【企業分析】リシュモン(Richemont)
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概要
主にジュエリー、時計、ファッションブランドの運営元会社を傘下に保有する企業グループ。 ファッション・宝飾品・時計類のラグジュアリーブランド市場において、LVMHに次ぐ第2位の企業である。
本拠地は腕時計生産地として有名なスイス。
正式名称は、COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT。
日本国内では昔から「リシュモン・グループ」と称されている傾向。
なお、LVMHやケリングが服飾系ブランドに強いのに対し、リシュモンは宝飾系・腕時計系のブランドに強いのが特徴。
プロダクト・ビジネスモデル
同社は2つの事業区分により構成される。
宝飾品メゾン事業は「カルティエ」と「ヴァン・クリーフ&アーペル」と「ジャンピエロ・ボディーノ」というブランドの宝飾品の設計・製造・販売を行う。
スペシャリスト時計屋事業は「ピアジェ」、「A.ランゲ&ゾーネ」、「ジャガー・ルクルト」、「ヴァシュロン・コンスタンタン」、「オフィチーネ・パネライ」、「IWCシャフハウゼン」、「ボーム&メルシエ」及び「ロジェ・デュブイ」というブランドの精密時計の設計・製造・販売を行う。
他の事業はモンブラン、アルフレッド・ダンヒル、ランセル、クロエ、パーディー、シャンハイタン、ピーター・ミラー、投資用不動産会社及び他の製造事業体を含む。
セグメント別の売上高は、以下の通りです。
・宝飾品メゾン:75億ユーロ、前年度比+3%
・スペシャリスト時計メーカー:22億ユーロ、前年度比▲21%
・オンライン販売:22億ユーロ、前年度比▲9%
製品別の売上高構成比は、宝飾品が42%、時計が31%、服飾が12%、革製品が9%、筆記具が2%を占めます。
地域別の売上高構成比は、欧州が22%、中国が33%、アジア(除く中国)が19%、アメリカが18%、中東/アフリカが7%を占めます。
セグメント別の営業利益率は、以下の通りです。
「カルティエ」は4月20日、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)およびプラダ グループ(PRADA GROUP)と共に、オーラ ブロックチェーン コンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)を設立した。これは世界中のラグジュアリーブランドが共通のブロックチェーン上にデータを記録することで、顧客にいっそうの透明性や追跡性を提供することを目的としたもの。これによって消費者は原材料の調達から販売に至るまでの履歴や、商品の真正性(真贋)などを確認できるという。
市場動向
高級ブランド会社各社の2020年度の売上高を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年の高級ブランド業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)、2位はKERING(ケリング)、3位はRichemont(リシュモン)となります。
世界1位は、フランスのLVMHです。2021年に米国の宝飾品大手であるティファニーを買収しました。世界2位は、グッチ等のブランドを有するフランスのケリングの3.8%です。世界3位は、Cartier(カルティエ)やモンブランブランドを有するフランスのリシュモンです。上位3社の頭文字をとったLUKERはブランドマネジメント大手として不動の地位となっています。
世界4位はフランスの独立系シャネルです。上位3社と異なり過去大型の買収をせず、内部成長(オーガニックグロース)を重視した戦略です。世界5位は、イタリアの高級サングラスメーカーであるエシロール・ルックスオティカです。世界8位には時計メーカーであるスウォッチグループです。それぞれ、高級サングラスと時計というカテゴリーキラーが上位に入っています。6位はフランスの高級スカーフで有名なエルメスです。LVMHからの買収提案をかわし、オーガニックグロースを目指します。
市場規模
各種調査データをもとに、2020年の高級ブランド業界の世界市場規模として2500億ドルを採用しています。ケリングによれば、2020年の個人向け同市場規模は2170億ユーロです。下図の通り2012年から2020年の高級ブランド市場のCAGR(年平均成長率)は0.59%です。2020年のコロナ禍という特殊要因を排除するために、2012年から2019年のCAGRを求めると4.46%です。調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると、2020年の同市場規模は2019年比マイナス18.63%の2572億ドルです。2027年にかけて年平均4.6%での成長を見込みます。コンサルティング会社のベイン&カンパニーによれば2019年の同業界の規模は2810億ユーロです。
再編の歴史
LVMH、リシュモン、ケリング、グッチ等が各国のブランド会社を買収していくことで、現在の業界構造が生まれています。ブランド価値を高めるためのマーケティングやeコマースでの販売など、ブランドマネジメントに規模の経済が必要となってきています。一方でシャネルやエルメスは、大型の買収などを行わず、内部成長による企業価値の向上を目指しています。
買収時点での企業価値に対する対象会社の売上高の倍率の推移では、LVMHは概ね3~4倍程度の売上高マルチプルで高級ブランド運営会社を買収していることがわかります。
業績
FY2021(2020年4月-2021年3月期)の売上高は131億ユーロと、前年度比▲7.7%、過去5年間で年率+3.5%となりました。
FY2021の営業利益は14.8億ユーロと、前年度比▲2.6%、過去5年間で年率▲6.4%となりました。
営業利益率は11.2%と、前年度の10.7%から改善しました。
FY2021のEPSは2.30ユーロと、前年度比+39.5%、過去5年間で年率▲10.2%となりました。
FY2021の営業キャッシュフローは32億ユーロと、前年度比+35.8%、過去5年間で年率+10.4%となりました。
営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は24.5%と、前年度の16.6%から改善しました。
FY2021のフリーキャッシュフローは27億ユーロと、前年度比+65.4%、過去5年間で年率+16.6%となりました。
フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は20.6%と、前年度の11.5%から改善しました。
過去2年間、自社株買いの実施はなしです。
リシュモンといえば、20年11月にラグジュアリーEC大手ファーフェッチ(FARFETCH)および中国最大手EC企業のアリババ(ALIBABA)とグローバルな戦略的パートナーシップ契約を締結して大きな話題となった。提携の一貫として、リシュモンは「カルティエ」「ヴァン クリーフ&アーペル」「IWC シャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)」「ジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)」「オフィチーネ パネライ(OFFICINE PANERAI」「ピアジェ(PIAGET)」「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」「クロエ(CHLOE)」などを含む11の傘下ブランドをアリババが運営する高級品に特化したEC「ラグジュアリー・パビリオン(LUXURY PAVILION)」に出店しており、これが売り上げに大きく貢献している。
経営者
1988年に南アフリカの実業家ヨハン・ルパートにより持株会社として設立、設立当初の保有はカルティエ(Cartier Monde S.A.)とロスマンズ(Rothmans International plc)が中心で、ダンヒルやクロエ / シー・バイ・クロエにも出資を行っていた。
父親は、1940年代に「Rembrandt Group Limited of South Africa」を創設した大富豪のDr Anton
Rupert(アントン・ルパート)。
若い頃は銀行関連の仕事をしていたが、1984年に父親の会社へ入社。
そして、父親が立ち上げたRembrandt Group Limitedから分離する形で、1988年にRichemontを設立。
ルパートはステレンボッシュで育ち、ポール・ルース体育館とステレンボッシュ大学に通い、経済学と会社法を学んだ。彼はビジネスのキャリアを追求するために大学を中退したが、2004年に同大学から経済学の名誉博士号を授与された。
ルパートとその家族は、2021年のフォーブスのリストで南アフリカで2番目に富裕層にランクされ、推定純資産は71億米ドルである。
2007年3月、ラルフ・ローレンと、合弁会社ポロ・ラルフローレン・ウォッチ&ジュエリー社(Polo Ralph Lauren Watch and Jewellery Company, S.A.R.L.)を設立。
2018年1月、イタリアの高級品オンライン販売企業であるユークス・ネッタポルテの完全子会社化を発表した。
ヨハン・ルパート会長は、2016年にCEO職を廃止するとし、それぞれのブランドのトップが取締役会に直接報告するようになると説明した。