「上昇の兆し」
保有銘柄が次々と上昇していた。
相場の波が、自分のポートフォリオに追い風を吹かせている。
ポートフォリオの双璧をなすベースフードは、新商品発表のニュースを受けて急騰。
「正直、ここまで上がるとは思っていなかった……。」
驚きとともに、心の中にわずかな自信が芽生える。
株価上昇の条件が揃った時、こうした爆発的な動きが起こることを、これまでの経験で知っていたはずだ。だが、実際にその瞬間を目の当たりにすると、やはり感慨深いものがある。
一方で、アクセルマークとサイバーステップも勢いを増している。
ポケモンカード関連のニュースに支えられての上昇と見た。
「もし自分の読みが正しければ、まだ上値余地はある。」
冷静にチャートと材料を分析し、追加購入を決断する。
以前なら感情に流されて無闇にロットを増やしていたかもしれない。だが今は違う。根拠のある判断が、自分の行動を支えているのを感じる。
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「今年はまだ始まったばかりだ。」
浮かれる気持ちを抑えつつも、これまでとの違いを意識せざるを得ない。
「以前は、株をなんとなくやっていたようなものだった。それに比べると、アプローチが格段に良くなっている……。」
その理由を考える。
今、手元には自分が書き綴ってきた日記がある。日々のトレードや思考を記録し、振り返る。この行為が、内省を深め、次に繋げているのは間違いない。
「今までも振り返りはしていたはずだ。でも、今のそれとは質が違う。」
その差を生み出しているものが何なのか――答えはうっすらと見えている。
だが、それを確信を持って語るのは、まだ少し早い。
「もう少し進んでからだ。」
手元のノートに今日の出来事を記す。
今、少しずつだが、確実に自分は前に進んでいる。
株価は、波のように上下を繰り返す。
だが、こうして書き続ける限り、自分の軸は揺らがない。
「次のステージに向けて、焦らず行こう。」
画面のチャートが、また静かに動き出した。