第108回 5858STG
続いて、5858STGです。
5858STGは、マグネシウム、アルミニウムを使用する部品メーカーです。
電気自動車は、充電池が重いことから、軽量化が必須となっています。
このため、マグネシウム、アルミニウムなどの軽金属の引き合いが多いということです。
まずは、業績です。
売上高 営業利益 経常利益 純利益 1株益(円) 1株配(円)
連22.3 3,501 87 156 88 106.5 15
連23.3 4,684 196 285 191 231.5 25
連24.3 5,242 298 300 198 238.1 25
連25.3予 6,040 380 330 230 224.8 30
連26.3予 6,650 460 410 290 283.4 30〜35
売上げも、営業利益も右肩上がりですね。
ただ、配当性向は10%程度と低いです。
そこでまず、5858STGが発表している事業計画及び成長可能性に関する事項(https://ssl4.eir-parts.net/doc/5858/tdnet/2453471/00.pdf)を確認してみました。
そこには、市場環境が年率6%で成長すると書かれています。
その原因は、自動車の軽量化です。
特にカーボンニュートラルに端を発する電気自動車の普及に伴う軽量化の要請が大きいと言うことです。
自動車は重ければ重いほど、道路のアスファルトを摩耗させます。
ですから、エンジン車と比べると、電気自動車はバッテリー分を軽量化する必要がある訳です。
更に書かれているのは、競争相手が少ないということです。
つまり、市場を独占か、寡占状態にあるということです。
その理由は、以前も触れたマグネシウムです。
2018(平成30)年9月に上陸した台風21号は、関西国際空港連絡橋にタンカーが衝突して、連絡橋が中破したことで有名です。
が、この時、神戸市の六甲アイランドでもコンテナが炎上しています。
それは、コンテナの中身がマグネシウムだったことから、高潮と反応して爆発、炎上したという訳です。
つまり、マグネシウムは、金属でありながらも発火性が強く扱いづらい訳です。
この為、大手の金属メーカーは、発火「risk」を考えて、マグネシウム市場への参入を見送っていたり、撤退したりしているのです。
ですから、マグネシウムが成長市場と位置付けられても、簡単に新規参入してくる企業が増えることは、あまり考えられない訳です。
投資先を選択する上で、唯一とか、独占、寡占というキーワードは非常に大事です。
やはり、競合他社が少ないほど、安定的な成長性と利益率を期待できるからです。
そういう意味で、5858STGは魅力的な存在です。
続いて、資産状況です。
1株純資産 自己資本比率 総資産 自己資本 剰余金 有利子負債倍率
2022.03* 1,103.91 22.1 4,140 913 - -
2023.03* 1,493.00 24.3 5,078 1,235 792 2.21
2024.03 1,745.95 29.0 5,891 1,706 970 1.68
自己資本比率が低めですが、徐々に改善させています。
1株純資産が少ないのは、成長企業ということで問題ないでしょう。
有利子負債倍率が減少傾向なのは、良いことです。
更にキャッシュフローです。
営業益 フリーCF 営業CF 投資CF 財務CF 現金等残高 現金比率
2022.03* 87 -363 -8 -355 -217 492 11.88
2023.03* 196 286 519 -233 85 900 17.72
2024.03 298 -139 242 -381 207 996 16.91
投資CFが大きく更なる成長に期待できそうです。
また、手元資金も増加傾向にあり、次なる投資にも動けそうです。
総合的に、電気自動車の需要が一時ほど盛り上がらなくなったことが若干の悪材料ですが、SDGsを考えれば、車体の軽量化はエンジン車でも必要なものです。
今後も、金属製品の軽量化需要は大きくなると予想できますから、下げ切ったところを狙うのは悪く無いと思います。