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【企業分析】ルネサスエレクトロニクス

6723 (東証プライム)
時価総額:4.77兆円
株価: 2,438円
売上高:1.5兆円
営業利益:4,241億円

事業内容: 半導体メーカー
設立年:2002年、2003年上場
本社:🇯🇵 東京都江東区豊洲三丁目
代表者: 柴田英利(代表取締役社長兼CEO)
従業員数:21,000人
主要株主: INCJ 12.43%、デンソー 8.52%、トヨタ自動車 4.17%、日立製作所 3.44%、三菱電機 2.82%

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概要

東京都江東区に本社を置く半導体メーカー。三菱電機および日立製作所から分社化していたルネサス テクノロジと、NECから分社化していたNECエレクトロニクスの経営統合によって、2010年4月に設立された。社名の『Renesas』は、あらゆるシステムに組み込まれることで世の中の先進化を実現していく真の半導体のメーカー(「Renaissance Semiconductor for Advanced Solutions」)を標榜して名付けられた。

ルネサス 本社

2021年における半導体企業売上高ランキングで15位、日本国内ではキオクシアに次ぐ2位である。車載半導体市場シェアランキングではNXPセミコンダクターズ、インフィニオン・テクノロジーズに次ぐ3位として車載BIG3の一角を占め、特に車載マイコンでは世界シェアの3割を握る1位である。汎用マイコンでもマイクロチップ・テクノロジーとSTマイクロエレクトロニクスに次ぐ世界シェア3位であり、車載と汎用を合わせたマイコンの世界シェアはNXPに次ぐ世界2位(17%)である。

2021年現在、アプリケーションに関しては「アナログ+パワー+組み込みプロセッシング+コネクティビティ」のソリューション「ウィニング・コンビネーション」を主力として展開している。マイコン事業に関しては、2010年のNECエレクトロニクス統合直後には、三菱・日立・NECエレクトロニクスといずれも世界を代表するマイコンメーカーであった3社の統合前の全てのレガシーを引き継いでいたが、レガシー半導体(旧世代の半導体)にこだわるあまりにARMの時代に乗り遅れ、2010年代に経営悪化するに至った反省から、2019年に「RAファミリ」を発表しARMマイコン市場に本格参入して以降、2022年には競合他社に先駆けてRISC-Vコアを採用したマイコン「RZ/Five」を発表するなど、機敏な動きがある。

日本国内に前工程を担う4工場(那珂、川尻、西条、高崎)と、後工程を担う3工場(米沢、大分、錦)を抱え、特に那珂工場ではロジック向けとしては国内最先端である40nmプロセスのLSIを製造している。ただし、必要最小限の製造能力のみを維持するファブライトの方針のため、28nmプロセス以降の製品は外部のファウンダリ(主に台湾のTSMC)に生産委託しているほか、自社工場で賄える40nmプロセス以前の製品においても、外部製造の比率を高めている。

ルネサスの歴史

2010年代前半はルネサスにとって苦難の時期でした。

まずは2011年の東日本大震災。この時ルネサスは主力工場である那珂工場を中心に多くの工場で被災しました。中でも那珂工場の被害は酷く、当面は生産再開はおろか復旧すら困難な状況と思われました。

しかし、トヨタグループを中心とする復旧部隊によって約半年で震災前の生産水準に戻るという驚異的な復旧、復活を遂げました。この要因としては那珂工場で生産されていたマイコンがないと自動車をつくることができないという危機的な状況があり、経済産業省やトヨタ自動車を中心として人員や設備等々が惜しみなく投資されたためです。

震災からの早期復旧は遂げましたが、業績は芳しくなく2013年には経営悪化のため、産業革新機構傘下となり実質的な国有化となりました。この頃に国内工場の統廃合が進みました。

そして2014年に相次ぐ人員や工場のリストラ等によって発足以来初めての黒字化を達成しました。と言っても、かなりの血を流しながらの黒字化という状況でした。

拠点の統廃合

ルネサスは日立、三菱、NECの3社が統合してできた企業ですので、国内工場は各地に点在しており生産効率という面では決して良くありませんでした。そのため拠点の統廃合が進められました。

前工程では2022年現在稼働しているのは以下の4工場です。

那珂工場(主力工場)
西条工場
川尻工場
高崎工場

甲府工場は2014年に閉鎖されましたが、2022年に900億円を投資して2024年に12インチラインとしてパワー半導体を生産することが発表されました。一度閉鎖した工場に投資して再稼働するという珍しい事例です。

これらの工場以外は、他の半導体や電子部品企業に譲渡されたり、閉鎖されました。

後工程の工場も同様です。2022年現在稼働しているのは以下の3工場です。

米沢工場
大分工場
錦工場

その他の工場は国内OSAT企業に譲渡されたり、閉鎖されています。

プロダクト・ビジネスモデル

ルネサスは世界をリードする半導体企業として、
より良い世界を創造する未来を築くため、最新のテクノロジーを使ったサステナブルな製品や人々の暮らしを楽(ラク)にするソリューションを提供しています。

ルネサスの4つの注力市場

オートモーティブ

信頼性の高い車載制御、安全で安心な自動運転、環境にやさしい電気自動車自動車向け事業では、パートナーやお客様への開かれた開発環境と共に、電力消費にかかわる革新的なパフォーマンス、世界的に信頼されている車載製品の品質、そしてFuSa/Security関連の技術を通じて、特に車両設備のエンドポイントへと、革新的で総合的なエンドツーエンドソリューションを提供しています。

・先進運転支援システム(ADAS)
・コネクテッドカー
・機能安全技術

インダストリアル

無駄がなく、フレキシブルでスマートなインダストリ産業向け事業では、手軽に導入できるリアルタイムのアプリケーション・ソリューションを提供しています。ルネサスが供給する安全で堅牢なセンサー、ドライブ、ネットワークやコントロールを通じて自動生産を実現しています。組み込みAI技術によりエンドポイントの監視・管理が強化されています。

・MCUとSoCのリーディングサプライヤ
・マルチプロトコル接続、リアルタイム処理などの豊富で広範なテクノロジーの提供
・世界の主要顧客との強力な関係

インフラ

安全と豊かさをもたらす堅牢なインフラ

インフラ向け事業では、すべての建物や機械がつながっている社会を目指します。そのようなインテリジェント環境では、持続可能な基盤を作ることができ、社会の進化を可能にします。

・5GおよびMassive MIMO向けRFのテクノロジーリーダー
・情報とエネルギーの安定供給
・セキュリティの充実

IoT

IoTを活用した安心・健康的で快適なライフスタイル

IoT向け事業では、お客様と共に、日常的に使用するモノのインテリジェント化を進め、身の回りで起こる変化を把握し、適応できるような自宅環境を目指します。ルネサスは、人々と自宅との動的で双方向の関係性構築に取り組んでいます。

・独自コアおよびArmコア採用MCUのリーディングプロバイダ
・多種多様なテクノロジーの提供(SOTB, e-AI, セキュリティなど)
・ディストリビューターとの戦略的コラボレーション

セグメント別売上高

グローバルネットワーク

ルネサスエレクトロニクスの強み

ルネサスの強みは何と言っても汎用マイコンと車載マイコンで高いシェアを持ち、豊富な製品ラインナップがあることです。

マイコンとは
1チップ内にコンピュータが持つ基本機能一式(演算機能、記録機能、入出力機能)を備えたICのことで、我々の周りの家電や自動車などに幅広く使用されています。工場などの産業機器にも多く使用されています。

ルネサスでは世界標準となっているArmコアの32ビット、64ビットマイコンやルネサスコアの8ビット、16ビット、32ビットマイコン等を持っています。

積極的な企業買収へ

市場動向

マイコン(MCU)市場は2020年時点で173億ドルで、今後も成長が予想されている市場です。

ルネサスの市場シェアは17.1%と首位のNXP(17.2%)とほぼ同じシェアを持っています。

自動車向けマイコンでは2019年時点で31.4%と世界1位のシェアを獲得しています。

業績

売上収益については3,913億円、売上総利益率については56.0%、営業利益は1,357億円、営業利益率で 34.7%、当期利益は1,093億円、為替影響を除外した当期利益ベースで 856億円、EBITDAは1,555億円、第4四半期の為替はドルが144円、ユーロが144円という結果でした。

通期の実績は、売上収益については、1兆5,000億を超える水準の実績を記録することになりました。

売上収益全体では YoY では 24.5%の増収、QoQでは1.0%の増収となりました。

一方で、この為替影響を除いてみると、YoYでは4.1%の増収、QoQでは3.5%の減収となりました。内訳については自動車向けが7.5%の増収、Q0Qですね。産業・インフラ・loT向けが3.5%の減収となりました。
為替影響を除くと Q0Qですが、自動車向けが3.3%の増収、産業・インフラ・IoT向けが
8.6%の減収となりました。

製造費用については、昨年末に行いました定期点検費用の減少、それから OSAT 中心に製造委託
費の減少により改善いたしました。営業費用は R&D、SG&A、いずれも予想比で減少し、営業利益率は結果的に予想比プラス 4.2%ポイントで着地いたしました。

セグメント別に言うと産業・インフラ・IoT向けでマイナスでして、PC、モバイル、マスマーケットの需要減によるものです。

EBITDA とキャッシュ・フローについてです。
第4四半期の EBITDAは1,555億円で、右側、営業キャッシュ・フローは、1,000 飛んで62億
円、フリー・キャッシュ・フローは839億円となりました。

経営者

ルネサスの経営陣は多様な構成となっています。

CEOである柴田英利氏とCFOは産業革新機構の出身者です。そして他の幹部は日立製作所と三菱電機といった前身企業出身者とIntersil、IDT、Dialogといった買収企業出身者が占めています。

前身企業のひとつであるNEC出身者は入っていません。

CEOの柴田英利(しばた・ひでとし)氏は1972年神奈川県出身。 県立相模原高校卒業、東京大学工学部卒業、米ハーバード大学経営大学院で経営学修士号取得。 JR東海、メリルリンチ日本証券、産業革新機構などを経て2013年10月ルネサスエレクトロニクス取締役、執行役員常務兼最高財務責任者(CFO)を経て19年7月から現職。

次はルネサスの株主構成の変遷をたどってみましょう。

まずは2010年から2013年の設立期です。この時期は90%以上を旧親会社である日立製作所と三菱電機、NECが占めています。当然と言えば当然ですね。

しかし2013年に第三者割当増資を行い産業革新機構(INCJ)が70%近くを占めることになります。この後は徐々に株式の売り出しが行われてINCJの持ち分は減っていきます。

2022年では、INCJは12.5%まで下がり、デンソーやトヨタなどの自動車メーカー系列が13.2%、旧親会社3社が10.3%、その他が60%以上という構成比となっています。

産業革新機構傘下になっていた頃と比較しますと、各社の持ち分が分散されて、かなり健全な格好になっている印象です。

株価推移

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