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第180回 二柄

総選挙があったことから、今週前半はちょっと話が逸れてしまいました。
今回から話を戻します。
先週までの短期投資の説明の続きになります。

「理想買い」で急騰する銘柄があります。
多くの投資家は、急騰していることは分かっています。
知らない人でも、場中に「YAHOO!ファイナンス」の上昇上位一覧を確認すれば、誰だって知ることはできます。

ただ、「どこまで騰がるか、いつ反落するか」が分かりません。
ですから、「高値掴みになるかもしれない」という「risk」考えて、多くの投資家は急騰銘柄の売買に参加しないだけです。
そうならないと分かっていたら、みんな参加したいと考えるでしょう。

さて、こう考えている投資家の人たちに聞きたいのですが、「どこまで騰がるか、いつ反落するか」が、ピンポイントが分かるようになる方法があると思いますか!?
短期投資で成功している投資家たちは、ピンポイントで分かっていると思いますか!?
答えは、「NO!!!」です。
全然、分かっていません。

これは曇天の日に、外で傘を持たずに出歩いている人に、「雨がいつから降るのか分かっていますか!?」と聞いているようなものです。
雨が降られるという「risk」があるのに、「hedge」の為の傘も持たずに出歩くなんて信じられないと考える人もいるでしょう。
ところが逆に、「雨が降りそうだけど、まだ降っていないのに出歩かないなんてもったいないし、傘は荷物になる」と考える人もいるんです。
彼らは、出歩かないことが「risk」であり、傘を持つことを「risk」と考えている訳です。
そこで、急騰銘柄に参加しないことを「risk」と考える投資家たちは、どのような形で急反落という「high-risk」「hedge」を行っているのかということになります。

これは、韓非子の「二柄」を参考にすれば良いでしょう。
「二柄」とは、2本の杖のことです。
君主は、「徳(賞)」「刑(罰)」という2本の杖を使って、配下を管理するという意味です。

明主之所導制其臣者、二柄而已矣
二柄者、刑、德也
何謂刑德
曰殺戮之謂刑、慶賞之謂德
為人臣者畏誅罰而利慶賞、故人主自用其刑德、則群臣畏其威而歸其利矣

名君が臣下を統制するのに用いるのは、たった二柄のみです。
二柄とは「刑徳」のことです。
そこで「刑徳」と何かということになります。
つまり、「罰」を「刑」と言い、「賞」を「徳」と言う。
臣下は、罰を受けるのを畏れて、賞を受けるのを喜ぶ。

これを投資家で考えれば、「買い」と「売り」です。
投資家は、「買い」と「売り」という2本の杖を使って、銘柄を管理するということになります。
当然、騰がるだろうと考えたから「買い」に動いた訳です。
そして、充分騰がったから「売り」に動く訳ですが、自分の予想に反した時も同じように「売り」に動く訳です。
この「売り」を判断するために必要なことは、どこまで騰がるかを予想することです。

- どこまで騰がるか分からないのに、どうやって予想するんだ!! -

そう考える人は多いと思います。
が、ここで問題になるのは、どこまで騰がるかを、どこまで詳細に予想するかです。
1円単位まで予想するのでしょうか!?
それとも、大体の金額まで予想するのでしょうか!?
当然、大体の金額を予想するだけに止まります。

- 大体の金額が分かるだけでは意味が無い!! -

そう思う人もいるでしょう。
が、その考え方は間違っています。
大体の金額が分かるだけで、効果は非常に大きいのです。

そこで、先ほどの例で考えてみましょう。
①     雨がいつ降りだすか分からない
②     雨が1時間後くらいから降り出しそう

雨に濡れたくない人は、「①雨がいつ降りだすか分からない」時は、外に出るときは必ず傘を手にするでしょう。
しかし、「②雨が1時間後くらいから降り出しそう」な時は、ちょっと近所に行くくらいなら、傘を手にしないでしょう。
つまり、ある程度の目算が立つなら、それはそれで効果がある訳です。
ですから、「どこまで騰がるか分からない。」と「大体ここまで騰がりそうだ。」は、天地ほどの差がある訳です。

そこで短期投資を行うなら、この目算が立てられるようにならなければなりません。
当然目算ですから、当たりがあれば、外れもあります。
実際、その前提で良いのです。
外れる「risk」があるからこそ、「hedge」をするのです。

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