第67回 6085アーキテクツSJ
私が抽出した銘柄の中で、前期から今期、今期から来期に向けて、最も売上高の伸びが大きい銘柄は、6085アーキテクツSJです。
その変遷は、6億円弱→15億円→30億円という具合です。
売上高 営業利益 経常利益 純利益 1株益(円) 1株配(円)
単20.3 890 -445 -452 -524 -322.9 0
単21.3 675 -260 -248 -272 -164.4 0
連22.3 737 -260 -318 -348 -166.5 0
連23.3 553 -349 -352 -427 -174.5 0
連24.3 592 -216 -236 -361 -147.1 0
連25.3予 1,550 80 75 50 16.7 0
連26.3予 3,000 390 380 250 83.3 0
6085アーキテクツSJは、私的には何をしている会社か分かりません。
ホームページとかを調べたのですが、イマイチ分かりませんでした。
建設系コンサルタント!?と思うのですが、それが正しいのかどうかの確認ができませんでした。
多分、建設業界の方なら分かるのでしょうが、全く接点がないので難しいです。
さて、この6085アーキテクツSJですが、2024年度、つまり前期までの売上げは低迷していて、利益の方は真っ赤かです。
それが、2025年度、つまり今年度から大幅改善するという予想を出しています。
- 本当か!? -
そう疑いたくなるような数字です。
- いや、実は長年にわたって新たな事業への投資をして、それがやっと結実するんだ!! -
こういうことがあり得ない訳ではありません。
新規サービスや新商品の開発に資金を集中させ、新たな分野に進出して成功することが無い訳ではありません。
それを確認するには、やはりキャッシュフロー計算書でしょう。
営業益 フリーCF 営業CF 投資CF 財務CF 現金等 現金比率
連22.3 -260 -229 -211 -18 492 697 56.12
連23.3 -349 -370 -319 -51 -13 313 43.47
連24.3 -216 -294 -204 -90 245 263 48.35
通常、営業CFはプラス、投資CFはマイナスが成長している企業です。
財務CFは資金調達すればプラスになりますが、返済すればマイナスになります。
6085アーキテクツSJの場合、営業益がマイナスで続いており、全く利益が出ていないことが分かります。
それなのに財務CFがプラスになったりしているので、増資や借り入れによって企業を維持していることも分かります。
また、企業として、投資に予算を割いているのは分かりますが、利益を投資が食いつぶしているのではなく、本質的に利益が出ていない状況であり、大きく業態転換を図ろうとしているとは考えにくいです。
そもそもこの会社は、赤字続きで、財務体質が非常に悪化しているのは、単に損益計算書を見ただけでも推定できます。
それを2024年の3月に増資を実施して、何とか取り繕っている状況です。
1株純資産 自己資本比率 総資産 自己資本 剰余金 有利子負債倍率
連22.3 239.4 47.2 1,242 586 -1,142 0.48
連23.3 64.9 22.1 720 159 -1,569 2.13
連24.3 20.5 11.3 544 61 -1,931 4.05
1株純資産は、ここ3年で急激に悪化しています。
これと共に、自己資本比率は11.3%まで落ち込み、継続企業の前提に関する重要事象の注意書きが加えられています。
この注意書きが加えられたら、機関投資家はまず手を出しません。
こうなると、売上げを大きく変化させる要素としては・・・・・、令和6年5月16日(木)に発表した「シンガポールの設計事務所と業務提携」でしょうか!?
6085アーキテクツSJ自身もシンガポールに事務所を開設し、日本の建築家に海外市場での機会を提供していけるようにしたいと考えているようです。
これが売上高を上昇させる材料だとなると、実績はまだ無いということですね。
いわゆる「絵に描いた餅」というヤツです。
この餅が本物になるのか、絵に描かれたままで終わるのか、その判断が出来るのはまだまだ先だと言うことです。
こうなると、6085アーキテクツSJの事業を知っていて、その将来性を正確に理解できるほど業界に詳しい人で無いと、売買にはなかなか参加できないと思います。
6085アーキテクツSJの事業が、今後よくなるのか、悪くなるのかは、全く掴めません。
となると、高成長予想を出されたところで、信じて買うことは出来ないと思います。
まぁ、元々何か良い条件の最上位銘柄というのは、私は仕込もうとは思いません。
なぜなら、そんな良い銘柄が、そんな良い条件で放置されることはあり得ないと考えているからです。
私よりも優秀な投資家が多い中で、彼らが買わない理由は明確にあり、それに私が気づいていないだけだと考えるからです。