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第158回 株式の適正価格
先日、知り合いの初心者投資家から言われました。
- noteの文章、難しすぎます・・・・ -
私的には、かなり易しく書いていたつもりなんですが、初心者にとっては難しいそうです。
- もっと基本的な部分から説明してほしいです -
とも言われてしまいました。
私の投資歴は、今や四半世紀に迫るほどですから、やっぱり一般人の知識とは大きくかけ離れてしまっているようです。
これも、悪い意味での知識の複利効果です。
知識が厚くなり過ぎると、初心者のレベルが分からなくなるからです。
これを投資に例えたら、複利効果で株価が10倍になった時、元々の1/10の時の株価の動きは誤差でしかないのと同じです。
そこで今回から基礎中の基礎を書きたいと思います。
まず株式投資を始める前に知っておくべきこととして、株式の適正価値です。
日々、株式市場で株式はその時々の適正価格で取引されています。
その適正価格の根本となる適正価値とは、どのように決定されているかを理解しておいてもらいたいと思います。
まずは株価が決定される大前提として、平等の原則、つまり等価交換の原則です。
100円で売られているものは、100円の価値があると認めた人が買うということです。
いくら1,000円で売っていたものが、バーゲンセールで100円まで値下げされて売られていても、そのもの自体に100円の価値を見出さなければ買いません。
そこで株式の価値の土台ですが、それは「1株あたり純資産額」となります。
株価を等価交換の結果と考えた場合、株価=株式の価値になるからです。
この「1株あたり純資産額」は、「自己資本(純資産)」を「発行済み株式数」で割ったものです。
因みに、「1株あたり純資産額」は、BPSとも呼ばれます。
まずは、具体的な例を用いて説明します。
例は、先日から折に触れている3321ミタチ産業の2024年5月期の決算短信を使います。
最初に、「自己資本(純資産)」を求めるには、「貸借対照表」を確認しなければなりません。
「貸借対照表」はバランスシートとも呼ばれるもので、表中の左右の合計が必ず同額になるからです。
- 左右の表が同額なんて、そんなこと簡単に出来るの!? -
そう言われそうですが、簡単にできるんです。
貸借対照表の左側には「資産」を表記します。
3321ミタチ産業の決算短信では、5ページの表になります。
「資産」は、今現在、その企業が保有する財産的価値を有する物件及び債券の総額です。
そして右側には「資本」を表記します。
3321ミタチ産業の決算短信では、6ページの表になります。
以前にも説明しましたが、「資本」は「資産」の真の所有者を表記しています。
ですから、「負債の部(他人資本)」と「純資産の部(自己資本)」に分かれていて、今期の負債純資産合計額が20,129,170千円と書かれています。
同様に5ページの表の最下段の合計額も20,129,170千円と同じになっているのが確認できると思います。
そして6ページに戻って、表を見て下さい。
下に単純化したものを表記します。
負債合計 5,641,666
純資産合計 14,487,504
負債純資産合計 20,129,170
つまり、3321ミタチ産業にとって、財産たる資産は20,129,170千円あるが、同様に負債も5,641,666千円あるため、本当の企業としての持ち分は不細分を差し引いた14,487,504千円だけ、と言うことになります。
この純資産である14,487,504千円がその企業である3321ミタチ産業の純然たる財産額と言える訳です。
そしてこの財産は、全て株主のものです。
なぜなら、そもそも3321ミタチ産業の創業者である橘至朗氏は、株式を発行することにより、自分が持つ会社の所有権を細分化して売却したことになっているからです。
この制度が株式会社と言うものです。
ですから、3321ミタチ産業の発行済み株式数は7,965,401株ですから、1株当たりの所有権は1/7,965,401になります。
ですから、1株の株主が持つ3321ミタチ産業の財産は、純資産である14,487,504千円を発行済み株式数である7,965,401株で除した金額になります。
14,487,504,000円 ÷ 7,965,401株 = 1,818円80銭/株
と言うことで、3321ミタチ産業の「1株あたり純資産額」は、1,818円80銭ということになります。
そして、この金額が現在の株価に対して割安かどうかの判断基準として、株価純資産倍率(PBR)があります。
PBRは、株価/1株あたり純資産額で求められます。
10月1日(火)の終値時点の3321ミタチ産業の株価は、1,211円です。
ですから計算すれば、下記のとおりになります。
1,211円 / 1,818円80銭 = 0.665
つまり、株価純資産倍率(PBR)は0.665倍であり、1倍以下は割安と判断されるので、3321ミタチ産業の株価は割安だと判断できるという訳です。