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第102回 扉2つの部屋
気持ちが前向きにならない。
誰にも会いたくない。
このままでは家族に迷惑をかける。
こんな自分が許せない。
もう投資なんか、嫌だ!!
大損をしたとき、こうネガティヴに思うことがあると思います。
それでも、ここまで読んでくれた人たちは、まだ株式投資の世界に踏みとどまっています。
それは、素晴らしいことなのです。
株式投資の世界に居続けられているだけで、まだまだチャンスがあるからです。
引きこもりの子どもは、心も引きこもっています。
その引きこもっている場所は、これまた心の中の部屋です。
その部屋には、左右に1つずつの扉があります。
1つは現世への扉であり、もう1つは常世、つまりあの世への扉と言うことです。
現世への扉を開ければ、社会復帰、つまり生きる将来を選択したと言うことです。
常世への扉を開ければ、自殺、つまり人生を終える選択をしたと言うことです。
自分としては、現世への扉を開けたいと思っているからこそ、引きこもっているということでした。
現世への扉を開けたいけど、その後どうなるか分からないという不安で怖い。
なかなかその勇気が出てこないから、扉を開けられずに部屋に引きこもって悩んでいるということです。
だから、そんな時に、現世の扉を無理やり開けて親が入ってきたら、自分は驚いて迷わず常世の扉を開けて逃げていたとその子は言っていました。
自分がそうならずに社会復帰できたのは、親が強引に部屋に入って来なかったからであり、待ち続けてくれたからであり、だからこそ親には感謝しているということです。
正直、同列に論じて良いのか分かりませんが、株式投資の世界に踏みとどまっていることだけでも、非常に勇気がある行いだということです。
株式投資の世界から去るのは簡単です。
そして去った後は、○○に騙された!!
○○○万円損させられた!!
株式投資なんてギャンブルだ!!
なんて感じで、いくら悪態をついても自由です。
ただ、確実に言えるのは、株式市場で失ったものは、株式市場でしか取り返せないということです。
途中で諦めてしまえば、その先はありません。
続けていれば、その先の道も開けてくるのです。
最後に親御さんは、子どもにとって引きこもっていた期間も大事だった、と言っておられました。
決して無駄な期間だった訳では無く、子どもである本人にとっても、親である自分にとっても必要な期間だったということでした。
そう言われれば、投資家にとっては、儲からずにもがき見苦しむ期間も、それはそれで大事だと言うことだと思います。
それは、何の失敗も無く大成功したら、それは宝くじを当てて、大金を手にした人と同じようなものでは無いでしょうか!?
宝くじで高額当選した人が、その後の人生で不幸せになるというのは、良くある話です。
それは、経験外の大金を手にして、それにまつわる社会の違いについていけず、間違った判断をしてしまうからです。
例えば、一戸建てを購入して、賃貸から引っ越した場合。
少なくとも、建物の維持管理は全て自分の責任になり、10年乃至15年程度で修理が必要になります。
自然災害によるリスクを意識しなければならなくなります。
固定資産税を支払う義務が生まれてきます。
簡単に引っ越しできなくなります。
その家が大きければ大きいほど、将来の負担は大きくなるだけで、宝くじ当選と言う一過性で得た資金で購入した場合、後々の必要経費を確保するのは並大抵では出来ないと思います。
つまり、儲からずにもがき苦しむのは、ある意味、富裕層に入るために必要な学習期間と考えれば良いと思います。
知識だけでなく、心身ともに鍛えなければ、富裕層入りも一過性で終わってしまいます。
富裕層入りが、逆に不幸の始まりということになるのではないでしょうか!?
実は、そういう投資家の多くを私は見てきました。
ライブドア相場など、デイトレで成功して有頂天になってFIREした投資家は多かったですが、リーマンショック後に連絡が取れなくなった人たちは多いです。
一過性ではなく、儲け続けられる投資家になることが、我々にとって一番大事なことだと思っています。