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【企業分析】トヨタ自動車

7203(東証1部)
時価総額:39兆円
株価:2,390円
売上高:27兆2,100億円
営業利益:2兆1,900億円
(2021年3月期)

事業内容: 自動車製造・販売
設立年:1937年
本社: 愛知県豊田市トヨタ町
代表者: 内山田竹志(代表取締役会長)
   早川茂(代表取締役副会長)
   豊田章男(代表取締役社長兼執行役員社長)
従業員数: (連結)36万6283人(単独)7万1373人
(2021年3月31日現在)
主要株主: 日本カストディ銀行 13.07%
    豊田自動織機 8.28%
    日本マスタートラスト信託銀行 6.34%

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概要

日本の自動車メーカー。愛知県豊田市に本社を置く。豊田自動織機を源流とするトヨタグループの中核企業。

自動車の生産台数では世界トップクラスを誇り、時価総額は日本最大規模。1933年、(株)豊田自動織機製作所に自動車部を設置されたのが始まり。1936年G1型トラックを初輸出し、トヨタマークも制定してブランドを確立する。1937年、トヨタ自動車工業(株)を設立して自動車事業を本格化。1949年5月に東京証券取引所、名古屋証券取引所、大阪証券取引所第一部へ株式上場を果たす。1969年には輸出累計100万台及び年間国内販売100万台を、1999年国内生産累計1億台を達成した。現在トヨタは世界27ヵ国に製造事業体を持ち、160ヵ国以上で販売を行なっています。

トヨタグループの代表車種にはプリウス、カローラ、ヴィッツ、高級車にクラウン、レクサスなどがある。子会社にはダイハツや日野自動車などがあり、SUBARUの筆頭株主となっているほか、マイクロソフトやソフトバンクといったインターネット・テクノロジー企業とも連携を図っている。

愛知県豊田市の本社

事業内容・業界動向

トヨタ自動車の事業は「自動車」「金融」「その他」の3つにわけられる。

金融事業ではトヨタグループの企業の事業を補完するための金融やリースを担っている他、その他の事業としてトヨタホームで住宅の製造販売を行なっている。

売上高28.4兆円のうち、車両によるものが22兆2671億円で全体の78.4%を占める。販売台数は868万1328台。自動車部品は2兆円(7.2%)、金融事業は1.85兆円(6.5%)の売上。

次に、販売数量の地域別の内訳。

868万台のうち、日本で売れたのはおよそ206万台(23.7%)。米国で284万台(32.7%)、欧州で84万台(9.7%)、アジアで134万台(15.5%)。

自動車事業

セダン、ミニバン、2BOX、スポーツユーティリティビークル、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造及び販売を行っている。

金融事業

トヨタファイナンシャルサービス株式会社(TFS)が、世界35カ国以上の国・地域で、自動車ローンやリースを中心に金融サービスを提供。

現在では、約280社、約5000店舗の広大なトヨタ販売店とのネットワークや、カード会員数は約1400万人にも上る顧客基盤を有するまでに成長を遂げている。

トヨタの金融事業は、自動車販売を促進するツールとしての販売金融を中核事業とし、より良いモビリティ社会実現のため、新たな事業領域にも取り組んでいる。

まず、金融事業の基本的役割である「より多くのお客様にクルマを利用していただく」ため、デジタル化や新たな金融商品の開発・提供、および自動車市場が拡大しつつある国へのネットワークの拡大に尽力している。

自動車業界が大きく変貌するなか、バリューチェーンの拡充をめざし、クルマの製造から廃棄に至るライフサイクルのすべてのシーンにおいて金融事業として付加価値を創造することで、お客様の生活と社会全体の利便性向上に取り組んでいる。

また、お客様の移動の自由や喜びを金融面から実現すべく、Uber Technologies, Inc.やGrab Holdings Inc.などのシェアリング企業との協業や、自動車から得られるビッグデータのテレマティクス保険への活用などにも参画。

その他事業

・住宅事業
トヨタホーム株式会社が戸建住宅を主力にマンション、リフォームなど住まいに関わるさまざまな事業を手がけている。

・マリン事業
トヨタがお届けするもう一つの走りの楽しさ。トヨタマリンの上質な自家用クルーザーを紹介。

・アグリバイオ事業
自動車生産やバイオ技術開発で培った経験とノウハウを活かした、農業支援の取り組みを紹介。

競争力

① トヨタ生産方式

トヨタ生産方式(TPS:Toyota Production System)とは…
「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」を2本柱とする徹底的なムダの排除と生産の合理化からなるトヨタが生み出した生産管理システムのこと
「自働化」は、単純な機械化(自動化)ではなく、人間の知恵を機械につけることで機械が自分で判断し不良品(不良品=ムダ)をつくらないようにする仕組みのこと。
「ジャスト・イン・タイム」は、必要なものを・必要な時に・必要なだけ手に入れることで、ムラ・ムリ・ムダをなくし、生産効率をあげる仕組みのこと

② 世界をリードする圧倒的な電動化技術

トヨタは、自動車業界の大きなトレンドであるCASE(ケース)の中でも特に
「電動化」を意味するE:Electric
に関して、世界をリードする技術力を持っていることが大きな強み。

CASEとは…
・CASEは、2016年にパリモーターショーでダイムラー(ドイツ)が中長期戦略の中で初めて使い、大きな注目を集めた言葉である。

・Connected(コネクティッド):通信機能を意味し、クルマの状態や道路状況などのデータを収集・分析したり、音楽や映画などをさらに楽しめる。

・Autonomous(自動運転):自動でクルマを走らせる技術。すでに多くのクルマが搭載している運転支援システムも含まれる。
Shared &Services(シェアリングとサービス):クルマを所有するのではなく、シェアリングするというクルマの新しい使い方。

・Electric(電動化):電気でモーターを動かすハイブリット車(HV)や電気自動車(EV)を意味する。走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないので、環境対応技術の本命となっている。

・世界中の自動車メーカーが、C・A・S・Eの4つの技術を組み合わせて、安全で快適な次世代のモビリティサービスをつくることを目指している。

トヨタは1997年に世界初の量産型HVの初代プリウスを発売し20年以上にわたりその技術を磨き続ける中で、EV、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車ラインナップ
を拡充してきた。

その中でも特にHVとPHVは世界一の技術力をもち、トヨタの強みの1つになっている。

・トヨタのHV・PHVの特徴

エンジンの熱効率が40%を超える非常に高いレベルにあり、燃費の良さで他社を圧倒する(熱効率:燃料がもつエネルギーを動力として使用している割合で通常33%程度)。
環境規制が厳しい欧州において、各自動車メーカーがEVを販売していく中で、トヨタはHVで達成できる。
自然エネルギー由来のグリーン電力のインフラがない世界のさまざまな地域では、EV用の電気は化石燃料による発電で作られるため、EVの普及はCO2排出量の削減につながりにくい。むしろエンジンの効率向上がCO2排出量の削減に貢献する。
EVは、航続距離や充電インフラが十分でないという問題があるため、トヨタのHVが現時点で最適なクルマとして世界中で選ばれている。
2020年に中国でHVが環境車として優遇される政策が発表されるなど、今後さらに需要が伸びていくことが予想されている。

③ ブランド力

トヨタは販売台数もとても多く世界でも人気の高いメーカーであるといえる。

2016年度販売台数はフォルクスワーゲンに劣ったが、それまでの5年間はトヨタが世界第一位の販売台数であり、そもそものブランド力が強いことが考えられる。
そしてトヨタの車が売れる理由、それは優秀な市場調査があるからである。
人々が求めている車を調査し、その結果売れる車をつくることが出来る。これはトヨタの強みといえるであろう。
またトヨタは販売の流通路が多く、トヨタ・トヨペット・カローラ・ネッツ・レクサスと5つある。これら代理店をもち豊富な流通路をもっていれば、販売台数も増える。
他には販売後のアフターサービスやサポートが優秀であることも人気の理由かもしれない。

業績推移

経営者

2009年からは豊田章男氏が第11代目社長に就任し、リーマンショックや大規模リコール、東日本大震災といった危機・経営難を乗り越えてきた。「CASE(Connected:コネクティッド、Autonomous/Automated:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化)」と呼ばれる技術革新によりクルマの概念そのものが変わろうとしているなか、トヨタはモノづくり中心の会社からモビリティに関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティカンパニー」への変革を目指して2018年に「フルモデルチェンジ宣言」を掲げた。

トヨタ自動車は経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として7項目を掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えている。

・内外の法及びその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざすこと
・各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献すること
・クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組むこと
・様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供すること
・労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくること
・グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざすこと
・開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現すること

今後の見通し

「モノづくりを通じて社会に貢献する」という創業の理念を受け継ぎ、品質・安全を最優先に、役員・従業員一同が心を合わせ、謙虚・感謝の気持ちと情熱を持って歩んでいく。

今後の世界経済は、新型コロナウイルスの影響により、多くの国・地域での急激な落ち込みが懸念され、自動車の生産面、販売面にも既に大きな影響が及んでいる中、一日も早い収束を願い、トヨタ自動車も一丸となって対応に力を尽くしていく。

一方、中長期目線では、環境問題等社会課題への対応や、電動化、自動運転、コネクティッド、シェアリング等の技術革新の急速な進行等により、自動車産業は100年に一度の大変革の時代を迎えている。

新たな価値を創造する「未来への挑戦」と、1年1年着実に真の競争力を強化する「年輪的成長」を方針に掲げ、「WovenCity」「電動化」「自動運転」「コネクティッド・MaaS」「原価低減・TPS」「人事制度」の6つの分野の取り組みを加速させていく。

WovenCity(ウーブン・シティ)
人々が生活を送るリアルな環境のもと、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術等を導入・検証できる実証都市「WovenCity」を新たに作る。2020年3月に日本電信電話(NTT)との業務資本提携に合意し、両社が一体となり、スマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築・運営し、「WovenCity」をはじめとする国内外の様々なまちに連鎖的に展開することを目指す。

電動化
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、「2030年に電動車販売550万台以上」という目標を上回るスピードで、電動車の普及を進めていく。

自動運転
全ての人に、安全、便利かつ楽しいモビリティを提供することを究極の目標に、自動運転技術の開発・普及に取り組んでいく。

コネクティッド・MaaS
「すべてのクルマをコネクティッド化」「ビッグデータの活用」「新たなモビリティサービスの創出」の3つの取り組みによりコネクティッド戦略を推進している。その重要なインフラであるMSPF(モビリティサービス・プラットフォーム)を、本年までに日米中で販売されるほぼ全ての乗用車に車載通信機を搭載し、他地域にも順次展開していく。将来的には、自動運転機能が加わったMaaS車両(Autono-MaaS)を活用し、新しいビジネスモデルを構築していくことが必要と考え、電動化も組合せた専用車3車種の早期導入に向け、開発に取り組んでいる。

原価低減・TPS(トヨタ生産方式)
一人ひとりが日々の業務から各プロジェクトに至るまで、あらゆる行動を精査し、何が「ムダ」か、総知総力で考え見直していく。また、業務改善の提案制度「創意くふう」の参加率は、全社で60%から90%に上昇したが、今後も100%全員参加と質の向上に取り組んでいく。さらに、パートナーである仕入先とも従来の活動を超え、競争力向上につながる活動を共に推進しており、一部の仕入先に限らず、サプライチェーン全体に活動を深めていく取り組みも始めている。

人事制度
100年に一度の大変革の時代を迎え、「トヨタらしさ」という原点に立ち戻ることが大切と考え、もう一度「トヨタらしさ」を取り戻すために、役員体制については、副社長と執行役員を執行役員に一本化し、社長と次世代のリーダーが直接会話し、一緒に悩む時間を増やしていく。また、「トヨタらしさ」を理解・実践し、他流試合でも勝負できる「専門性」と「人間力」を備えたプロを育成するため、本年から評価基準をはじめ、様々な人事制度を刷新した。学歴、職種、職位等に関わる様々な線引きをなくし、「成長しようと努力する人」「仲間のために働く人」に報いる人事制度にし、全ての役員・従業員の仕事のやり方をモデルチェンジするチャンスとして、変革に取り組んでいく。

株価推移

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kabuya66
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