいずれも10%強なので (2020年度) 、レスメドの利益率は脅威的な数字です。
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自己資本比率は50%を超えており、財務体質も強いです。
経営者
CEOはマイケルファレル。2000年にレスメドに入社。その前はSanofi Genzymeなどで働いていました。現在、 レスメドのCEOの傍ら、Zimmer Biomet (NYSE: ZBH)の取締役も勤めています。
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マイケル・"ミック"・ファレルは、2013年3月より取締役に就任しました。2000年に入社し、2011年から2013年までアメリカ地域の社長、2007年から2011年までグローバル睡眠時無呼吸症候群事業部の上級副社長を務め、マーケティングと事業開発でさまざまな上級職を歴任しました。
レスメッド入社以前は、アーサー・D・リトル、サノフィ・ジェンザイム、ダウ・ケミカル、BHPなどの企業で、経営コンサルティング、バイオテクノロジー、化学・金属製造に携わりました。
ミックは、ResMed、Advanced Medical Technology Association(AdvaMed)、Zimmer Biomet(NYSE:ZBH)の取締役を務めています。
Zimmer Biometは数十億ドル規模の上場企業で、世界中の患者に埋め込み型筋骨格医療機器を提供しています。また、ジマー・バイオメット社では、報酬・経営開発委員会と品質・規制・技術委員会の2つの委員会のメンバーであり、委員長も務めている。
また、非営利団体の評議員としてボランティア活動も行っています。UCサンディエゴ財団、レディ小児病院、カリフォルニア州サンディエゴのホームレスのためのファーザー・ジョーズ・ヴィレッジのプロジェクトなどです。
ニューサウスウェールズ大学で工学の学士号を優等で取得し、マサチューセッツ工科大学で化学工学の理学修士号を、MITスローン経営大学院で経営管理の修士号を取得しています。
株価推移
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