【企業分析】Doximity(ドクシミティー)
キャッシュバックキャンペーンの紹介
会員登録など簡単な作業でお金がもらえるお得なキャッシュバックキャンペーンを紹介しています!以下の記事をご覧ください!
概要
米国の医療専門家にデジタルプラットフォームを提供する。
クラウドベースのプラットフォームは、メンバーが同僚と協力し、患者のケアを調整し、仮想の患者訪問を実施し、医療ニュースや研究の最新情報を入手し、キャリアを管理するのに役立つツールをメンバーに提供する。
音声およびビデオの遠隔医療、安全なメッセージング、デジタルファックスなどのモバイルおよび臨床ワークフローツールを使用し、医療現場の医師をサポートする。
プラットフォームは、マーケティング、採用、遠隔医療のソリューションを提供する。そのマーケティングソリューションにより、製薬および医療システムの顧客は、各種なモジュールを通じて、コンテンツ、サービス、および医療専門家とのピア接続を取得できる。その採用ソリューションは、医療システムや医療求人企業にデジタル求人機能を提供する。
その遠隔医療ソリューションには、患者と医療提供者をつなぐように設計された音声およびビデオダイヤラーが含まれる。
プロダクト・ビジネスモデル
2021年3月31日時点で180万人を超える会員がいます。会員には、アメリカの医師の80%以上が含まれています。
SNSはクラウドベースのプラットフォームで、医療従事者向けに特別に構築されたツールをメンバーに提供し、同僚とのやりとり、患者へのケアをコーディネートしたり、ヴァーチャルで患者を訪問したり、最新の医療ニュースや研究の最新情報の入手、そして求人情報など彼らのキャリア管理といったことを可能にします。
医療従事者側の利用は無料で、収益は主に製薬会社や病院、ヘルスケア会社となっています。
アメリカトップ20の製薬会社、そしてトップ20の病院・ヘルスケア会社がDoximityのサービスを利用しているとのことです。
利用者からの評価も上々のようでDoximityアプリは、2021年3月31日現在、Apple AppStoreで100,000件を超えるレビューで4.8 / 5の星評価を獲得しています。
NRR(Net Revenue Retenstion:顧客の売上継続率)は153%とかなり高めです。
医師は医療の主要な意思決定者であり、アメリカの医療費総額約$4Trillion(440兆円)の73%以上を管理していますが、断片化された情報や時代遅れのテクノロジーによって引き起こされる課題に直面しています。
クラウドベースのソフトウェアは、多くの業界でネットワーク、通信、および作業の効率性を変革して来ましたが、医療関係は特殊な業界ということがあったり、医療従事者の特定のニーズに対応するのに時間がかかり、まだ十分に普及していない状況でした。
そのため医師が専門家や同僚と効果的につながったり、関連する最新の医療情報に即座にアクセスしたり、患者のケアを効率的に提供することが困難でした。
MerrittHawkinsの調査によると医師の78%は、自身の医療行為について満足できないため燃え尽き症候群を経験している状態でした。
そういった状況を打破するために設立されたのがDoximityです。
Doximityは上記の概念の基、多くのプロダクトを今まで提供してきており、売上も右肩上がりで綺麗に伸びています。
事業内容からアメリカ版エムスリーと巷では呼ばれているようです。
プロダクト
続いてDoximityのプロダクトについて見てみましょう。
プロダクトは大きく分けて医療従事者向けのツール、そして 製薬会社、ヘルスケア会社、病院向けのツールがあり、そのなかにプロダクトが様々あるという形になっています。
医療従事者向け
まず、医療従事者向けですが、Professional Network、Newsfeed、Productivityの3つに区分されています。
Professional Network
こちらが医療従事者向けSNSという感じですね。
以下のように病院の所属やの連絡先情報、ライセンス、専門分野と臨床の専門知識、公開された研究レポート、臨床試験への参加、および授与された賞などをプロフィールとして登録します。
こちらのプロフィールをもってほかの医療従事者とコミュニティで繋がったり、連絡を取ったりということが出来るようになります。
Doximity側で研修医、同じ病院または診療所の同僚、医学部のクラスメートなど共通点があるメンバーとの新しいつながりを定期的に提案してくれるようです。
2021年3月31日の時点で、5,600万を超える接続が行われ、医師メンバーあたり平均50人を超える他のメンバーとの交流があったとのことです。
登録したプロフィールで電子履歴書も作成できるようで、それをもって関連する仕事の検索や、給料のMAPなんかも見れるようです。
さらに医学生向けのものもあり、アメリカの医学研修プログラムを透過的に確認し、医学生にツールを提供しています。
Newsfeed
これは文字通りですが、メンバーが興味のありそうなニュースなどを見られる機能ですね。
メンバーがDoximityにサインインする際に、各メンバー向けにパーソナライズされたホーム画面として機能し、AIや機械学習を活用して、メンバーごとにパーソナライズされた厳選したニュースフィードが作成されます。
Doximity社内で作成されたコンテンツやサードパーティのサイトにリンクされたコンテンツなどをすべてのメンバーに無料で提供しています。
コンテンツは記事だけでなく、動画も含まれるようですね。
メンバーは、ニュースフィードにコメントしたり、反応したりできるようです。 たとえば、メンバーは新しい臨床研究の結果について話し合ったり、その研究の著者に質問したりすることが可能です。
さらに単なるニュースやコンテンツの配信だけでなく、同僚の新しい仕事、賞、新しく執筆された出版物、報道機関への言及までカバーしており、同僚の専門的な最新情報や成果に遅れずについていき、祝うことも出来るようです。
Productivity
こちらは日々の業務を効率化するツールになります。
具体的にはデジタルFAXや電子署名のツールや、同じ病院のメンバーが患者の診察に関して安全に協力できるようメッセージなどを送れるグループを作るツールがあります。
遠隔医療用のツールもこちらにありました。
医師は患者の電話番号を入力することで、アプリからビデオ通話を開始でき、患者は、ビデオに参加するためのリンクが記載されたテキストメッセージを受信し、ワンタップで医師との接続が可能です。
患者の家族を簡単に追加したり、ワンクリックでケアチームの別のメンバーに通話を渡したりする機能もあるようです。
製薬会社、ヘルスケア会社、病院向け
Marketing Solutions、Hiring Solutions , そしてTelehealth Solutionsの3つを主にサブスクリプション形式で製薬会社、医療システム、医療求人会社に提供しています。
Marketing Solutions
デジタル化されたマーケティングプラットフォームを顧客企業に提供し、Doximityのメンバーに対して関連性の高いカスタマイズされた自社製品などに関するコンテンツを提供しています。
顧客企業は、専門分野、資格情報、場所などのコンテンツ対象の組み合わせを指定したり、 営業担当者との連絡、予約、製品サンプルの注文などのデジタル活動を可能にする モジュールを選択したりすることができるとのことです。
Hiring Solutions
医療システムと医療求人会社の両方に採用ソリューションを提供しています。
AIがサポートするプラットフォームにより、顧客はさまざまな医療専門分野とサブ専門分野にわたってターゲットを絞った採用キャンペーンを実行できるとのことです。
Telehealth Solutions
こちらは上記Productivityで触れた遠隔医療ツールですね。20年の5月に立ち上がったもので新しいサービスになります。
病院や医療団体などが抱える医者が遠隔医療を使用できるように契約する形になります。
遠隔医療のTeladoc Healthは一般企業の福利厚生プランのような形で患者に対してのアプローチですが、Doximityは医師に対してのアプローチであり、違う方向からの遠隔医療へのアプローチかなと思いました。
ビジネスモデル
ビジネスモデルはすでに述べていますが、製薬会社、ヘルスケア会社、病院向けへのプロダクトのサブスクリプション料が売上になります。
2021年度には、600を超える顧客を持ち、そのうち200社が少なくとも$100thousant(約1,100万円)の収益に貢献し,さらにそのうち29社がサブスクリプション収益に少なくとも$1Million(1.1億円)貢献しました。
$100thousant(約1,100万円)以上収益に貢献する顧客数は以下のように推移しており、20年から21年にかけては42%成長で19年から20年の成長より加速しています。
基本情報部分でも述べましたが、NRRは153%とかなり高い数値になっています。こちらも20年3月末、19年3月末よりも上昇していることがわかります。
ピカピカのSaaS企業でもNRRは120%くらいのことが多いです。
市場動向
続いてDoximityが事業を展開している市場について見ていきます。
現在Doximityがアドレス可能な市場の合計は、 $18.5 billion(約2兆円)と推定されています。 これには、医療従事者へのアメリカの医薬品マーケティングにおける $7.3 billionの機会、アメリカの医療システムのマーケティングと求人関係における$6.9 billionの機会、および米国のソフトウェア遠隔医療における$4.3 billionの機会が含まれてます。
次の章で触れますが、Doximityの21年売上は$207Millionでしたからかなり大きな市場が広がっていると言えると思います。
さらに製薬会社や医療システムがマーケティング予算の多くをデジタルチャネルにシフトするにつれて、この市場機会の浸透は時間とともに拡大すると予想されています。
調査会社のIDCによると、米国のヘルスケアおよび製薬業界は、2025年に総広告費の38%をデジタルチャネルに費やすと予想されており、2020年の28%から37%増加する見込みです。
業績
決算情報(21年決算)
続いてDoximityの業績内容について見ていきたいと思います。
21年のRevenue(売上)は$207Million(約228億円)、Gross profit(粗利)は$176Million(194億円)、Profit(利益)は$50Million(約55億円)の黒字となっています。
粗利率は85%と驚異の高さです。これほど高い粗利率の企業は最近ではMonday .comくらいかなと思います。
20年の売上は$116Million、Gross profit(粗利)は$101Million、Profit(利益)は$30Millionの黒字だったため売上は+78%の成長、粗利は+74%の成長、利益は+83%の成長となります。
19年から20年よりも20年から21年にかけて成長は加速しており、力強さを感じます。
EBITDAについても年々上昇しており、非常に綺麗な推移になっています。
さらに営業キャッシュフローもしっかり稼げており、営業活動で稼いだキャッシュをしっかり投資に回せていることがキャッシュフローの表からわかります。
経営者
Jeffrey Tangneyという方が共同創業し、現在もCEOを務めています。
Jeffrey Tangney 氏はDoximity設立前は、公共のモバイル医療参照アプリ会社であるEpocrates Inc.を共同設立していたようで、 1999年6月から2010年3月までEpocratesでさまざまな管理職を歴任し、2005年9月以降、社長兼COO(最高執行責任者)、および営業およびマーケティング担当副社長を務めていたそうです。
スタンフォード大学ビジネススクール(1999年卒業)。ウィスコンシン大学マディソン校で経済学と数学を専攻(1993年卒業)。