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第110回 9101日本郵船

9101日本郵船は、安値から10倍以上に成長したテンバーガー銘柄として、多くの投資家の脳裏に記憶されていることと思います。
ところが、その上昇が始まった時期は、いつになるのかを知っている人は、意外に少ないのではないかと思います。
前回も書いた通り、「孫武」は、その一点こそが一番重要だと言っている訳です。

まず、上昇前の最安値は、2020年3月17日(火)に付けた363円(分割修正後)です。
ところが、この株価は「新型コロナショック」が原因で、全体安の中で付けたものです。
それまでは

、500円~700円のレンジを形成していたので、この辺りの株価が当時の適正株価だったのだと思います。
ですから、ここが起点で上昇が始まったとは考えられません。

また、当然ながら上昇が始まる箇所、つまり「儲けを決定づけた」箇所は、上放れているはずです。
つまり、この最安値を付けた後、再びレンジ内に戻ってから上放れが起こっている箇所が起点になったと見做せる訳です。
そこで2020年の3月以降のチャートを確認すると、9101郵船は直ぐに戻しています。
4月には450円~550円のレンジに上昇し、9月には600円から700円のレンジに上昇しています。

そして、2020年11月25日(水)に、上放れて陽線を引くことによって、レンジが700円~800円に変わっています。
更に、2021年1月6日(水)に再び上放れて800円~900円、2021年2月3日(水)に900円~1,000円とレンジを切り上げています。
明確に上昇トレンドと言えるのは、3月12日(金)からでしょうか!?
更に、4月7日(水)。4月30日(金)と下値を切り上げています。

つまり変化日は、2020年11月25日(水)、2021年1月6日(水)、2月3日(水)、3月12日(金)、4月7日(水)、4月30日(金)の6日です。
そこで、まずは決算発表を確認してみました。

2020年5月25日(月) 今期経常はトントン、20円減配へ
2020年8月5日(水) 今期経常を200億円に上方修正
2020年9月24日(木) 上期経常を一転2.7倍増益に上方修正、未定だった上期配当は20円実施
2020年11月5日(木) 今期経常を一転57%増益に上方修正、未定だった配当は10円増配
2021年2月3日(水) 今期経常を2.3倍上方修正、配当も80円増額
2021年4月6日(火) 前期経常を25%上方修正・13期ぶり最高益更新へ
2021年4月28日(水) 前期経常を5%上方修正・最高益予想を上乗せ

2月3日(水)、4月7日(水)、4月30日(金)は、決算で動いていることが分かります。
しかし、11月25日(水)、1月6日(水)、3月12日(金)は、別の材料で動いていることになります。
そこで、材料を探してみました。

11月25日(水)12:00
「海運株が断トツ人気、グローバル景気回復と米中摩擦緩和期待で見直し買い」
海運株の物色人気が鮮明。業種別値上がり率で一時5%を超え、東証1部33業種中で断トツとなっている。
特に9101日本郵船、9104商船三井、9107川崎汽船の大手3社への買いが顕著となっている。
米国株市場ではワクチン開発期待を背景に、景気敏感株への物色ニーズが旺盛だが、グローバル景気に左右されやすい海運セクターは見直し人気に乗りやすい。
また、バイデン新政権に移行した場合、米中摩擦は緩和の方向となる可能性が高いとみられており、ばら積み船市況など中国経済と連動性の高い海運セクターにとっては追い風環境が意識される。
9101日本郵船や9104商船三井など低PBR銘柄が多いこともバリュー株シフトの側面で有利に働いている。

1月6日(水)12:00
「海運株が軒並み上昇、コンテナ船、ばら積み船市況ともに改善傾向強める」
 9101日本郵船、9104商船三井、9107川崎汽船など大手をはじめ海運株が軒並み上昇。
業種別騰落率でも東証1部33業種中で値上がり率首位を争う状況となっている。
新型コロナウィルスの感染拡大による世界景気への影響が警戒されているが、発生元となった中国の経済回復が顕著となっており、コンテナ市況とばら積み船市況いずれも改善が進んでいる。
鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶばら積み船運賃の動向表すバルチック海運指数も昨年12月9日以降急速に水準を切り上げており、前日までの14営業日でマイナスだった日はわずかに1日となっている。
前日時点でバルチック指数は1,418まで戻しており、これは昨年10月16日以来約3カ月ぶりの高値水準にある。

3月12日(金)11:24
「海運株が急騰、グローバル物流回復を追い風にバリュー株シフトの波に乗る」
9101日本郵船、9104商船三井、9107川崎汽船など大手をはじめ海運株が軒並み高、業種別騰落率では7%を超える上昇で全業種を通じて群を抜いている。
市場では「新型コロナウィルス収束に伴う世界的な景気回復でグローバル物流の回復が見込まれるほか、足もとでもばら積み船の運賃市況を表すバルチック海運指数がここ連日上昇する展開で1,900台に乗せており、買い意欲が一気に強まった。
一部証券会社が強気リポートをリリースしていることも株高を助長した」(中堅証券ストラテジスト)としている。
海運業界は業績も大底を脱しており、低PBR株の宝庫であることもバリュー株シフトの流れに乗っている。

つまり、セクター全体が買われるような材料が出ていた訳です。
ここで9101日本郵船が大きく買われた理由は、セクター全体を動かすような大きな材料に乗り、企業としての業績も大きく伸ばすことが出来たからです。
セクターが動くほどですから、ファンドなどの大きな資金が動いても吸収できると言うことです。
となると端緒は、セクター全体を動かす大きな材料が徐々に育っていたことと言えるのではないでしょうか!?

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