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【WSJ記事】市場に短期思考が復活、ムーンショットは御法度


健全な株価を望むなら目先の利益に注力すべき、企業はそれを理解し始めている

金利上昇が投資家に短期思考を促しているPHOTO: SPENCER PLATT/GETTY IMAGES

By James Mackintosh
2022 年 11 月 4 日 09:55 JST

――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト
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 投資家は短期的な思考を強め、企業トップも長期の大型プロジェクトを敬遠するようになっている。原因は何か? 米連邦準備制度理事会(FRB)とその積極的な利上げが大きな要因だ。
 簡潔に言おう。1年物の米短期証券(Tビル)に資金をつぎ込めば安定して4.5%のリターンが得られるのに、なぜ10年後にしか資金が回収できないであろうリスクの高い事業にわざわざ投資する必要があるのか? 金利(上昇)が、投資家に短期的な見通しを重視するよう促しているのだ。
 昨年には、投資家の間で超長期的な投機への熱狂が一気に冷めた。ライドシェアから電気自動車(EV)、生鮮食品の配送、宇宙ツーリズム、ネット経由の犬の散歩サービスに至るまで、創業間もない赤字のグロース銘柄の株価が総崩れとなった。
 今年に入って株価低迷の流れは大型のグロース株にも波及。先週には、 メタ・プラットフォームズ (旧フェイスブック)株価が25%の急落を演じた。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)がその前日、ものになるかも分からない仮想現実(VR)開発への大型投資を進めるとの主張を貫いたためだ。ザッカーバーグ氏すらリターンについては全く見通せないと話している状況で、投資家は長期プロジェクトに資金を出すはずがない。

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