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【企業分析】日本電信電話(NTT)
9432 (東証プライム)
時価総額:14.3兆円
株価:3,950円
売上高: 12.2兆円
営業利益: 1.8兆円
事業内容: 電気通信会社
設立年:1985年
本社:🇯🇵 東京都千代田区大手町一丁目
代表者: 澤田純(代表取締役会長)、島田明(代表取締役社長 社長執行役員CEO)
従業員数: (連結) 333,840人、(単独) 2,486人
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概要
NTT (NIPPON TELEGRAPH AND TELEPHONE CORPORATION)は、東京都千代田区大手町に本社を置く、電気通信会社です。
日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年)に基づき、日本電信電話公社(電電公社)が民営化して1985年に設立された特殊会社である。日経平均株価およびTOPIX Core30、JPX日経インデックス400の構成銘柄の一つ。
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NTTグループを統括する経営統括機能のほか、規模・技術的にも世界屈指の研究所を擁する。NTTの研究開発部門はグループ企業の事業用技術開発だけに留まらず、通信分野の技術標準化、学術研究、オープンソースソフトウェアにも大きく貢献している。
プロダクト・ビジネスモデル
主力事業は大きく分けて総合ICT事業(NTTドコモ・NTTコミュニケーションズ・NTTコムウェアなど)、地域通信事業(NTT東日本・NTT西日本など)、グロー・バルソリュショーン事業(NTTデータなど)であるが、それらに比較して小規模ではあるものの不動産都市開発事業(NTTアーバンソリューションズ・NTT都市開発・NTTファシリティーズなど)、電力エネルギー事業などにも注力しています。
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発足当初は固定電話による収益に依存していたが、現在は営業利益の6割がNTTドコモ、NTTコミュニケーションズを中心とした総合ICT事業に依存しています。
また、ベニザケの陸上養殖や食用昆虫の飼育などを行う大学やベンチャー企業に対し、NTTの通信やセンサー技術を提供する「スマート養殖事業」の実証実験を行っており、将来的には生産システムの外販も予定している。
NTTは、グループ横断でのリソース・アセットの戦路的活用と意思決定の迅速化を目的に、2020年12月のNTTドコモ完全子会社化や2022年1月のNTTドコモによるNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの子会社化をはじめとした会社組織の見直しを実施し、2021年度第4四半期より、NTTグループのセグメントを従来の5区分から、4区分に変更しています。
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統合ICT事業
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総合ICT事業では、5Gサービスや「ドコモ光」等の販売を推進したほか、法人事業においては、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの3社統一の法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開する等、すべての法人のお客さまをワンストップでサポートするための取組みを進めています。
また、スマートライフ領域においては、様々な事業者とのコラボレーションを推進し、新たな付加価値の提供に取り組みを行っています。
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総合ICT企業に向け事業ポートフォリオを変革し、持続的成長を実現
(法人事業)
・モバイル・クラウド・ソリューション等の成長領域を拡大
・大企業から中小企業まで、ドコモ・コミュニケーションズの強みを活かしワンストップで
お客さまへ価値提供
(スマートライフ事業)
・金融・決済、マーケティングソリューションの更なる成長
・でんき、メディカル、XR等の新規領域を拡大
(コンシューマ通信事業)
・5Gによる新サービス、顧客基盤の拡大で成長軌道へ転換
・販売チャネル・ネットワークの構造改革により利益を維持・拡大
地域通信事業
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地域通信事業では、光アクセスサービス等を様々な事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」や、地域社会・経済の活性化に向けたソリューションビジネスの強化を図りました。
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重点的な取り組み
■NTT東日本-地域活性化に向けた取組み
(地域のスマート化に向けたプライベートネットワークの構築)
・利用用途に応じたプライベートネットワークの構築
・マルチアクセスニーズに応えるサービスの提供
(地域の社会課題を解決する新たなビジネスの展開)
・非接触・省力化ニーズに対応する事業の展開
・集積したデータ・ノウハウを活用したコンサルティング事業の展開
・デジタル化による新たな価値の創造
■ NTT西日本 -課題解決型ソリューションの展開-
(ソーシャルITパイオニアとして成長し続ける企業をめざす)
・社会を取り巻く環境変化がもたらす様々な課題に対し、ICTを活用して解決する先駆者として、社会の発展・持続的成長(SDGs)に貢献し、地域から愛され、信頼される企業に向けて変革を続ける
グローバル・ソリューション事業
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グローバル・ソリューション事業では、データセンタービジネスやマネージドサービスといった成長分野でのサービス提供力の強化を図ったほか、市場の変化に対応したデジタル化の提案、システムインテグレーション等の多様なIサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
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■NTTデータ 新中期計画全体像
経営環境の見通し及び課題を踏まえ、2022年度~2025年度の中期経営計画を策定しました。
NTTデータグループはTrusted Global Innovatorとして、未来に向けた価値をつくり、様々な人々をテクノロジーでつなぐことでお客さまとともにサステナブルな社会を実現することをめざしていきます。
【戦路全体像】
・ITとConnectivityの融合による新たなサービスの創出
・フォーサイト起点のコンサルティング力の強化
・アセットベースのビジネスモデルへの進化
・先進技術活用力とシステム開発技術力の強化
・人財・組織力の最大化
その他(不動産、エネルギー)
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その他(不動産、エネルギー等)では、NTTアーバンソリューションズを中心に、NTTグループの総合力を活用した街づくりの推進や、NTTアノードエナジーによるスマートエネルギーのサービス提供等に取り組みました。
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重点的取組み
■ 街づくりビジョン
NTTアーバンソリューションズは各都市がめざす個性豊かで活力ある街づくりを、以下の4つのバリューで支援することにより、地域社会の経済発展と社会的課題の解決を両立させ、快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができる人間中心の社会であるSociety 5.0とSDGsの実現に買献します。
・Community(コミュニティ)
個性と活気ある街づくりのための魅力ある空間とコンテンツを提供
・Innovation(イノベーション)
先端技術を活用して、都市の課題解決や新たな産業創出、企業の生産性向上等に貢献
・Diversity(ダイバーシティ)
街に集い、働き、住まう人それぞれの、多様なライフスタイルに寄り添う都市環境を整備
・Resilience (レジリエンス)
環境負荷低減を実現し、災害対応力を備えた、安心して暮らせる街を創造
■スマートエネルギー事業
NTTアノードエナジーによるスマートエネルギー事業の推進を行っていきます。
・グリーン発電事業
再生可能エネルギー発電所の開発機能の強化
・地域グリッド事業
NTT保有アセットの活用拡大による再生可能エネルギー地産地消とレジリエンス強化
・需要家エネルギー事業
脱炭素ソリューションの展開により露要家のカーボンニュートラルを推進
・構築・保守オペレーション事業
電力エンジニアリング機能(構築・保守・監視)の強化により品質向上と効率化
市場動向
日本の通信業界の動向と現状(2021-2022年)
近年の通信業界は横ばいで推移 頭打ち状態が続く
財務省の法人企業統計(2022年9月更新)によると、2021年度の情報通信業の売上高は、前年比3.4%増の79兆9,813億円でした。
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情報通信業の売上高の推移を見ますと、過去5年間はおおむね横ばいで推移しています。2020年度は若干の減少となりましたが、21年度には増加に転じています。コロナの影響も軽微であったと言えるでしょう。
2021-2022年の携帯電話業界は前年に比べて、横ばい傾向にありました。大手3社による携帯電話の低価格プランが一斉にスタートし、顧客基盤の拡大につながっています。今後は「5G」特需が期待されますが、本格的な普及にはもうしばらく時間がかかりそうです。
近年の携帯電話業界は、政府による「携帯電話料金の値下げ」要請を受け、各社、料金プランを一斉に引き下げました。大手キャリア3社は『ahamo』や『povo』、『LINEMO』といったネット申し込みサービスを展開しており、従来にない低価格プランを展開しています。2020年4月には「楽天モバイル」が参入してくるなど、業界に新たな動きが見られましたが、新規参入の楽天はいまのところ苦戦を強いられています。
2021-2022年の通信業界売上高ランキングを見ますと、首位がNTT、2位がソフトバンクグループ、3位がKDDIとなっています。
2021-2022は、大手通信会社5社中4社が横ばい、1社が増加となりました。業界全体としても横ばいで推移しています。
日本の通信業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)
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電話・移動体通信・テレコム業界の世界市場シェア
市場シェア
通信サービス会社の2021年度の売上高を分子に、後述する市場規模を分母にして、2021年の通信業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はドイツテレコム、2位はチャイナ・モバイル、3位はAT&Tとなります。
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ドイツテレコムが世界1位となりました。2021年にソフトバンクからスプリントを買収し、米国事業を拡大しています。
2位には、中国最大の携帯電話会社のチャイナモバイルが入っています。チャイナモバイルは加入者数では世界1位です。
AT&Tが3位です。AT&Tは通信事業への回帰を図っています。2014年にディレクTVを買収、2016年にはメディア大手のタイムワーナーの買収を実施し、通信とメディアの融合を目指しましたが、ディレクTVは投資ファンドへの売却、ワーナーメディアはディスカバリーとの経営統合しました。
4位は米国のベライゾンがつけています。ベライゾンの主力は携帯事業のベライゾン・ワイヤレスとなります。AT&Tと同様にヤフーやAOL事業を買収し、通信とメディアの融合を目指しましたが、2021年に売却を発表しました。
5位は日本のNTTグループです。NTTドコモを完全子会社化し通信事業を強化しています。
携帯電話会社の加入者数ベースでは、チャイナ・モバイル、グローバル展開で先行したイギリスのボーダフォン、インドのバーティが上位になっています。加入者ベースでは、人口が多い国の携帯キャリアが世界シェアの上位にくる傾向があります。日本勢は加入者数ではトップ10から脱落しています。また人口数がKPIとなるため、先進国の携帯キャリアも加入者数ベースでは劣勢です。
市場規模
調査会社プレシデンスリサーチによると、2021年の同業界の市場貴は1兆7300億ドルです。2030年にかけて年平均4.85%で成長し、同年には2兆6500億円へと拡大する見込みです。
5Gネットワークの拡充やクラウドベースのデータサービス(ビデオストリーミング、ビデオ通信など)への強い需要を背景に、今後も成長が見込まれる市場です。
主なM&A
通信とメディアの融合、地域を超えての世界展開、5Gへの対応を含めた通信回線の質やスピード向上といった設備投資という3つの要素が絡み合い、業界再編が頻発している業界です。売上高倍率は2~4倍程度が最近の傾向です。
2012年 ソフトバンクがスプリントを買収
2015年 リバティがケーブル&ワイヤレスを買収
2016年 AT&Tがワーナーメディアを買収
2018年 ソフトバンク傘下のスプリントとドイツテレコム傘下のT-Mobileが経営統合
2020年 NTTがNTTドコモを買収
2020年 リバティがサンライズコミュニケーションを買収
2021年 AT&Tがワーナーメディアを売却
2021年 AT&TがディレクTVを売却
業績
NTTが2022年5月12日に発表した2022年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる営業収益が前期比1.8%増の12兆1564億円、営業利益が同5.8%増の1兆7685億円と、増収増益だった。営業収益、営業利益ともに過去最高を更新した。
増収増益に大きく貢献したのは、NTTデータを中心としたグローバル・ソリューション事業セグメント。NTTドコモやNTTコミュニケーションズなどで構成する総合ICT事業セグメントや、NTT東西の地域通信事業セグメントもコスト削減などにより増益を確保した。2023年3月期の通期業績予想は営業収益が前期比3.6%増の12兆6000億円、営業利益が同2.9%増の1兆8200億円を見込む。
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総合ICT事業
総合ICT事業では、新生ドコモグループとしての新体制がスタートしたことを踏まえ、法人事業の拡大、ネットワークの競争力強化、サービス創出・開発力強化とデジタルトランスフォーメーション推進の大きく3つのシナジーを創出するための取り組みを進めたほか、5Cサービスなどの販売を推進しました。
<主な取り組み内容>
・2022年6月、お客さまそれぞれのライフスタイルに合わせた料金サービスの更なる充実に向け、「ahamo大盛り」の提供を開始しました。また、2022年11月、基地局スリーブ機能の高度化によるネットワークの省電力化を開始したほか、2023年2月、リサイクル素材を活用した環境配慮型スマートフォンの提供を開始しました。
• 2022年7月、個人向けローンサービス「dスマホローン」、2022年9月、従来の端末補償サービスから補償対象を拡大した「smartあんしん補償」の提供を開始しました。また、スマートライフ事業の事業領域拡大に向け、ビッグデータを活用したマーケティングソリューションの推進などの取り組みを進めました。
• 2022年9月、さまざまな回線・デバイスにおけるセキュリティ対策と運用効率化を実現するデバイス管理サービス「あんしんマネージャーNEXT」の提供を開始しました。また、法人事業における従来のソリューションに加え、モバイルソリューションやアプリケーションなどを組み合わせた統合ソリューションの提供に努めまし
た
以上の取り組みの結果、総合ICT事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、6兆590億円(前期比3.2%増) となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、4兆9,651億円(前期比3.5%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は、1兆939億円(前期比2.0%増)となりました。
地域通信事業
地域通信事業では、地域の社会課題解決に向け、企業・自治体・社会のデジタルトランスフォーメーションを支援するソリューションビジネスの強化のほか、光アクセスサービスなどをさまざまな事業者に御提供する「光コラボレーションモデル」の提供を推進しました。
<主な取り組み内容>
・2022年8月、NTT東日本およびNTT西日本は、地域のお客さまの題にきめ細かく対応し、全国の中小企業のデジタルトランスフォーメーションを全面的にサポートするために信用中央金庫と業務提携を行い、全国の信用金庫と地域の中小企業をデジタルでつなぐ取り組みを推進しました。
・2022年10月、NTT西日本の子会社であるNTTビジネスソリューションズ株式会社は、自治体・法人のお客さまにおける電気自動車(以下、EV の導入、およびEVとEV#電池を活用した電力の最適利用をトータルに支援する
ソリューション「N.mobi (エヌモビ) 」の提供を開始しました。
• 2022年11月、NTT東日本は、東京ガスネットワーク株式会社、東京電カパワーグリッド株式会社と社会課題の解決に向けた連携協定を締結し、インフラ基盤の持続安定化、社会価値の向上、豊かな未来に向けたイノベーションに連携して取り組むことに合意しました。
以上の取り組みの結果、地城通信事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、3兆1,776億円(前期比0.9%減)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、2兆7,571億円(前期比0.4%減)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は、4,205億円(前期比1.4%減)となりました。
グローバルソリューション事業
グローバル・ソリューション事業では、市場の変化に対応したデジタル化の提案、システムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供のほか、データセンタービジネスやマネージドサービスといった成長分野でのサービス提供力の強化に取り組みました。
<主な取り組み内容>
• 2022年7月、SAP SE(本社:ドイツ)と共同で、壊れやすい貨物の輸送をIo「センサなどで追跡し、保険手続きを円滑化する新たなソリューション「Connected Product」を開発しました。今後、国際的な保険・物流会社向けに実ビジネスへの適用を予定しています。
・2023年2月、トヨタ自動車株式会社と共同で、三井不動産グループの協力のもと、ショッピングモールの駐車場および周辺道路の混雑の解消をめざし、コネクティッドカーデータを利用した実証実験を開始しました。ショッピングモール周辺の渋滞を解消し、二酸化炭素(COg)の排出量削減と顧客満足度向上のため、コネクティッドカーデータを渋滞解消に利活用する方法の確立をめざします。
・企業のサステナビリティ推進をサポートする各種サービスの拡大に取り組みました。2022年6月にはESC経営を促進するDX支援サービスを、2022年7月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)開示対応支援サービスを、2022年8月には、国際NCO CDP保有のデータを活用した温室効果ガス排出量可視化サービス「C-Turtlet」をそれぞれ開始しました。
以上の取り組みの結果、グローバル・ソリューション事業セグメントにおける当連結会計年度の営業収益は、必917億円(前期比13.2%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、3兆8,261億円(前期比12.4%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は、2,656億円(前期比26.2%増)となりました。
不動産事業、エネルギー事業
<主な取り組み内容>
・不動産事業
NTTグループの不動産事業を一元的に担うNITアーバンソリューションズ株式会社を中心に、オフィス・商業事業や住宅事業、グローバル事業を推進しました。2022年6月、名古屋において次世代型先進オフィスビルを開業し、未来の街づくりを実現するため、IOWNの技術要素を活用したデジタル基盤の開発および実証実験などに取り組みました。
・エネルギー事業
スマートエネルギー事業を推進するNTTアノードエナジー株式会社を中心に、再生可能エネルギー発電所の開発、NTTグループが保有するアセットの活用拡大、脱炭素ソリューションの展開などを推進しました。2022年7月、スマートエネルギー事業の拡大に向け、NTTアノードエナジー株式会社は株式会社NTTファシリティーズの電力関連業務を統合しました。
以上の取り組みの結果、その他(不動産、エネルギー等)における当連結会計年度の営業収益は、1兆8,070億円(前期比29.4%増)となりました。一方、当連結会計年度の営業費用は、1兆7,179億円(前期比29.8%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は、892億円(前期比23.0%増)となりました。
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財務状況
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、2兆2,610億円の収入となりました。これは主に、非資金損益項目調整後の当期利益が2兆9,259億円となったことによります。前期比では、7,492億円(24.9%)減少しておりますが、これは、運転資本等が増加したほか、法人税等の支払額が増加したこと等によるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」については1兆7,369億円の支出となりました。これは主に、有形固定資産・無形資産及び投資不動産の取得による支出が1兆8,519億円となったことによります。前期比では、378億円(2.2%) 支出が増加しております。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」については、5,902億円の支出となりました。このうち、配当金による支出は4,397億円、また、借入債務の収支は6,930億円の収入となりました。前期比では、8,479億円(59.0%)支出が減少しておりますが、これは、借入價務による収入が増加したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末におけるNTTグループの現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して406億円(4.9%)減少し、7,939億円となりました。
当連結会計年度末の資産は、営業権の増やその他の流動資産の増等により、前連結会計年度末に比べて1兆4,466億円増加し、25兆3,089億円となりました。
当連結会計年度末の負債は、自己株式取得および税金支払による借入金の増や円安の進展による負債の増等により、前連結会計年度末に比べて1兆1,141億円増加し、15兆9,582億円となりました。有利子負債残高は8兆2,305億円であり、前連結会計年度末の7兆3,643億円から8,663億円増加しました
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株主還元と株式分割
株主還元
・ 2023年度の配当予想は対前年5円増の1株当たり年間125円
→13期連続増配の予定
株式分割
● 当社普通株式1株につき、25株に分割
(2023年6月30日を基準日とし、7月1日に効力発生)
→投資単位を大幅に引き下げ(1.6万円)投資しやすい環境を整備
NTTグループの持続的な成長に共感する投資家層を幅広い世代で拡大
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経営者
2022年6月に澤田純社長が代表権のある会長に就き、島田明副社長が社長に昇格する人事も発表した。代表取締役副社長には川添雄彦常務執行役員、NTTドコモの広井孝史副社長が就任となった。NTT東西も社長交代を発表し、NTT東日本社長にはNTTの渋谷直樹副社長、NTT西日本社長にはNTTリミテッドの森林正彰副社長が就くこととなった。
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島田氏は、堅実で安定感のあるマネジメントスタイルに定評がある。技術畑で、光技術を活用した次世代情報通信基盤「IOWN」など将来構想を軸に大胆な改革を推し進めてきた澤田氏とは対照的だ。島田氏は、スピードを重視し大胆な施策を立て続けに打ち出してきた澤田氏とは補完関係にあり、新体制では、代表権が残る澤田氏と二人三脚で改革途上のグループのかじ取りを進めることとなった。
島田氏は、1981年に日本電信電話公社(現NTT)に入社。入社年次では澤田氏の3つ下に当たる。出世コースの総務・人事・労務畑を歩む一方、欧州法人など海外マネジメントも経験しており、「陰の実力者」との呼び声が高い。澤田氏が社長に就いた18年6月以降、島田氏は副社長として間近で澤田氏の改革を支えてきた。
島田氏は最高人事責任者として、「官僚以上に官僚的」といわれ年次主義が色濃く残るNTTグループの人事改革にもメスを入れてきた。ジョブ型人事制度や、経営幹部候補の若手を抜てきする制度「NTTユニバーシティ」を導入し、巨大組織の活性化に力を注いだ。
「澤田氏がこれだけグループ全体を“破壊”しつつも、経営が揺るがないのは、副社長の島田氏ががっちりと支えてきた側面も大きい」(NTT幹部)との声が聞こえる。そんな実力者である島田氏が、巨大組織のトップに立ち、グループの改革をさらに推し進めることになる。
株価推移
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