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【企業分析】Tencent
0LEA(NYSE)
時価総額:4.43兆ドル
・基本情報(2020年時点)
売上高: 4820億64百万人民元
営業利益: 1842億37百万人民元
従業員数: 31,557人
本部所在地: 中華人民共和国 深セン市
創設者: 馬化騰、 張志東、 陳一丹、 kney、 daniel
主要株主:MIH TC Holdings Limited(30.87%)
Advance Data Services Limited(8.39%)
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○概要
テンセントは、中華人民共和国広東省深圳市に本拠を置く、付加価値サービスとオンライン広告サービスを提供する投資持株会社。インターネット関連の子会社を通してソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供している。1998年設立。
活動拠点は中国にあるが、アリババグループなどと同じく、租税回避と当局の監査を経ずに国外の証券取引所への上場するため、登記上の本社はケイマン諸島にある。また、株式の大半はプロサスやヴァンガード、ブラックロックなどの外国の投資家が保有しており、その実態は多国籍企業に近い。そのため近年当局からの締め付けが強まっている。
○業界動向
○事業内容・ビジネスモデル
テンセントは、世界最大のゲーム会社であり、中国最大のSNS運営会社でもあり、フィンテックやクラウド、投資事業など非常に幅広いITサービスを提供している会社である。
テンセントの事業は大きく4つの事業に分類される。
①オンラインゲーム
②ソーシャルネットワーク
③オンライン広告
④フィンテックおよびビジネスサービス
「オンラインゲーム」は、売上高の34%を占め、最も大きいセグメント。
テンセントのゲームポートフォリオは、League of Legends、Clash of Clans、PUBG Mobile、Call of Duty Mobile、Honor of Kingsなどの大ヒットゲームが含まれている。
また、Fortniteを運営するエピック・ゲームズやアクティビジョン・ブリザード(ATVI)、ユービーアイソフト・エンターテインメント(UBI)、グル・モバイル(GLUU)などの世界的に有名なゲーム会社の主要株主となっている。
「ソーシャルネットワーク」は、売上高の23%を占めるセグメント。
中国トップのモバイルメッセージアプリであるWeChat(中国ではWeixin)を展開。
WeChatの月間アクティブユーザーは12億人を超える非常に大きいサービスとなった。
また、テンセントは、中国のゲーム実況配信サービス2強の一つである「虎牙(HUYA)」の株式の過半数以上を今年に入ってから獲得。
「虎牙(Huya)」の月間アクティブユーザー数は1億5,000万人を超えている。
「フィンテックおよびビジネスサービス」は、売上高の26%を占めるセグメント。
電子決済サービス「WeChat Pay」や「テンセント・クラウド」などのサービスを展開しています。
WeChat Payは、アリババ(BABA)のアリペイと並ぶ中国の2大決済プラットフォームとなっている。
テンセントクラウドは、 アリババクラウドに次ぐ中国のクラウド市場で2位の市場シェアを獲得している。
「オンライン広告」は、売上高の16%を占めており、セグメントとしては最も小さいセグメントとなる。
WeChatなどを含むメディアプラットフォーム上で広告サービスを展開。
○競争力
テンセント最大の評価ポイントは”時間消費型コンテンツ”
次に確認しておきたいのが、ユーザーのアプリ上での滞在時間である。テンセント陣営が強みとする事業領域には、SNS、ゲーム、エンターテインメントなど、ユーザーが一定の時間を費やす”時間消費型コンテンツ”において優位性があることがわかる。
ビッグデータ解析企業のクエストモバイル(QuestMobile)が発表したデータによると、インターネットの総利用時間に占めるアリババ陣営のコンテンツの滞在時間は10.1%にとどまるのに対しテンセント陣営の滞在時間はその約4倍となる42.3%を占める。つまり、中国人はインターネット上で過ごす時間のうち、実に半分近くをテンセント関連のコンテンツで過ごしているということである。ユーザーとの接触時間において圧倒的な優位性を持つテンセントが、コロナ禍において「巣ごもり経済」が拡大する中で再評価され、株価の動向にも好影響を与えたのは不思議なことではない。
同社がコロナ禍をうまく乗り越え成長していることが確認できる。とくに、「王者栄耀(Honor of Kings)」などの人気ゲームを中心としたゲーム分野の営業収益は対前年同期比31%増、業界全体として苦戦が伝えられる広告分野においてもソーシャルメディアからの広告収入が同47%増となるなど絶好調だ。
○経営者
創業者兼CEOの馬化騰(ポニー・マー)。
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父親の馬陳術(中国語版)は元官僚の中国共産党党員でテンセントの共同創業者も務めた。馬が生まれた当時は、東方市(当時は東方県)の八所港の港務局で働いていた。馬は八所港で幼少期を過ごし、1984年、13歳のときに父母とともに深圳に移り住んだ。1993年に深圳大学計算機系を卒業。深圳潤迅通信でソフト開発を手がけた後、1998年11月にテンセントを創業した。その代表作であるインスタントメッセンジャー『テンセントQQ』は中国で最も使用され、影響力のある通信ソフトであることから「QQの父」と呼ばれている。
○決算内容
インターネットサービス大手、騰訊控股(広東省深セン市、テンセント)が18日発表した2021年第2四半期(4~6月)決算は、純利益が前年同期比29%増の425億8,700万元(約7,203億円)だった。売上高は20%増の1,382億5,900万元。企業サービスやインターネット広告、ゲームの各部門が伸びた。
ニュースサイトの界面新聞によると、売上高は市場の予測(1,381億9,300万元)をやや上回った。
部門別で見た売上高は、◇会員制交流サイト(SNS)「微信(ウィーチャット)」やオンラインゲームなどの付加価値サービス:11%増の720億1,300万元◇電子決済サービス「微信支付(ウィーチャットペイ)」などのフィンテック(ITを活用した金融サービス)・企業サービス:40%増の418億9,200万元◇インターネット広告:23%増の228億3,300万元――など。
付加価値サービス部門の売上高のうち、スマートフォン向けゲームは13%増の408億元、パソコン向けゲームは1%増の110億元だった。このうちスマホ向けゲームでは、人気ゲームのスマホ版として昨秋に投入した「天涯明月刀手游」のほか、「王者栄耀」「PUBG Mobile」「Valorant」「部落衝突」などが売り上げを伸ばした。一方で、「和平精英」の売り上げは落ち込んだ。
6月末時点のウィーチャットの月間アクティブユーザー数は前年同月末比3.8%増の12億5,140万人となった。
1~6月期の売上高は前年同期比23%増の2,735億6,200万元、純利益は46%増の903億5,400万元だった。
テンセントのゲーム事業には逆風が吹いている。ゲームは売上高の4割近くを占める主力事業だが、国営系メディアが3日、テンセントを名指しで批判し、オンラインゲームが未成年の健全な成長に悪影響を与えると報道したことで、株価が急落。テンセントは対応に追われ、12歳未満のプレーヤーが同社の人気ゲームで課金サービスを利用することを4日から禁止した。
○今後の見通し
中国当局は「小康社会(ややゆとりのある社会)」の実現をアピールしているが、所得格差を示す「ジニ係数」が社会不安を引き起こす恐れのある警戒ラインを大幅に上回るなど、貧富の差が深刻化している。
習氏の発言を受け、企業側は対応を急ぐ。インターネットサービス大手の騰訊(テンセント)は共産党の方針に賛同し、500億元(約8500億円)を貧困層支援などに充てる計画を公表。IT大手への締め付けが強まる中、他社も追随するとみられている。
中国政府はITをはじめとする産業の規制を強化しており、テンセントも標的にされてきた。
テンセントの劉熾平社長は決算発表後のアナリスト向け電話会見で「短期的には不透明感が広がり、今後、新たな規制が多数導入されるだろう」と指摘。規制当局は「業界の慣行を特定・是正することに非常に力を入れいている」とした。
IT業界の規模や重要度合いに比べて監視が「緩かった」これまでの状況を踏まえると、規制強化は当然予期すべきだったと述べ、テンセントは「この新たな環境を完全に受け入れる」好位置にあるとの認識を示した。
「政府は業界にとって長期的に持続可能な道筋を作ることを目標にしている。同業界の経済、社会的側面における重要性や、国際競争力への貢献を政府は認識している」と語った。
当局は同社に対し、音楽の著作権について独占的な契約を結ぶことを禁じたほか、傘下のゲーム動画配信サイトである闘魚(DouYu)と虎牙(HUYA)の合併計画を却下した。
同社はまた、国営メディアがオンラインゲームを「精神を蝕むアヘン」と批判したことを受けて、王者栄耀の未成年者の利用を制限する新たな措置を発表した。
決算発表文で同社は、未成年者のゲーム利用制限は「規制上必要とされている以上の」自発的な措置だと説明した。
第2・四半期はゲームの総売上高に占める16歳未満の利用者の比率が2.6%にとどまった。劉社長は、業界全体で規制当局と協力、全てのゲームについて未成年者のゲーム利用時間を制限する方法を探っていると明らかにした。
中国当局は営利目的の個別学習指導を禁止したが、同社はこの措置で教育関連企業の広告支出が減り、オンライン広告収入が打撃を受けると見込んでいる。
テンセントは、自社の技術や専門知識を他の企業や公共サービスに提供し、経済や社会に貢献する取り組みを拡大していると強調した。
○直近の株価
株価は2004年の創業以来、16年間で740倍以上になった。2020年には企業価値は4兆8000億香港ドル(約66兆円)に達し、アリババグループ(阿里巴巴集団)を抜いて中国で最も価値のあるインターネット企業となった。
しかし、足元では中国当局による規制強化や国営新華社通信系の国営紙・経済参考報はゲームを「精神的アヘン」「電子薬物」だと批判し、テンセントはその後、12歳未満の子供に対する全面的なゲーム禁止に踏み切る可能性を示したことで急落している。
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