見出し画像

第157回 石破ショックがなぜ起きたのか・・・・

前回、政治家の存在意義について書きました。
政治家は、人々の生活を安定、発展させることが、使命だとも書きました。
今回、石破茂議員が自民党総裁に選任され、ほぼ間違いなく日本国の首相になることが予想されます。
このことが決定したのは、日本市場が閉じた後であったため、日本の株式は先物で大暴落した訳です。
では、なぜ、先物は石破首相誕生で大暴落したのか・・・・、というところが問題になります。

これは端的に言えば、石破茂議員が公表している政策では、今の日本人の生活を安定、発展させることが出来ないと、多くの市場参加者が予想しているからです。
今の日本国民が抱えている課題を紐解いて解決するのが政治家の務めともいえるのですが、それを石破氏が出来ると考えられていないからです。

まず石破氏がホームページで公表している「石破ピジョン」というものがあります。
「地方こそが新しい時代を創り、歴史を変える。」と書かれており、各種対策が書かれています。
その中身は、理想に満ち溢れていて、実現できれば確かに日本は変わることになるでしょう。
しかしながら、これらの政策は、まだ抽象的で、目標みたいなのです。
具体性が足りないことから、今回の考察には含めないことにします。

そこで、石破氏が自民党総裁選で掲げていた政策の中で嫌われているのは、税の応能負担の原則を掲げ、株式の売却益など金融所得への課税強化や法人税と所得税の引き上げ余地があるとしたところです。
これらのことは、岸田首相が首相に就任した時に発言し、「岸田ショック」の原因になったものです。
- そんなことは当然だろう!! -
そう素人の人たちは思うでしょう。
ところがそう直線的に簡単に動かないのが株式市場なのです。

例えば、企業が株式市場から資金調達を実施します。
俗に増資と呼ばれるものですが、増資をすればほぼ100%の確率で株価は大きく下落します。
なぜなら増資とは、新しく株式が発行されることであるため、1株当たりの利益が減少してしまいます。
だから、売られてしまうという訳です。

ところが、日本の高度経済成長期では、増資をすれば買われていました。
当然、今と同じように1株当たりの利益が減少してしまいます。
それでも買われたのは、調達した資金により、新しい事業を立ち上げ、結果的に1株当たりの利益が増加する結果が想定されたからです。
このように、日本が置かれている環境が違えば、同じ事象でも、全く違う動きになる訳です。

そこで今回の「株式の売却益など金融所得への課税強化や法人税と所得税の引き上げ」という政策は、株式市場にとってはマイナスになると多くの投資家が判断したということです。
株式市場は経済の縮図と言われている通り、株式市場にとってマイナスになるということは、経済にとってマイナスになるということです。
つまり、今の日本社会に、「株式の売却益など金融所得への課税強化や法人税と所得税の引き上げ」る余裕はないということです。

昨年、日本はGNP3位から4位に転落しました。
日本経済は、この30年間成長していません。
その結果、先進国の中での給与所得は最低となっています。
給与所得も伸びず、最近の円安に伴う物価高で、多くの国民が生活に不安を感じるようになっているのです。
そのような状況で、更に分配の公平性を追求する増税が、日本国の「risk management」として最良だと判断されていないという訳です。

そりでは、何を求められているのかということですが、それは分配ではなく、成長ということです。
公平性の追求よりも、経済の成長を目指さなければならないと考えられている訳です。
これは、分配する原資が枯渇していることを多くの人が理解していることに他なりません。

分配は大事です。
しかし、分配する為の原資が無ければ、分配したくても出来ません。
無理に分配しようとすれば、国民全てが不足している状況に陥ることとなり、政治不信が増大し、富める国民は、日本国を捨てることになります。

ですら、今の政治家に国民が求めることは、日本経済の成長です。
安定して分配できるだけの原資を得られるだけの成長が日本にとって必要なのです。
それを目指す政策が提示されない限り、石破ショックは繰り返されることになるでしょう。
ただ、昨日は戻しているので、さすがにそんなバカなことはしないだろうと、市場も考え始めているんでしょう。

いいなと思ったら応援しよう!