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第132回 コールとプット

株式投資をしていて不安になるのは、大暴落が起こって、自分が保有する銘柄の評価額が大きく傷つくことです。
含み益が減る程度ならまだ我慢できるのですが、含み損が大きく膨らむようなことになったら、寝られないどころか、起きていても吐き気が止まりません。
そんな時に、心の癒しになるのがオプション取引という訳です。

- 株価が下がって困るなら、信用売りで良いんじゃないか!? -

そう考える人もいるでしょう。
しかし、同じ銘柄を同じ株数だけ信用で売り買いしたら、株価が騰がっても、下がっても、意味がありません。
まぁ、実際にやってみたら直ぐに気づくと思います。

「risk hedge」でオプション取引が良いのは、掛け捨ての保険と考えて組み立てることが出来るからです。
最初に支払う契約金を保険代と考え、トラブル発生の結果、権利を行使して得られた利益を保険金と考えることが出来ます。

そこで実際に、オプション取引をするとなると、慣れ親しんでいる日経平均のオプション取引が良いでしょう。
有名であるため、売り方も多く、比較的自由に売買が出来るからです。

日経平均のオプション取引にも、「コールオプション」と「プットオプション」という2種類があります。
「コールオプション」とは、買う権利のことです。
「プットオプション」とは、売る権利のことです。
ここで、「risk」、「return」を比較して、分かりやすく一覧にしてみましょう。

             Return            risk
➀コールの買い方  日経平均の上昇に連動      掛金のみ
➁コールの売り方     掛金のみ      日経平均の上昇に連動
➂プットの買い方  日経平均の下落に連動      掛金のみ
➃プットの売り方     掛金のみ      日経平均の下落に連動

このように、損失を制限したければ、コール、プット共に、買い方でさえあれば良い訳です。
買い方であれば、損失は掛金のみだからです。

そこで例として、コールオプションを買ってみましょう。
コールオプションは日経平均の上昇に連動して利益が出るのですから、これから日経平均が騰がると言う目算の中で買うものです。

例えば、コールオプションを日経平均株価が38,000円のときに、権利行使価格38,500円、掛金300円のコールオプションを1枚買ったとします。
因みに、掛金のことをプレミアムとも言います。
プレミアムとは、元々は手数料とか権利金という意味です。
そこから転じて、実際の価格と額面との差額の意味でも使われるようになりました。
現値とTOB価格の差をプレミアムと呼ぶのは、こちらの意味です。

さて、話を戻して、この売買の損益分岐点を計算すると、下記のようになります。

損益分岐点 = 38,500円 + 300円 = 38,800円

満期日に日経平均株価が、38,800円を超えていれば利益になり、日経平均株価の上昇に比例し利益が拡大します。
逆に、日経平均株価が38,800円以下に下落した場合は損失となります。
ただ、この場合は、権利を行使して損失を拡大させる必要は無く、掛金であるプレミアムである300円を放棄して、損失を限定すれば良い訳です。

念のために、損失が無限大になるコールオプションの売り方の説明もしておきます。

コールオプションの売りは、日経平均株価が一定の株価以上には上昇しないと予測するときに使います。
例えば、日経平均株価が38,000円の時に、掛金300円で、権利行使価格が38,500円のコールを売り建てたとします。
この売買の損益分岐点を計算すると、下記のようになります。

損益分岐点 = 38,000円 + 300円 = 38,300円

満期日に日経平均株価が、38,300円を下回れば利益になります。
ただ、掛金は300円と決まっているので、日経平均株価がどんなに下がっても利益は300円のままです。
一方、日経平均株価が38,300円を上回った場合、損失は日経平均株価の上昇に連動して無限大に大きくなります。
買い方の利益を担保しなければならないからで、余程の金持ち以外はオプションを売らない方が良いと言えます。

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