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ハイテク株売り、最悪期は終わりつつある可能性


Investors Cashed Out of Tech Stocks. The Selloff Might Be Ending.
ファンドから週ベースで約20億ドルの資金流出
2022/08/30 12:27
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10年国債利回り、ピーク下回る

投資家は最近、ハイテク株を大量に売却したが、関連指標から判断すると、売りの最悪期は終わったようだ。 ハイテク株中心のナスダック総合指数は8月半ばに数カ月ぶりの高値を付けて以降、約8%下落して
投資家は最近、ハイテク株を大量に売却したが、関連指標から判断すると、売りの最悪期は終わったようだ。

ハイテク株中心のナスダック総合指数は8月半ばに数カ月ぶりの高値を付けて以降、約8%下落している。主因は10年物米国債利回りの上昇だ。急成長を続けるハイテク企業の多くは、利益の大半が実現するのは遠い先のことだと予想しているが、利回りの上昇により、将来の利益の価値は低下する。10年債利回りを押し上げているのは短期債利回りの上昇だ。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、ジャクソンホールで開催された年次経済シンポジウムで、インフレ抑制のため、積極的な利上げを行う方針を明らかにした。

朗報がある。投資家は今後、ハイテク株への関心を高める一方になるかもしれない。バンク・オブ・アメリカによると、ハイテク株ファンドから先週、差し引き約20億ドルの資金が流出した。これは2021年11月以来最大の純流出額だ。ただ、2017年以降のデータによれば、週ベースの流出額が20億ドルを大幅に上回ることはめったにない。つまり、資金の純流出はまだ続くかもしれないが、今後数週間、数カ月でその規模は減少する可能性が大きい。

このことは、ハイテク業界のもう一つの前向きな指標と整合性がとれている。10年債利回りはここ数週間上昇しているものの、突破するのが難しい水準に達している。6月末以来の低水準である2.57%から上昇し、直近では約3.1%で推移しているが、6月半ばに付けた数年ぶりの高水準である3.48%をいまだに下回っている。ここ数日、現在の水準を超えることはできなかった。

10年債利回りはまた、今後10年間の平均年間期待インフレ率を依然として上回っている。これは「実質利回り」がプラスであることを意味するため、投資家は期待インフレ率を考慮しても利益を上げることができる。10年物国債に価値を見いだす投資家がいるため、買いが入り、国債の価格が高水準で、利回りが比較的低めに推移しているのは不思議ではない。

つまり、利回りが新たな水準に急上昇することはないと投資家が確信できれば、ハイテク株は安定し、ある時点で再び上昇に転じる可能性があるということになる。短期的にハイテク株の売りが続いたとしても、売りが大幅に増加することはなさそうだ。

成長鈍化で、PERは時間とともに下落か

ただ、一つ注意すべき点がある。ハイテク企業の多くは、顧客を増やすにつれて成長が鈍化している。これは、バリュエーション、つまり短期的な予想PER(株価収益率)、が時間とともに下落する可能性があることを意味する。

クラウドサービスがその一例だ。例えば、ファクトセットによると、セールスフォース<CRM>のアナリストは、同社の2023年度の売上高が前年比17%伸びると予想している。過去数年間の23%以上の成長からは鈍化することになる。しかし、その減速の一部は株価に反映されているようだ。株価は8月中旬に付けた最近の上昇局面のピークから15%下落しており、予想PERはその上昇局面のピークに記録した36倍から31倍に低下している。モルガン・スタンレーのアナリスト、キース・ワイス氏は現在、同社株について、「リスク/リターンは非常に魅力的だ」と語り、「オーバーウエート」と評価している。

確かに、ハイテク株投資家たちには解決すべきことがたくさんあるが、最悪の時期はもう終わった可能性が大きい。


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