「物言う株主」坂本俊吾氏とは?
村上世彰氏が「物言う株主」として脚光を浴びたのが記憶に新しい方もいらっしゃるのではないでしょうか?
令和版の村上世彰氏として注目されいてる投資家として坂本俊吾氏の名前があがります。未だに日本においては企業は社長のものという意識が根強く残っています。
しかし、資本主義において企業の所有者が株主であることは普遍的な理です。そんな当たり前を浸透させ日本の資本市場に新しい風を吹き込む坂本俊吾氏に話を聞いてきました。
その内容を簡単にまとめましたので共有したいと思います。
坂本俊吾氏とは?
【経歴】
東京大学卒業。バークレイズ証券勤務後。2015年にBlack Clover Limitedへ事業を継承。現在はシンガポールを拠点に活動。自らが得た知見の共有も積極的におこなっている実績がある。(参照:TAP実務セミナー)
【BlackClover Limited】
創業当初から日本の上場企業へバリュー投資を中心に行い、証券分析に特化して市場価格に対して割安な企業を見極め、中長期的に利益を上げるアクティビストとしての活動を行なっている。
質問内容
筆者は大学時代彼が先輩であったということもあり(といっても3学年上なわけですが)、卒業後の活躍を伺い個別に話を伺う時間をいただきました。
インタビューというかたいものではなく、あくまで会話の中で伺った内容を記載していきます。
Q.なぜ金融の道にすすもうと考えたのか?
A.金融は経済の心臓といえる最も重要なパート。最も社会のインパクトを与えるという観点で考えた時に金融というツールを使うことが効果的だと考えた。日本は先進国であるが、資本がうまく活用されていないと考える事案に大学時代から多く直面してきたことも影響している。
Q.外資系金融では何をしていたのか?
A.債券のストラクチャリング部門で商品開発を行なっていた。デリバティブを用いた商品の提案を行なっていたが、外資系といえど日本人で構成されていることもあり決定権はMDに握られており限界を感じた。また、自分がしたいこととは違うという思いが日に日に強くなってきたため独立を決意した。
Q.なぜ、自身でファンドを立ち上げようと思ったのか?
A.元々大学時代に稼いだ事業を元手に株式投資を行なっていた。当時、リーマンショックでもプラスのリターンをだせており運用を行ってくれないかという依頼を付き合いのあった経営者などから受けていた。当時学生であり金融機関への内定がきまっていたためお断りしていた。しかし、やはり自分の得意なことで独立をしたいという思いから、当時付き合いのあった方々に連絡を取りファンドを立ち上げることとなった。
Q.憧れる投資家は?
A.バフェットの大学時代の師であるベンジャミン・グレアムと日本では村上世彰氏。両者の投資手法を取り入れた手法で運用を行なっている。
ベンジャミン・グレアム氏が著した証券分析は70年以上経過した今でも投資家のバイブルとして広く読まれている。不確実な未来の予想に頼らず、蓋然性の高い現在の状態を元に割安な銘柄を探す手法は難しいが再現性は高く取り入れている。
グレアム流の投資を強化するために村上世彰氏の「物言う株主」つまりアクティビストとしての動きを取り入れている。企業が発行する株式を購入して大株主として経営陣に働きかけ、株主の利益を最大化するための提言を行い実行にうつすよう仕掛けている。
Q.将来の夢は?
A.現在のファンドの運用資金は100億円程度である。しかし、世界のヘッジファンドマネージャーは1兆円以上、ブリッジウォーターアソシエイツのレイダリオ氏のように20兆円近くを運用する方もいる。やはり、日本発のヘッジファンドとして初の1兆円ファンドを目指していきたい。引いては日本の金融リテラシーのレベルを引き上げる活動に従事していきたいと考えている。