第222回 優待銘柄を利用した「サイクル投資法」の精度を上げるには
今回は、優待銘柄を利用した「サイクル投資法」で、より精度を高めるための条件に付いて紹介しようと思います。
好優待銘柄の中でも、全てが同じだけのキャピタルゲインが取れる訳ではありません。
少しでも多くのキャピタルゲインを得ることこそが、成功への近道と言えます。
また、「攻撃は最大の防御」という視点で、キャピタルゲインを狙うことになります。
① 年2回よりも、年1回の優待銘柄を狙う
株主優待は、配当金と同じように、年1回だけでなく、年2回の場合もあります。
年間利回りが同じでも、年1回か2回かでは、1回当たりに得られる株主優待の評価額が半減するかどうかになります。
ですから当然ながら、年1回の株主優待の方が、得られる株主優待の評価額が大きくなります。
評価額が大きくなるということは、権利落ちの額も大きくなる訳で、言い換えればその前の株価上昇も大きくなると言える訳です。
つまり、優待銘柄を利用した「サイクル投資法」では、権利確定日までの株価上昇が大きい方が良いため、年1回の優待銘柄の方を選ぶべきとなります。
② 3-9月銘柄よりも、2-8月銘柄を狙う
株主優待は、配当金と同じように、決算月や中間月が権利月となります。
このため日本では、3月末権利確定の株主優待銘柄が、非常に多いという状況になっています。
ところが、銘柄数が多いことは、投資先が多いということを意味します。
狙っていた優待が高値になってしまっていた場合、次点の優待を仕込むという逃げ道が与えられる状況になる訳です。
このことは、好優待銘柄だからと言っても、無闇に高値まで買われないことを意味します。
優待銘柄を利用した「サイクル投資法」では、株価が上昇すればするほど良いので、競争銘柄が少ないのに越したことがありません。
ですから、3-9月銘柄を狙うのであれば、その1月前の2-8月銘柄を狙った方が効果的だと言える訳です。
③ 流動性の低い銘柄を狙う
株式投資で「risk hedge」をする上で大事なことは、流動性の高い銘柄に投資することです。
ところが、この優待銘柄を利用した「サイクル投資法」では、流動性が敵になります。
なぜなら、優待銘柄が権利確定日に向けて上昇するのは、個人投資家の「株主優待を手に入れたい」という欲望が働くためです。
このように考える投資家は、実はそれほど多くは無く、流動性の高い銘柄であれば、他の投資家の売買の中に埋没してしまいます。
そのようなことが起きないようにするためには、流動性の低い銘柄であることが条件になる訳です。
また、流動性が低い銘柄には、そもそも多くの投資家は見向きもしません。
見向きしないから、需給は盛り上がらず、株価は基本的に動かないのです。
基本的に動かない株価が動くのは、優待族が買いに来ているという推定が成り立ち、安心して仕込むことが出来るようになります。
ただ、この条件があるからこそ、資金が増えてからの優待銘柄を利用した「サイクル投資法」が不可能になることを覚えておいてください。
私がやらないのは、流動性が高い好優待銘柄は存在しないからです。
④ 仕込み時は信用買いで繋ぐ
仕込み時は、3か月前に優待投資家が仕込む前の段階となります。
ただ、必ずしも、自分の保有銘柄を売った後に狙っている銘柄の株価が上がり始めるとは限りません。
現在保有中の銘柄がもっと上昇しそうなのに、次に狙っている銘柄も上がり始めるなんてことはよくあります。
この時に、保有中の銘柄を無理やり売ったり、狙っている銘柄を諦めたりする必要はありません。
こういうときは、信用取引で繋ぎ買いをすれば良いのです。
信用取引は、保有資産以上に株式を購入できることから、資金レバレッジが効きます。
ところが資金レバレッジは、儲けが大きくなる「return」があるのと同様に、損失が大きくなる「risk」もあります。
そこで初心者の信用取引は慎んだ方が良いのですが、売買の日付が明確に決まっていて、ほんの数日保有期間が重なるだけの信用取引なら、発生する「risk」は殆ど無視してよいほどの小ささだと思います。
元々、権利確定日に向けて右肩上がりに騰がるという特性を持つ株主優待銘柄ですから、優待廃止という悪材料が飛び出さない限りは、急反落という動きになることは無いからです。
⑤ 売買の細かいタイミングはチャートで決める
優待銘柄を利用した「サイクル投資法」では、権利確定日が最も高値になると想定して売買を組み立てます。
ところが、必ずしも権利確定日が最高値にならず、その数日前が最高値になっていることもあります。
これは、株価の上昇スピードや出来高などを見て、優待投資家の動きが早まっていることがあるからです。
また、高値になり過ぎて、買いたいと考えていた優待投資家が諦めることで、早い段階で天井を付けてしまうこともあります。
このような動きは、チャートを見ればある程度掴むことが出来ます。
権利月の中旬辺りから上昇スピードが加速し、出来高が増えてしまったら、権利確定日まで需要が続くと予想するより、早々に天井を付けると考えた方が良いでしょう。