第206回 百戦百勝、非善之善者也
前回、上場企業は5,000社あると書きました。
そして、投資家自身の能力に応じて投資先を決めるとも書きました。
そこで、初心者が投資するべき銘柄について、今回は説明しようと思います。
前回と同じ「孫子」の「謀攻篇」の第1段には、次のように書かれています。
全國為上、破國次之
全軍為上、破軍次之
全旅為上、破旅次之
全卒為上、破卒次之
全伍為上、破伍次之
是故百戦百勝、非善之善者也
不戦而屈人之兵、善之善者也
国を全するを上となし、国を破るはこれに次ぐ。
軍を全うするを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。
旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次ぐ。
卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。
伍を全うするを上となし、伍を破るはこれに次ぐ。
この故に百戦百勝は善の善なるものにあらず。
戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。
戦うこと自体に「risk」があるので、敵国と戦って勝つより、戦わずに屈服させる方が良いのです。
敵軍と戦って勝つより、戦わずに屈服させる方が良い。
敵兵と戦って勝つより、戦わずに屈服させる方が良い。
どんな規模の相手でも、戦わずに屈服させる方が良いのです。
だから、戦えば必ず勝つと言っても、そこには敗れる「risk」が多少なりとも存在するので、最善の策とは言えない。
戦わずに屈服させることが、最善の策と言えるのです。
値下がり「risk」が少ない銘柄としては、以前紹介したネットネット株があります。
その企業が保有する資産に対して株価が安いことで、バリュー投資家が好む銘柄です。
しかしながら、ネットネット株は、初心者向けではありません。
と言うのも、ネットネット株になるには、多くの投資家が興味を持たない銘柄だからです。
興味を持たないから買われず、安値で放置される結果になっているのです。
初心者が、値下がり「risk」が少ないという理由だけでネットネット株を保有しても、別の「risk」が生まれます。
- 持っていても面白くない・・・・ -
つまり、興味を失う「risk」です。
興味を失うと、その反動で動く銘柄、つまり初心者にとっては「high-risk」になるであろう銘柄に乗り換えるという「risk」が高まってしまいます。
ですから初心者には、ネットネット株を勧めません。
そこで勧めるのが、日経225採用銘柄への投資です。
日経225採用銘柄とは、日経平均を構成している銘柄のことで、日本を代表する企業群になります。
ただ、日経225採用銘柄であれば、何処でも良いという訳ではありません。
自分にとって興味が持てる銘柄にしましょう。
そこで、「日経225銘柄一覧表」から、どれか1銘柄を探します。
ここでよく言われるのが、「株主優待のある銘柄はどれですか!?」という一言です。
株主優待は、株主数を増やしたい企業が設定するものですから、元々株主数が多い日経225採用銘柄では、設定している銘柄は多くありません。
また、設定していたとしても、好優待と言われるほどの優待利回りが無いものも多いです。
まぁ、それでもと言われれば、今の私が勧めるのは8267イオンでしょうか!?
昨年までなら8591オリックスを勧めていましたが、残念ながら株主優待を昨年度末で廃止してしまいました。
8267イオンは、100株株主に対しても3%のキャッシュバックがあります。
8267イオンの系列店舗で購入した代金の3%が現金で支払われるため、よくイオンやマックスバリュ、ビックなどで買い物する人にとっては、高額な配当金を貰うのと同じような感じになります。
更に言えば、イオンラウンジを利用して、無料のジュースやお菓子が貰えるのも、初心者にとっては嬉しいことでしょう。
さて、8267イオンへの投資を決めたとします。
ここでまず、覚悟すべきことは、8267イオンの値動きの幅です。
過去まで見ると大きな値動きをしていますが、新型コロナ後からの値動きを考えれば、2,350円から4,100円です。
今の株価が3,550円なので、過去の値動きから見れば、ちょっと高めですね。
- もっと昔は500円もあるじゃないか!? -
そういう意見があると思います。
しかし、20年ほど前の軽自動車の価格は100万円前後でした。
現在は200万円となっていて、過去の物価をいつまでも引き摺っていては何もできなくなります。
ですから、合理的な下値を「risk」と考えなければならないのです。
つまり、3,550円で買っても、2,350円まで下げる「risk」があります。
100株単位なので、355千円が235千円にまで評価額が減る「risk」があります。
しかし、配当金や株主優待として買い物額の3%のキャッシュバック、イオンラウンジの利用などが「return」としてあります。
更に、評価額下落「risk」と同様、評価額上昇「return」があります。
このことに納得出来たら、買って良いでしょう。
しかし納得できなかったら、買うべきではありません。