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第104回 かぶ1000さん

私の投資仲間の中に、かぶ1000さんがいます。
この方も、良く雑誌等で紹介されている投資家なので、ご存じの方も多いと思います。
かぶ1000さんは、学校を卒業して以降、一度も働いたことは無いという超ツワモノです。
「働いたことが無い=引きこもり」と世間一般的な価値観で考えたら、まさしく引きこもりです。

因みに、ひきこもりは、家から出られない人たちではありません。
厚生労働省の定義では、「社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念」です。
まぁ、かぶ1000さんは、就労は回避していても、交友にはめちゃくちゃ積極的な方なので、引きこもりでは無いんですけどね。

ただ、株式投資の研究に没頭し、無職と言うことであれば、これまでの日本社会では「白眼視」の対象でした。
成人は働くのが当たり前と洗脳されてきていた訳ですから、その中で働かないという選択できただけでも、凄い方だと思います。
私は、大学時代に競馬で生活できないと悟ってから、就職に逃げましたからね。

さて、このかぶ1000さんの投資法は、徹底的に株価の下落を嫌います。
企業価値を見極め、その価値が割安であるものを選んで投資をします。
だから、バリュー投資家と呼ばれる訳です。

ただ、株価の下落を本気で嫌がっている訳ではありません。
実際のことを言えば、株価の下落を望んでいるという方が正しいでしょう。
では、なぜ、徹底的に株価の下落を嫌うと最初に書いたのかと言えば、その心構えで投資先を選択していると言う意味です。

かぶ1000さんは、徹底的に割安な銘柄を探します。
本人的には、これ以上値下がり余地が無いと言えるほどの銘柄を探したいと考えているでしょう。
それで、買った銘柄が、更に下がった。
これ以上下がりようが無いと考えて買った銘柄が下がったのですから、割安が更に割安になったということです。
こんなラッキーな状況なのに、怖がって難平買いしないなんて選択肢は無いでしょう、と言うことです。

普通なら、割安銘柄が更に売られて割安さが増すと、多少なりとも不安になってしまいます。
何か悪材料が隠れているのではないかと、つい疑心暗鬼になってしまいます。
が、この疑心暗鬼になることが、研究不足の証左と言える訳です。
下げれば下げるほど喜べるような銘柄を選ぶべきだというのが、かぶ1000さんの考えです。

また、この投資法は、企業価値を投資対象に見ています。
そこで企業価値の考えですが、基本的に昨日より今日、今日より明日の方が、企業価値は増加します。
なぜなら、投資対象は当然ながら黒字企業です。
黒字企業なら、日々、少額ながらも利益を積み上げている訳ですから、1日1日企業価値は増加していると言える訳です。
だから、日数が過ぎれば過ぎるほど、企業価値は増加します。
出来るだけ少ない段階で投資した方がその後の旨味も大きいですが、株価が割安であれば、少しでも早く買った方が良いということになります。
ですから、余りタイミングを考える必要が無いという点でも、やり易い投資法です。

また、かぶ1000さんの凄みは、大勝ちしたことが無いのに、億っているところです。
前回のかんちさんも、実は大勝ち、つまり資産を急拡大させた銘柄があります。
多くの成功者には、そういうラッキーを基礎に、今の億り人という立場を得ているのが殆どです。
ところがかぶ1000さんには、そういう大勝銘柄がありません。
本人は、そのことを自虐的に言うことがあるのですが、逆に、そこに凄みがあります。

なぜなら、ラッキーを基礎として成功するなら、誰もが手に入れることが出来るとは言えません。
誰もが平等に手に入らないから、ラッキーだと言えるのです。
そうなれば、誰もが億り人になれると言えばウソになります。
だから、かぶ1000さんの存在は大きく、凄みがあるのです。
誰もが同じようにやり続ければ、億れると彼の存在が物語ってくれるからです。

かぶ1000さんの投資法は、華やかさは一切ありません。
だから、彼の投資を研究するほどでは無いと侮る人もいるでしょう。
しかし、「孫子第4篇 軍形」に「善く戦う者の勝つや、智名無く、勇功無し。」とあります。
不敗の名将は、必ず勝てる状況を選んで戦うので、知略に飛んだ戦いや勇壮な戦いなどの逸話が無く、一般人が聞いて面白いと感じる戦果は一切ないという意味です。
かぶ1000さんの投資もこれと同じで、儲けられる時に無理せず儲けているので、その話を聞いて面白みが無いでしょう。
ところが、実際に億っているところで、その実績に間違いはありません。

そこで、負け癖が付いて投資に臆病になっているなら、かぶ1000さんの投資を真似るのも良いでしょう。
なんせ、徹底的に銘柄を研究し、これ以上値下がりしそうもないタイミングで買うんです。
更に下がれば、喜んで買うんです。
これが実践できれば大損はしない訳で、徐々にでも自信を回復させることが出来ると思います。

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