第41回 絶対的価値(服の制作)
今日から新しいステージに入ります。
ここからは、企業の根本的な存在意義について説明しますので、注意深く学習してください。
「人が欲しがるものには、絶対的な順位がある。」
こう言われても、直ぐに納得できる人はいないでしょう。
「何を言ってるんだ、コイツは!!」と思う人が大半だと思います。
ここで、新たな例え話をしてみましょう。
まだ、人類が稲作という作業を覚えた頃の話です。
日本で言えば、縄文時代後期頃でしょうか・・・・・。
仲間10人で沼地を開墾して、田んぼを作りました。
その田んぼで10人力を合わせて稲作をすれば、10人分の食料、つまり米600kgが確保できるようになりました。
これにより10人は、食糧不足からくる餓死という恐怖から、解放されることになりました。
この10人の集団を、『例えの村』と名付けます。
10人は稲作に慣れてくると、農作業に費やさなければならない時間が減り、余裕が生まれてきました。
その余裕で、10人はそれぞれ自由な作業に時間を費やすことに決めました。
これが、余暇の誕生です。
ある人は狩りに、ある人は漁に、ある人は昼寝に、という具合に自由に時間を使いました。
するとある日のこと、村の仲間の1人が新しい服を作りました。
その服は素晴らしいものだったので、他の9人の仲間たちも欲しくなり、自分の分も作って欲しいと頼みました。
しかしその服は、かなり手の込んだものだったので、そう簡単に作れるような代物ではありませんでした。
いくら服作りに慣れたとしても、自由な時間だけで9人分を作るとなると、いつ作り終えられるか分かりません。
10人の仲間たちは、みんなで悩みました。
そんな時、1人が妙案を思いつきました。
それは、9人の自由時間を削って農作業に従事し、服を作った仲間には同じ時間、服作りに専念してもらうことでした。
つまり、9人で10人分の農作業に従事することにし、1人には服作りに従事してもらうことにしたということです。
こうして10人の仲間たちは、素晴らしい服を手に入れることが出来たのでした。
そんなある日、隣の村人がやってきました。
隣の村人は、10人が来ている服の素晴らしさに気付いて、自分の分も作って貰えないかと頼んできました。
10人は相談した結果、隣の村人のために、物々交換で服を作ってあげることにしました。
さて、ここで問題発生です。
それは、交換レートをどの位に設定するかです。
先ほどの話では、1人の農作業で年間米60kgが生産できます。
服は、1人が製作にかかりっきりで年間6着作れるとします。
つまり、作業量としては、服1着と米10 kgが同じになるという計算です。
この条件の時に、服1着を、米何kgと交換するかが問題になる訳です。
考えられるのは3パターンです。
等価交換の10kg!?
等価交換より低い5kg!?
等価交換より高い15kg!?
常識的に考えれば、15kgとの交換しかあり得ません。
その理由は、皆さんは直ぐに思いつくでしょうか・・・・・。
普通に農作業していても、米10kgは作れるのです。
しかし、服の場合は、交換というタスクが一つ挟まります。
タスクが増えると、当然ながら『risk』が発生します。
その『risk』とは、作っても交換してもらえないという可能性です。
服は1人1着で十分であることから、交換してもらえないとムダになるだけです。
もし、作った後に、何らかの事情で隣の村人が交換を拒否するようなことになれば、服1着分の労働がムダになってしまいます。
そこで原理原則を思い出してください。
『return』の無い『risk』は、単なる『danger』です。
つまり、その『risk』に相当する『return』が無ければ、服を作る理由がありません。
だから、その『return』が、米5kg分となる訳です。
隣の村人は、10人からの申出を快諾しました。
そして、約束通り2か月後に、15kgの米を持って再び村にやって来ました。
約束通り10人は隣の村人と、服1着と米15kgを交換し、双方共にwin-winの関係になりました。
仕事でも、業務を効率化するということは、タスクを減らすことになります。
テレビでやっていましたが、3197すかいらーくは、ラーメン、パスタ、うどん等の麺類の茹で時間は、全て同じにしています。
これは麺の種類によって茹で時間が異なる(=タスクが増える)と、誤った茹で時間で商品を提供してしまう『risk』があるからです。
また、また、マニュアルも複雑になるため、同じにすると作業効率が格段に上がります。
同様に、ロイヤルホストの8179ロイヤルHDに買収された企業として、2727テンコーポレーションが展開していた「天丼てんや」があります。
てんぷらは食材によって揚げ時間が異なる(=タスクが増える)ことから料理人でも難しいと言われているのですが、それをベルトコンベア方式で揚げる手法を取り入れました。
ベルトコンベアで食材を送ると、揚げ時間が同じになるからです。
つまり、どの食材も、カット方法を工夫することによって、揚げ時間を同じにしたわけです。
この結果、誰でも簡単に揚げることが出来、経験の長さに関わらず同じ商品が提供できるようになったのです。
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