【読書メモ】嫉妬/事件
皆さん、こんにちは。
今回は、2022年にノーベル文学賞を受賞したアニーエルノーの小説、「嫉妬」と「事件」についてお話ししたいと思います。
エルノーの作品は、人間の感情と社会的な問題を描くことで知られていますが、これら二つの作品もその特徴を色濃く反映しています。
「嫉妬」は、別れた男性と新しいパートナーとの生活を知った主人公の女性が、その事実に取り憑かれ、自己の変化していく感情を冷静に分析するという内容です。エルノーは、嫉妬という普遍的な感情を通じて、人間の心の奥深くを探り、読者に自己の感情を深く考える機会を提供しています。
一方、「事件」は、望まない妊娠とその結果としての中絶という重いテーマを扱っています。1963年、中絶が違法だった時代のフランスで、妊娠してしまったものの、赤ん坊を堕ろして学業を続けたいという大学生の苦悩と葛藤を描いています。この作品を通じて、エルノーは女性が直面する困難と苦悩を描き出し、社会的な問題に光を当てています。
私自身は男性ですが、これらの作品を読むことで、女性の視点から見た世界を少し理解することができたと感じています。エルノーの作品は、その深い人間理解と鋭い洞察力により、読者が自身の感情を探求し、理解する手助けをしてくれます。
これらの作品を読むことで、私たちは自分自身や社会について新たな視点を得ることができます。ノーベル文学賞を受賞したアニーエルノーの「嫉妬」と「事件」は、そのような視点を提供してくれる貴重な作品だと思います。