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第209回 地震と水害

今の輪島の事実の報告です。
まず、被災地で実感したのは、被害は避けられるということです。
自然現象に対する「risk management」の結果が今の輪島だということです。
地震や洪水という自然現象が発生しても、それが被害に直結するかどうかは、人間の方の対処、つまり「hedge」次第だということを理解しました。

まず地震の被害ですが、能登の輪島市では震度7を記録しています。
多くの家屋が倒壊し、多くの方が亡くなったと言う報道がありますが、実際のところどうでしょうか!?
そこで先ずは、「Google マップ」で輪島市役所を検索してください。
そして、「Google ストリートビュー」を見てみましょう。
更に、画面の右下に書かれている撮影日を見て下さい。
「2024年9月」になっていると思います。
つまり、「令和6年能登半島地震」後の写真と言うことです。

そこで、「Google ストリートビュー」で、輪島市内を探索してみてください。
色々な場所の写真を見て頂いたら分かると思いますが、普通に建っている家の間に、崩れた家がところどころにあると思います。
崩れた家を見つけたら、画面の左上にある「他の日付を見る」を押してください。
すると、画面の下に、過去の写真が横一列になって表示されます。
これで、崩れた家の崩れる前が確認できるのです。

見て貰ったら分かると思いますが、火災で広範囲に消失した「輪島朝市」があった地域以外は、殆ど倒壊していないことが分かって頂けると思います。
つまり最近の家は、多くの人々が心配しているように、地震によって倒壊する「risk」は低いんです。
阪神淡路大震災以降、建物の地震耐性は強くなっています。
ですから倒壊するのは、古い木造家屋中心であり、最近のプレハブ住宅はまず倒壊しません。
そして、家具を倒壊しないように作り付けにしたりしていれば、殆ど被害を受けないという状況にすることは可能なんです。

ただ、道路、電気、ガス、水道などの公的サービスに関しては、個人で「hedge」するには限界があります。
しかしながら、電気は約1週間で復旧します。
ガスは、都市ガスではなく、プロパンガスにしていれば、作動した安全装置を解除することにより使用することが出来ます。(その前に自宅のガス設備の点検が必要です。)
水道は一番被害を受けるものですが、こちらも給水車が回ってきます。
公的サービスが滞ると生活が不便になりますが、時間を追って復旧するので、自宅が無事なら大きな問題にはなりません。

次に洪水ですが、こちらは地震と違って、被害を受ける地域は限られています。
ハザードマップで、水害の被害を受ける地域を外して住めば、何ら被害を受けることはありません。
ただ、交通に便利な地域は、被害を受けやすい「risk」の高い地域になることが多いです。
これは、道路や鉄道を通すには、平坦な地域の方が開通させやすいからです。
昔の道も、川沿いにあることが多いのはこの為です。
現代人は、交通の便の良い場所を居住条件の第一に選ぶことが多いですから、必然的に水害の「risk」が高い地域に住むことを選択してしまっているということになります。

ところで皆さんは、金持ちが住むのは、丘の上というイメージがありませんか!?
金持ちであれば、駅近にこだわる必要は無く、安全な地域に住むことの方にこだわるでしょう。
災害だけでなく、犯罪や病気などの観点からも、当然ながらこだわると思います。
丘の上は、見晴らしがよく、風も通る上、水害に遭うこともありません。
また、地震による被害も、大きくならないことが想定できます。

ただ、いつ起こるか分からない災害の為に、駅近物件を諦めるのは、違った「risk」を生み出してしまいます。
駅徒歩5分と駅徒歩20分では、1日当たり往復で30分違ってきます。
1週間で3時間半、1ヶ月で15時間、1年で182時間も違ってきます。
182時間と言えば、1週間以上の日数になります。
ただ歩いていることを無駄と考え、これを「risk」と考えるならば、駅近物件の方が良いでしょう。
つまり、何をより大きな「risk」と考えるかは人それぞれによって異なり、しっかりと「hedge」としていれば良いのです。

そして、輪島でも言えることは、「hedge」するには相当の資金が必要だということです。
生まれ育った家だからと古い家屋に住み続けていても、資金があれば耐震性を高めることはできます。
しかし多くの国民は、分かっていても高めることはできません。
それは、多くの資金が必要になるからです。
ですから、日本人はもっと富まなければならないのです。
今のように、分配ばかりに気を取られるのではなく、成長に視点を移さなければなりません。
経済が成長し、国民所得が増えれば、災害対策もやり易くなるからです。

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